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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 1

その日僕は、前日の修行中に折れてしまった剣の代わりを探す為に入った屋敷の倉庫の中で、埃塗れの一本の剣を手に取った。
『貴方が私のマスターか?』
「え?」
何所からか不思議な声が聞こえてきた。
次の瞬間、僕が持っていた剣が突然光輝いたかと思うと、今まで見た事の無い程美しい女性が、僕の前に跪いていた。
「主よ・・・貴方の名は?」
「え?名前?せっセイルと申します・・・」
その女性の余りの美しさに、僕は呆けたように聞かれるがまま自分の名前を口にした。
「承知しましたセイル様。今日より私は貴方様の剣として忠誠を誓い、共に邪悪なる者たちと戦う事を誓います。願わくばこの制約の永延ならん事を・・・」
そう言うと優美な甲冑を身に纏った少女は、僕の手を取り、その手に忠誠のキスをした。
こうしてこの日、埃の溜まった薄暗い倉庫の中で、僕と彼女は出会った。
僕の名前はセイル。
人間・妖精・魔族・淫魔等が当たり前のように生きるファンタジー世界。エスパニアに存在するイルシャ王国の騎士(見習い)だ。
このエスパニアには、海を挟んでその西側と東側に、二つの大陸が存在している。
イルシャ王国は、その内の東方大陸に存在する王国の一つで、東方大陸でも有数の豊かさと国土を所有しており、ここ数十年は歴代の国王の善政も有って比較的平和な時代が続いている。
僕の家は代々イルシャ王国の王家に騎士として仕え、数々の武勲を上げてきた。
そして僕もまた尊敬する父や祖父のような立派な騎士に成る為、数年前王立騎士学校に入学し、何事も無ければ、来年には夢だった騎士に正式に登用されるだろう。
そんな訳で僕は久しぶりの休暇で家に帰っても、毎日欠かす事無く剣の稽古を続けていた。
所が昨日の夜も、風呂に入る前に、日課である素振りをしていた所。突如として愛刀が二つに折れてしまったのだ。
とはいえ、幸いな事に僕の家の倉庫には、先祖代々集めてきた名刀や名剣が、それこそ売るほど大量に有る。
次の日僕はその内の一本を学校に持って行こうと思い倉庫を漁り。その中から一本の剣を手に取った所、今の不可思議な状態に陥っているという訳だ。
「はっはぁ…どう致しまして…所であなたは名前は何ていうのですか?」
「言ってませんでしたね。私の名前は、聖剣ルーナの聖霊で名をアルトリアと申します」
少女の美しさと凛々しさに心を奪われてたが、僕は彼女が何者なのか訊ねる事にした。
彼女は優しく微笑み自己紹介をしてくれた。
「聖剣ルーナの聖霊!!アルトリアだって!!」
彼女の名前を聞いて僕は腰を抜かしてびっくりする。
聖剣ルーナとは、太古の時代、天の神々が人に与え賜うた三本の聖剣の内の一本である。
三聖剣とは、大地母神ガイアより与えられしカシウスの聖剣、戦女神ミネルヴァより与えられしダモクレスの聖剣…そして最後の一つが海洋神セポイより与えられしこのルーナの聖剣である。
そして聖剣ルーナには、このイルシャ王国にとってもう一つ重要な意味が有る聖剣なのだ。

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