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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 80

アルトリアにほめられ、セイルは照れながら夕飯は市場で食べようかと提案する。
「良いですね〜市場は美味い店が多いですからね」
「じゃあ、行こうか」
そう言うと、セイルたちは飲食店に向かおうとすると。
一人の男がフェアリーを握り締めしながら罵倒していた。
「この糞羽虫!もう一度いってみろ!」
「うっさい!私はあんたの玩具じゃないわよ」

フェアリー…妖精族とも言う。
大きさは人間の掌の上に乗るくらいで、背中に羽を持つ。
エルフなどと同様、亜人種の一種とする説もあるが、詳しい事は解っていない。
主な棲息地は西大陸だが、そもそも人間の前には滅多に姿を現さない事から、ここ東大陸では見る事すら稀な希少種とされている。
イルシャ王国では富裕層の間でフェアリーをペットとして飼う事が一種のステータスとされており、非常に高額で取引されている。

セイルとアルトリアが見かけた男も金持ちそうな身なりをしていた。
貴族というよりは商人…それも成金風の派手で趣味の悪い服装だったが…。
セイルはつぶやく。
「へぇ…フェアリーかぁ〜、珍しいなぁ…」
「私は過去に何度か見た事がありますが…あの男性は飼い主でしょうか?何やら揉めているようですね」
アルトリアは成金男(仮)に近寄って声を掛けた。
「あの、失礼…お見受けした所、何やらお取り込み中のご様子、どうかいたしましたか?」
(ア…アルトリア!?…もぉ〜、そんな他人の事情に首突っ込むなよぉ…)
セイルは内心ため息を吐いた。
男の方もいきなり赤の他人から話し掛けられたので驚きながらも答えた。
「あ…ああ、コイツはさっき西大陸から来た行商人からワシが買ったフェアリーなんだがね、どうにも生意気なヤツで手を焼いてるんだ。ハァ…顔は良かったんだが性格が最悪だったよ」
見ると確かにそのフェアリーの少女は人間の目から見ても美しい顔立ちをしている。
アルトリアは言った。
「あぁ…それはいけませんねぇ。以前私が仕えていた主人もフェアリーが好きで10匹ほど飼っていましたが、こいつらはブンブン飛び回って目障りな上に口やかましいヤツが多いですからねぇ〜」
「フェ…フェアリーを10匹も!!?あんたの前の主人って一体どんな大富豪だったの!!?」
仰天する男。
大富豪というか女王なのだが…。

そこへ、新たに二人の男が現れて話に入って来た。
「あ〜、ちょっと良いかな?なんだな」
「もし良かったらそのフェアリー、僕達に譲ってもらいたいんだな」
二人ともフードを深く被っていて顔は見えないが、寸分違わぬ丸々と肥え太った体型や変な語尾などの共通点から、どうやら双子らしい。
「本当かい?こんな性悪フェアリーで良ければ売ってやるよ」
「性悪で悪かったわね〜!!」
太った双子はニタニタと怪しく笑いながら言った。
「ふひひ…むしろ性格が悪ければ悪いほど萌えるんだな〜。調教し甲斐があるってもんなんだなぁ〜」
「ハァ…ハァ…この子はどんな声で鳴くのかなぁ〜。考えたら何だか勃ってきちゃったんだなぁ〜」
「「「……」」」
色々と想像を巡らせて興奮し始めた双子にセイルとアルトリアと成金男は思わず後ずさりする。
だが買ってくれると言っているのだ。
その後どう扱おうが知った事ではない。
成金男は言った。
「こ…このフェアリーは金貨100枚で買った物なんだが…」
「ああ、それで良いんだな。お前の住所を教えてくれれば後日、屋敷の者に届けさせるんだな」
「解った、それで良いよ」
交渉が成立した。
「えぇ!?う…嘘ぉ…!」
男の手の中のフェアリーは青い顔をしている。
「イ…イヤだよぉ!!助けてぇ〜!!」
フェアリーは泣きそうな声でアルトリアに助けを求めた。
だがアルトリアは非情。
「残念だったな、羽虫。これがお前の運命だ。諦めろ」
「そんなぁ…!?」
そこに…
「ちょ…ちょっと待ってください!!そのフェアリー、僕が買います!!」
「「「はあ?」」」
突如として声を上げたのは今まで黙って事の成り行きを見ていたセイルだった。
「い…いや、しかし今この人達と…」
「そうだそうだ!僕らの商談に入って来ないで欲しいんだな!」
抗議されたがセイルは退かない。
「僕は金貨150枚出します!!しかも即金で支払いますよ!!」
「あ…後出しジャンケンなんだな!」
「セイル様!正気ですか!?こんな羽虫のために…」
だが成金男は言った。
「解った。君に譲るよ」
「あ…ありがとうございます!」

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