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Absorption
官能リレー小説 - ファンタジー系

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Absorption 7

「そんなことないわ、別に妬んでるってわけでもない、ただ、もっと人生楽しんでほしいだけよ、私たちの望みのついでにね、一石二鳥でしょ?」
「彼女の意向を知らない内から、そう断定するわけにはいかんだろう?まあ、君の提案はありがたく受けさせてもらう」
「それじゃ、私は戻るわ」
寮へと戻って行った美雪。
「さて、私も段取りを進めるとしようか」
そう言って理事長も地下室を出て、理事長室へと向かった。

「折角だ、彼も誘ってやるか」
そう言って机の上のPCを起動させた。
そしてSK○PEを起動させる。
「今の子はL○NEばかりで、このアプリを知らんのだろうな」

「ルーマニアは今17時、彼は繋がってるかな?」
そう言いながら友人の欄を見る。すると『Arucard』のSK○PE名がオンラインになっていた。早速呼びかけてみる。
しばらくして応答された。
「やあ、ヴラド公!!久しぶりだな」
「おお、Mr.キシダ!元気だったか!」
今、電話をしている相手、それはまさにドラキュラ伯爵のモデルにもなった、ルーマニアにおいては『串刺し公』の異名を持つ、ワラキア公ヴラド3世その人だったのだ。
実は理事長がかつて人間だったころの明治中期に、彼は民俗学の研究のために欧州を旅していた。そして立ち寄ったルーマニアで偶然にも、没落貴族出身の民俗学者として活動していたブラドと出会った。そしてまもなくブラド自身から彼が吸血鬼であることを知らされた。それにもかかわらず二人は何か通じるものがあったのか、親友としての関係を築いて交流を続けてきたのだ。
だが、渡欧から二年後、彼は当時不治の病と言われた結核を患い、帰国はおろか、ベッドから起き上がることすら出来ないまでに弱ってしまったのである。そのまま死を待つだけの彼を気の毒に思ったヴラドが、人間を辞める代償と引き換えに吸血鬼になることを提案し、理事長もそれを受け入れ、そして今に至るのであった。それゆえに彼にとってヴラド公はまさに親友であり、命の恩人だったのだ。
「ヴラド公、君はまだ日本に来たことが無いのだろう、だから遊びに来てみないかね?休暇はとれるかな?」
「これでもまだ大学の民俗学者だ、理由なんていくらでも作れるさ、しかしなぜいきなり?」
「実は、一つお楽しみがあってだな、せっかくだし君もどうかと・・・」
理事長はヴラド公に細かい説明をする。ヴラド公もそれを聞くと、うんうん、とうれしそうに頷いた。
「それはいい!明日中にはルーマニアを出よう、おそらくし明後日にはつくだろう!」
「楽しみに待っているよ、ああ、あと税関には気を付けてくれ、最近は色々とうるさくなっててな」
「ああ、気を付けよう!」
「ところでヴラド、なぜ『Alucard』ではなく『Arucard』なんだ?」
「ああ、それは日本のMANGAに私をモデル、と言うか主役にした作品があっただろう?そこから使わせてもらってる、なにせ本人なのだからな」
「ああ、そうかい・・・それじゃ気を付けてな」
少しあきれつつ、通話を終了させた。
そして、3日後

学園前にやってきた一台のタクシーから、一人のヨーロッパ系の男性が降り立った。
年齢は30半ばと言ったところだろうか、非常に整った顔立ちをしていた。しかしその肌はヨーロッパ人にしてみてもあまりにも白く、血が通っているようには思えなかった。
男はそのまま学園の敷地へと進んでいった。

受付のガラス戸をたたくと、事務員が胡散臭そうに応対する。
「どうも、アルカルド・ツェルッペです。今日はキシダ理事長にお会いしにまいりました」
流ちょうな日本語でそう言って名刺を渡すヴラド。
「お約束を?」
「ええ、理事長本人も知っているはずですが・・・」
そう言って、廊下の方を向いた瞬間、一人の女子生徒と目があった。
「(・・・あれはキシダが言ってた少女、Ms,アサヒナか?)」
少女は緊張しつつもお辞儀をし、その場を立ち去った。
「(くく、穢れがなく、そして臆病さも感じる、楽しむには良い少女だ)」
「おお、アルカルド!よく来てくれた!」
「キシダ!久しぶりです!!」
そう言って抱き合う二人。
「飛行機は揺れましたかな?」
「いや快適だった」

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