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井戸の怪異
官能リレー小説 - ファンタジー系

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井戸の怪異 13

花びらの一枚が割れて地面に落ちる。だが、新たな花びらが急激に伸び上がり元に戻ってしまった。
デビーはクラークに聞いた。
「あの再生能力、おかしくないか?」
「強化されているな」
そうこうしているうちに花が増えてきていた。
だが、中央の暴れているクイツボ以外は閉じたまま微動だにしない。触手は出しているが、動きは遅く殺意が感じられない。
「安全な個体って事か?」
「そんなわけないでしょ!相手はクイツボよ!ファイアボール!」
デビーの発言に対し、ジュリオラが怒り出した。
さっきより大きなファイアボールを撃ち、クイツボの花を丸ごと炎上させる。
「変な手心かけてないで倒してよ!クイツボは女の敵なのよ!」
アネモネも怒ったように突進し、触手を次々に切り裂いていく。
「すまねえ。馬鹿なことを言った」
デビーは詫び、茎から切り落とそうと激しく切りつける。
散々に斬りたてられたクイツボに、さらにファイアボールが叩き込まれ、クイツボは完全に燃え落ちて滅んだ。
「一体なんだったんだあの全く動かないクイツボは…」
最初に出現した物の再生能力が高いのも気になった。明らかに何か異様な変化が起きている。
ジュリオラの話ではクイツボが全く動きをみせないということはあまり無いらしい。
「女の敵であるクイツボが私達を見てなんの反応も見せないとはね、考えにくいわ」
アネモネも会話に加わる。
「私達が女扱いされてないってことなのかしら。失礼ね」
「まあまあ、そうと決まったわけじゃないよ」
「考えられるのは、私ヤアネモネに「苗床」としての価値無しと判断してたか、それとも…その剣」
ジュリオラが指さしたのは、デビーの剣だ。
「それを振るってる時って、明らかにこの辺りの温度が下がったのよ。クイツボも植物だから、それで反応が悪かったのかも」
「俺も、辺りが少し冷えたように感じたな」
「私もよ。洞窟なんかだと、それで長時間戦うとヤバいかも」
「こいつのせいか……」
デビーは腰の剣を軽く叩いた。
「まあ、いいだろう。植物系モンスターには制圧効果があるってことだからな。おかげで数の割に苦労せずに済んだ」
最後にクラークが話をまとめ、ジュリオラの一言で四人は帰ることにした。
「そうね。また来られても嫌だし、ひとまず帰りましょ」

帰り道、アネモネはジュリオラに色々と薬草の話を聞いたり、デビーに親しく話しかけたりと賑やかで、デビーもアネモネとの会話が弾む。



「こちらが今回の獲物ですね……では確認いたします」
無事帰りついた四人は、ギルドで今回の戦果を確認してもらっていた。

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