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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 94

「人手と武器…となると謀反か」
「おそらく…いかがいたしますか?早々に始末した方が良いと思いますが…」
ジェムは少し思案してから言った。
「……いや、泳がせておけ。ひょっとすると使えるかも知れん」
「はあ、使える…とは?」
「もちろん、僕がこの国の頂点に近付く手段としてだよ」
そう言いながらジェムは不敵な微笑を浮かべた…。




それからまた何事も無い平穏な日々が過ぎていった。
この時期を後から振り返って見た者は口を揃えて言う。
『今にして思えば“嵐の前の静けさ”だった』と…。

月が変わり、もう誰もアリーの事件など半ば忘れかけていた頃…その日、セイル達は内務大臣ムスタファ・ハシームの息子ザダームの結婚式と披露宴の警備のために動員されていた。

「全く都を守る衛士の僕等が、あのサダームの結婚式と披露宴を護衛をしなきゃならないんだ」
式を執り行う神殿の一角で先輩のアブ・シル、同僚のアブラハムと共に護衛をしているセイルはサダームへの憤慨は止まらなかった。
実はあの後、セイルはムサルマーンの情報でアリーが退学になった真相やアリーがお尋ね者になった経緯を知ったセイルはサダームへの怒りが止まらなかった。
しかし、一応勤務だから抑えてはいた。

そんなセイルを先輩のアブ・シルは厳しく注意し、アブラハムは宥める。
「落ち着けクルアーン君。もし、誰かに聞かれたら大変なことになるぞ」
「そうだよ!今は式と披露宴が終わるまで我慢しようよ」
「すいません。でも、あのサダームのせいでアリーはと思うと」
アリーは現在ヤヴズ家に匿われて安全は一応保障されているが、親友の苦境を考えるとセイルは悔しかった。
「しかし、あれから一か月過ぎたのにザッバーフ・アリーは何所に隠れてるんだ?」
アリーの手掛かりが掴めず、捕まらなかった事にアブ・シルは怪訝な顔をする。
一方の国外へ逃げたとアブラハムは推測する。
「やっぱり、国外の西大陸辺に逃げたんじゃないですか?」
「それはありえない。国外をに行くには国の許可が必要だが、彼はお尋ね者だ。そうなると唯一の手は密入国だか、これは金がかかる中級士族の彼にそんな金はない。絶対に王都か国内にいる潜んでると僕は思うね」
「・・・・・・・・・・」
アリーの所在を知っているセイルはアブ・シルの鋭い指摘に思わず黙ってしまう。

急に黙りになったセイルをアブラハムは心配する。
「どうしたのセイル、元気ないよ?」
「ああアブラハム、大丈夫だよ・・・ハハハ・・・・・」
アブラハムの心配に笑い出すセイルであった。
嘘の付けない自分は我慢出来ずアリーの居場所を言ってしまいそうだから、セイルは作り笑いで誤魔化すしかなかった。

グウゥ〜〜〜〜
腹が減った食いしん坊のアブラハムは結婚式の料理に興味津々であった。
「しかし、貴族の結婚式にでる料理って興味あるな〜」
「アブラハムくん、勤務中だよ。それに僕たち士族がありつける訳ないよ」
「しかし、アブ・シル先輩!貴族の結婚式の料理ですよ。すごく豪華なはずですよ!夢見ても良いじゃないですか!」
軽くたしなめるアブ・シルに食にはうるさいアブラハムは珍しく喰って掛かる。
困ったアブ・シルはやせろと注意する。
「落ち着きなさい。それに君は少しやせたほうが良いよ」
「それ無理です」
「はあ〜」「全く・・・」
しかし、アブラハムは無理と言い返すとセイルとアブ・シルはため息をつく。

セイルとアブ・シルがアブラハムの呆けに呆れている頃。


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