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Absorption
官能リレー小説 - ファンタジー系

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Absorption 8

「さあさ、こちらへ!」
理事長室に招き入れる。
「さてと、まえにSK○PEで話した当学園の朝比奈についてだが・・・」
「ああ、先ほど門で見た、とても可憐な少女だ・・・さぞかし美味いことだろう」
「今日の夜、堪能できるぞ?」

「外国人?」
「うん・・・すっごくかっこいい人だったけど、でも顔があまりにも白すぎて・・・」
先ほど玄関でヴラドを見た千恵は、友人たちに話していた。
「ヨーロッパ人なら白いでしょ?」
「でも、それでもあまりにも白い気がする・・・」
「で、その人と話した?」
「・・・ううん、でもあの人、私を見た瞬間、笑ってたような気がしたの・・・」
「うわ、怖!!」
「それ、まずくない?」
「気のせい・・・かな?」



昼休み、千恵は図書室に借りていた本を返しに向かっていた。
廊下を曲がろうとしたその時、理事長、そして先ほどの外人とばったり出くわしてしまった。
「あっ!!」
外人にぶつかった勢いで倒れそうになったが、背中に手を添えられ支えられた。
「ああ済まない、こちらも気を付けるべきだった、大丈夫かな?」
千恵の顔を覗き込むヴラド。その目に見つめられつい赤くなってしまう千恵。
「す、すみません!!」
慌てて立て直すと、落とした本を拾った」
「ああ、君はさっきの生徒さんか」
「あ!さ、さきほどは失礼を!!」
「いやいや、気にしなくていい」
「紹介が遅れたな朝比奈さん、彼はアルカルド ツェルッペ、ルーマニアの民俗学者で、私の知り合いだ」
理事長が紹介する。ちなみにアルカルド ツェルッペとはヴラドが母国で表向き名乗っている身分だ。
「は、はじめまして!」
緊張しつつ再度挨拶する千恵。
「彼は今回が初来日でね、ついでにわが学院に立ち寄ってくれたのだよ」
「そうだったんですか」




「今日は市内のホテルで泊まって、そのあと名古屋、京都、大阪と回る予定さ、日本は本当に楽しいところだ」
そう言って微笑むヴラド。
「君ももう少し経ったらもっと広い世界を見てみなさい、きっと新しい発見があるはずだ、では失礼する」
一礼してその場を立ち去るヴラドと理事長。
「早速今夜、君に新たな世界を感じさせてあげよう、待っていたまえ、千恵」
千恵に背を向けつつにやける二人。

その日の夕食は、なぜかレバー系のメニューとなっていた。
「私、お肉苦手なのに・・・」
おかげで箸がなかなか進まない千恵だった。

そして消灯時間、千恵はベッドに横たわり、先ほど会った外国人のことを思い出していた。
「(なんでだろう?あの人のことがなぜか頭から離れない)」
確かに顔は整っており、もう少し若ければかなり女性人気の高い人物だっただろう。だがそれでも未だに千恵の中で引っかかっているのは妙だった。
「(私、あの人を好きになっちゃったの?でもあの人は若くないのに、どうして・・・)」
その時、窓から差し込んでいた月光が一瞬遮られる。
「何!?」
ベッドから降りて窓を見る。
「気のせい・・・?」
「・・・ではないよ、Ms.朝比奈」
不意に背後に男の声がした。千恵が振り向くとそこには青白い顔の青年が立っていた。
「あ・・・あなたは・・・」
千恵はその顔に見覚えがあった。多少若返ってはいるが、それは昼間出くわしたあの民俗学者の面影を残していたのだ。

「怖がることはない、さあ身をゆだねるのだ千恵」
そう言ってヴラドは千恵の目を見る。その瞬間千恵の意識が薄れ、そのまま倒れてしまった。
「ふふ、さあ楽しませてもらう、そして楽しませてやろう」
千恵を抱き上げると、窓を開け外へと飛び出した
「まったく不便だ」
吸血鬼の始祖ともいうべき彼は壁を抜けることができる。だから侵入は楽だった。しかし人間である千恵はそうはいかない。仕方なく窓を開けて外に出たのだ。

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