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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 79

新人達は声を揃えて元気良く答えた。
「「「お断りしまぁーす!!!!」」」
「ええぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
上官達と先輩達は愕然。
「な…何でぇ!!!?」
「給料日の夜だよ!!?飲みに行かないでどうすんの!!?」
新人達は冷淡に答えた。
「いや、普通に家に帰るんですけど…」
「てゆうか職場の人と一緒に飲んで何が楽しいんですか…?」
「あの、僕お酒飲まないんで…」
「貴重な給料を酒代なんかに使いたくありません」
小隊長は震えながら中隊長に言う。
「ちゅ…中隊長…こいつら、我々とは違う種類の生物ですよ…」
「あ…ああ…同じ人間の外見をしているが…中身は全く違う何かだ…」
両方の世代の価値観が何となく解るアブ・シルら先輩達が間に入って新人達に言う。
「君達、これも仕事だ。付き合え。これは誘いではない。業務命令だ。我々と一緒に遊べ。そして金を使え。繰り返す。これは“誘い”ではない。“命令”である」
それを聞いた新人達は互いに小声で話し合う。
「お…おい、どうする…?」
「俺、嫌だよぉ…この前新人歓迎会やったばっかりじゃないか…」
「え?僕そんなの知らないんだけど…」
「そういやセイルは“アブ・キル怨霊”に取り憑かれてたからな…でも行かなくて良かったよ。ぜんぜん楽しくなかったから…」
「…で、どうする?命令って行ってるぞ…」
「こういうのって参加しないとイジメられたりするのかな…?」
「そこまではないと思うけど…」
「付き合い悪いとか言われそうだよな…」
「別に言われても良くね?」
…と、その時!終業を告げる鐘の音が高らかに鳴り響いたのだ。
「…っ!!!!」
新人達はハッと悟った。
いつ逃げる?…今でしょ!!
「お疲れ様でしたぁー!!」「お疲れ様でしたぁー!!」
「お疲れ様でしたぁー!!」「お疲れ様でしたぁー!!」
「あ!おいコラ!」
「待て!お前らぁー!」
「俺達の酒に付き合えぇー!!」
「オジサンに仕事の悩みとか相談して良いんだぞぉー!?」
「「「さよーならぁー!!!!」」」
新人達は金を手に握り締め、脱兎の如く逃走した。

「はぁ…はぁ…なんか先輩達に悪い事したような気もするなぁ…」
セイルは街の市場へとやって来ていた。
夕暮れ時、市場は大勢の人でごった返している。
「…でも大事なお金だから…やっぱり自分の好きな事に使いたいよ」
そこへ、アルトリアが姿を現す。
「お疲れ様です、セイル様」
「アルトリア!」
「お金、入ったんですね。何に使うんです」
「うん…王様から貰ったお金も含めると相当な額になるからねぇ…」
セイルは少し考えてから言った。
「父様、母様、それにお爺様に何かプレゼントをしたいな…」
「それは良いですね!」
(君にもね、アルトリア…)
だが、その言葉は何だか気恥ずかしくて言えないセイルであった。
「さて…みんなどんな物をあげたら喜んでくれるだろう…?」
「何でも…セイル様のお気持ちがこもっている物ならば、何でも嬉しいと思いますよ」
「そうかぁ…じゃあ少し市場を見て回ってみよう」
アルトリアのアドバイスで両親と祖父のプレゼントを買うため市場を回る事を決めると同じくアルトリアもセイルに付いていく。
「セイル様、お供致します」
「ありがとう」
そう言うとセイルはアルトリアと一緒に市場を回り始めた。
それから、一時間後。

市場を歩き回ったセイルとアルトリアは両親と祖父達に贈るプレゼントが思ったよりも良い物が買えたセイルは嬉しくてしょうがなかった。
「セイル様、市場に来て正解でしたね」
「うん、お祖父様にはキセル、父様にはターバン、母様には櫛、ミレルにはブローチを買えたからね」
アルトリアにミレルも喜ぶと言われセイルは照れてしまう。
「ウマル殿やご両親やミレル殿よろこびますよ」
「ミレルは幼馴染だし、なにかしてあげたかったからね」
「そういう心がけは大事ですよ」
「そんな大それたものじゃないよ。アルトリア、夕飯は市場で食べようか」

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