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Absorption
官能リレー小説 - ファンタジー系

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Absorption 12

門へと向かう際、一人の小柄な女子生徒と出くわす。
「(彼女か!)」
それは昨夜理事長とヴラドが散々弄んでいた朝比奈 千恵だ。
彼女はじっとヴラドたちを見つめていたが、やがてか細い声を発する。
「もう、出発されるんですね?」
「ああ、そうだよ」
優しく微笑むヴラド。
「・・・あの・・・」
「なにか?」
彼女はしばらくもじもじしていたが、意を決したように言った。
「また、お会い・・・できますか?」
昨夜の件もあり彼女もうすうす感づいては居るだろう。
ひょっとしたら嫌悪されたのではないかと心配していた彼らだが、そうではないことを知り安堵する。
「ああ、たぶんすぐだろう・・・今度また会ったらゆっくり故国ルーマニアの話をしてあげよう」
そう言ってヴラドは優しく彼女の頭をなでてやる。
「はい!ありがとうございます!」
千恵はお辞儀をすると、そそくさとその場を立ち去っていく。やはり恥ずかし屋のようだ。

「やはりいい子だな、チエ」
「学園自慢の生徒です、私も保証する」
門を出ると、待たせていたタクシーに乗るヴラド。
「では、元気でな!」
「そちらこそ!」
「君の方も、もう一度ルーマニアに着たらどうかね?」
「もう100年も欧州には足を踏み入れてない、久しぶりに考えてみるか」
その言葉を聞いた運転手が怪訝な顔をする。
「100年ぶり!?」
「聞き違いだ、気にする必要はない!」
ヴラドはそう言って、運転手に万札を渡した。日本には原則チップの風習などないが、黙らせるには十分だろう。
運転手もそれ以上の詮索はせずに、車を出した。
そしてその日の夕方18時ごろ

「理事長が直々に呼び出すなんて、何かあるのかね〜?」
「さあ?」
そう言いながらも、美雪は少しばかりの不安を感じていた。あの変態吸血鬼のことだ。こんな時間に自分たちをいきなり呼び出すなんて、絶対何か裏がある。
 理事長室につく二人、ノックをしてみる。
「大丈夫だ、入りたまえ」
やけに若返ったような理事長の声。
「(まさか、理事長若返ってるの?)」
ゆっくりとドアを開ける美雪。彼女が睨んだ通り、デスクには20代くらいの美青年が座っていた。

「やあ、よく来てくれたね!」
そう言って微笑む理事長(20代)
「(ちょっと美雪!うちは女学園なのになんでこんなイケメンがいるのよ!?)」
「(そんな事言われたって・・・)」
「どうしたんだい?二人ともそんなに硬くならなくても」
「あ・・・あの!理事長はいま留守ですか!?」
恵梨香が緊張しながらも訪ねる。
「・・・ふう、美雪さん、説明してあげてくれ」
「恵梨香・・・この人が、理事長なのよ・・・」
すでに若返った理事長の姿を知っている美雪が、恵梨香に説明する。
「・・・・えええええ!!?」
「この間、礼拝堂地下室でショタっ子にあたしたちの愛液を吸わせたでしょ?実はあれも理事長だったの・・・」
それを聞いた瞬間、思考がパンクした恵梨香は卒倒してしまった。
「ちょ、恵梨香!?」
必死に倒れた友人を貪る美雪。
「ふん、近藤恵梨香、気が強いものとばかり思っていたが、意外と気が弱いところがあったのだな・・・」
不意に別の男の声が聞こえた。美雪が声のした方を見ると、本棚をすり抜けるかのように、もう一人の青年が姿を現した。
「紹介しよう、わが友人のヴラド公だ」
「ヴラド公?まさか・・・!!」

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