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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 82

一方、母ヤスミーンは…
「キャ〜♪♪♪カワイイ〜!!何なのコレ〜!?」
どうやらナシートが気に入ったらしく、めちゃくちゃハイテンションである。
「あら!そう言えばあなたって裸なのね…そうだわ!私があなたの服を縫ってあげるわね♪」
「い…いや、私達は基本的に服っていう物は着ないから…」
ナシートは何か言おうとするが、ヤスミーンはもはや聞く耳を持たない。
「どんなのが良いかしら〜?ヒラヒラした感じとか可愛いくて良いんじゃない?…あ!西大陸風のドレスなんか似合いそう〜♪」
そんな母の姿をセイルは半ば呆然と見つめていた。
(ま…まさか母様がここまで喜んでくれるとは…まぁ、それはそれで良かったけど…)

その後セイルとアルトリアはようやく解放してもらえたナシートを連れて部屋へと戻った。
「はぁ〜…セイル、あなたのご両親ってなかなか個性的ねぇ…」
「あはは…いやぁ、お恥ずかしながら…でも基本的には悪い人達じゃないから安心して良いよ」
「まぁ、そこは良かったわ…」
ナシートは安心したように溜め息をついて言った。
フェアリーという種族は人間達の様々な欲望の対象とされる事も少なくないのだ。
例えばオナホールや愛玩人形のような性玩具に使われるのが一部の好事家には大人気なのである。
その為にフェアリーは死んでしまう事も少なくなかった。
ナシートは自分を最初に買おうとした双子を忌々しげに語る。
「あの太ったキモい双子たちは絶対に私を玩具にしてた筈だからね」
「まあまあ、僕の所にいれば大丈夫だよ」
セイルの優しい言葉に思わずほっとしたナシートは彼の肩に乗っかり。
ナシートは改めて自分を助けてくれたセイルに礼を言い彼の頬にキスをして、彼の頬に擦り寄る。
「ありがとうセイル!大好き!チュッ!!」
「ナッナシート、くすぐったいよ」
しかし、ナシートの行動にアルトリアはブチ切れ。
ナシートを掴み思いっきり怒鳴りつけるが、ナシートも負けじと言い返す。
「セイル様に接吻するとは!羽虫捨てられたいらしいな!!」
「何で、あんたに命令されなきゃいけないのよ!私のご主人はセイルなのよ!」
「私はセイル様の剣だ!貴様みたいなやかましい羽虫をセイル様の下僕にさせられるか!」
「きぃ!!!また羽虫って馬鹿にした!こうしてやる!」
自分を羽虫と馬鹿にするアルトリアにナシートは、アルトリアの手を噛みつく。
「この羽虫がっ!!」
「イタッ!こっこの暴力女!」
しかし、アルトリアのも負けじとナシートを掴み思いっきり握りしめる。
「二人とも!喧嘩止めないなら、出ていってよ!」
アルトリアとナシートの喧嘩に遂にセイルは怒鳴り出した。
セイルに怒られてはもう何も言えない。
二人はたちまちシュンとなって詫びた。
「も…申し訳ありません…」
「ごめんなさい…」
セイルはアルトリアに尋ねる。
「アルトリア、だいたい君は何でそんなにフェアリーを嫌うんだい?」
「そ…それは……すいません。ちょっと言いたくないです…」
アルトリアは珍しく顔を赤らめて気まずそうにうつむいてしまった。

…かつて彼女がイルシャ・ルーナ女王に仕えていた頃、王宮に居たフェアリー達を羽虫羽虫と言って馬鹿にしていたら、ある夜、一斉に襲いかかって来て、体中の性感帯をことごとく責められ、泣いて許しを請うもイかされまくり、最後には失禁して失神した…という恥ずかしい思い出があるのだが、そんなの言える訳が無かった…。

セイルは言った。
「う〜ん…言いたくないなら別に良いけどさ。でもナシートとは仲良くして欲しいな」
「…解りました。セイル様が仰るのなら…」
「うん、ナシートもそれで良いよね」
「ええ、こいつが私に対して敵対的な態度を取らないならね」
「何だとぉ〜?羽虫の分際で偉そうにぃ!お前なんて人間様がその気になれば、ひとひねりで…」
「やる気!?」
「はいストップ!二人ともそこまでだよ。それとアルトリア“羽虫”って言葉はこれから禁止ね」
「「は〜い…」」
「じゃあ仲直りの握手」
「うぬぅ…悪かった」
「わ…私の方こそ…」
渋々握手(と言ってもアルトリアの指先をナシートが掴んだだけだが)する二人だったが、それを見ていたセイルは、この二人は結構仲良くなれるのではないかと感じていた。
二人とも似た所を持っているからだ。


その頃、結果的にセイルにナシートを横取りされた形になった、あの太った双子の兄弟は自分の屋敷に戻って来ていた。
「ちくしょう!面白くないんだな!フェアリー横取りしやがって…あいつは一体何なんだな!?なあ、ブム?」
「まったくなんだな!あのフェアリーかなりの美少女だったから色々楽しめそうな予感だったのにぃ〜なんだな!なあ、バム?」
フードを取った双子…それはあのヤヴズ・バムとヤヴズ・ブムであった。
ジェムの策略によって無実の罪を着せられ処刑された宰相ヤヴズ・ワムの息子達である。

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