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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 346

ホッとすると同時に湧いて来たのはライラへの怒りであった。
「…なぜだ!?なぜだ!?なぜだ!?なぜだぁ!!?あなたの目的は僕と戦う事なんじゃないのか!!?なぜ関係ない人間を巻き込むんだ!!?それとも本当に単に殺しを楽しんでいるだけのイカレた殺人狂なのか!!?」
…高ぶった感情が思わず声となって出ていた。
人々が何事かと目を見開いてセイルを見た。
周囲の視線に気付いた彼はハッと我に返っる。
セイルは深呼吸して気を鎮めた。
(取り乱しちゃいけない…落ち着くんだ…落ち着いてどうすべきかを考えろ…)

…冷静さを取り戻したセイルは衛士の姿を探した。
そして見つけた二人組の警邏の衛士に声を掛ける。
「すいません、ちょっとお伺いしたい事が…!」
「む、何だ?」
「実は今夜起きた事件の事についてお聞きしたいのです」
「それは出来ん。現在我々衛士隊が捜査中だ。騎士でも衛士隊以外の者には教えられんな」
仕方無いな…とセイルは思った。
「…聞け!私はイルシャ・サーラ殿下直属の騎士クルアーン・セイルである!殿下の命を受けて衛士隊とは別に事件の捜査を行っている!殿下も今宵の事件には酷く心を傷めておいでなのだ!」
「えぇぇ!!?」
「サーラ殿下直属だって…!?しょ、証拠はあるのか!?」
「無い!」
「な、ならば信用する訳にはいかん!」
「いや!この人は本物だよ!」
衛士の一人がもう一人に言った。
「前に見た記憶がある!サーラ殿下と一緒に街を視察しておられた!」
「えっ!!?じゃあ本当に本物…!?」
「…だからそう言ってるじゃないか…」
「「失礼いたしました!!!」」
二人は背筋を伸ばしてセイルに敬礼した。
「構わない!それより私が知りたいのは今夜の三件の事件が起きた場所だ!」
「は、はい!それでしたら把握しております!まず一件目は…」
セイルは頭の中にイルシャ=マディーナの地図を思い浮かべた。
長年住んだ街だ。
住所を聞けば大体の場所は判る。
事件はいずれも一定の範囲内で起きていた。
頭の中で現場同士を線で結んでみる…すると“ある場所”が中心にあった。
(…“あそこ”なのか…いや、これはあくまで僕の推測に過ぎない…だが…)
きっと“そこ”にライラはいる…サーラもいる…セイルはそんな気がした。
(…行ってみよう!ようやく掴んだ手掛かりだ!この可能性に賭けてみよう!)
頭の中の地図が示す場所に、必死に走る。
息せき切って走る騎士の姿に、何事かと思う町の者もいたが、もはやセイルの眼中には無く。
目当ての場所に、彼はたどり着いた。

「やはりここか…」

ライラが一時期暮らしていたという、小さな一戸建ての家。
当時と変わらないたたずまいの建物を見て、セイルの懸念は完全に確信へと変わり。
腹を決めたセイルは、一気に飛び込むことにした。


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