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井戸の怪異
官能リレー小説 - ファンタジー系

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井戸の怪異 12

デビーにはその声の主がわかった。
ペトルはあの時の事からまだ色々と回復していないのかもしれない。
これが終わったらペトルの隠れ家を訪ねてみるか…。
デビーは自分が性的に狙われていると感づいてはいたが、ペトルを放置する気にはなれなかった。
クラークが相方の魔女を呼ぶ声がする。
「なあジュリオラ、これわかるか?」
「どうしたの?
ああ、それってスイツボの花じゃない。幻覚作用を持ってるから男の人は触らない方がいいよ。今すぐ焼き捨てて」
「そうなのか。やばい奴なのか」
クラークと相方の魔女ジュリオラのやりとりに、デビーは引っかかるものがあった。
「幻覚作用?」
「栄養を吸うために発情期の動物の雄に幻覚を見せて、自分を雌だと思わせて精液を絞ってしまうのよ。
力尽きるまで幻覚作用で交尾してしまう恐ろしい花よ。
人間相手でも作用するから、たまに引っかかって吸われちゃう男の人がいるのよ。じゃあ、焼いちゃうから」
「わかった。頼む」
クラークから花を受け取ったジュリオラが呪文を唱え、スイツボの花は焼け落ちた。
そんな魔力がある花なのにそれを見つけたクラークが無事なのは既に精液を十分に貯めていたからであろう。
とにかくジュリオラの説明でペトルが雌ではなくデビーを求めているのは確定をした。

その時、近くで何かが膨れ上がった。スイツボの花に似てはいたがそれはあまりにサイズが違いすぎた。
スイツボの花にはなかった、触手が何本かあった。
「何よこれ!クイツボの花じゃない!!」
「どうしてこんなところにいるのよ!」
やばい、ジュリオラとアネモネがかなりビビってる。
「畜生、おいデビー、とにかくあの触手潰すぞ!やられると女達が悲惨なことになる!ジュリオラは下がって魔法で援護してくれ!アネモネもあまり近づくな。自衛することだけ考えててくれ」
クラークが手早く指示を出して、ジュリオラとアネモネも動き出した。俺も武器を構える。
「かなりやばそうなやつだな、どういう奴なんだ」
「スイツボと違って、人間を丸ごと食べて溶かしてしまうのよ!!しかも気に入った女がいたら触手で犯して種子を胎内に産み付ける女の敵なの!」
「そういうことだ!捕まれば男は確実に死に、女なら死ぬか苗床にされちまって死ぬよりつらい思いをするか、どっちにしろさっさと殺すに限る!」
デビーとともに突進するクラークが、怒りを込めて説明した。
「ファイアボール!」
ジュリオラの魔法の第一撃が、クイツボの「腰」あたりに命中した。ここから触手が何本か出ているのだ。
所詮は植物。触手の多くが根元を焼かれてボトボト落ちる。
本体部分の茎も燃え上がり、クイツボが苦しみだす。
「一気に始末するぞ!デビーは左から頼む。アネモネはジュリオラの護衛を!」
「おお!」
クラークの指示で、俺たちは左右から攻撃を仕掛ける。
スイツボみたく男だけ絞るならまだしも、女を苗床に悪用する不埒な代物だ。ぶっ潰すに限る。
まだ残っている触手のほとんどは、クラークに向かっていった。
クイツボの花は、チューリップを巨大化しておぞましくしたような形だ。これで獲物を飲み込んでしまい、溶かすんだろう。
「ちゃああ!!」
冷気を纏った剣で、花に切りつける。刃の通りがよく、クいツボの切断面は氷結したようになって割れていく。

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