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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 72

「アルトリアぁーッ!!!」
「アルトリアさぁーんっ!!!」
事の急変を察知したセイルとアブラハムも慌てて駆け付けて剣を抜いた。
セイルの顔を見た男は思い出したように笑いながら言う。
「…あぁ、お前かぁ…」
「…そうだ!この間はよくも騙してくれたなぁ!!」
「ヘッ…騙される方が悪いのさ。それにしても傑作だったぜぇ…お前、俺が咄嗟に思い付いた嘘をコロッと信用しやがってよぉ…ククククク」
目しか見えない男の貌(かお)が愉快そうに歪んだ。
「こ…このぉ!!お前だけは許さない!!」
セイルは怒りに震えながら剣を構える。
彼の腑(はらわた)は怒りで煮えたぎっていた。
アブラハムはそんなセイルに危うさを感じ、叫んだ。
「よせ!セイル!乗るな!挑発だ!」
だが、頭に血が上ったセイルには届かない。
「うおぉぉー――っ!!!!」
セイルは男に斬り掛かった。
「ハッ!掛かったなぁ!!だからテメェは甘チャンだってんだよおぉっ!!」
男は剣先をセイルに向け突っ込んで来た。
技巧も何も無い単なる“突き”だが、その“速さ”はセイルを完全に上回っている。
アルトリアの時と違って距離も無い。
避けられない!
アルトリアとアブラハムがそう思った次の瞬間、セイルはヒラリと身をかわした。
男の出方を見てから判断して動いた訳ではない。
まるで突きが来る事を予め予測していたかのような身のこなしだった。
セイルの剣がピタリと男の喉元に突き付けられる。
男は叫んだ。
「な…何故だあぁ!!?俺の突きをかわせるヤツなんて居る訳ない!!」
セイルは言う。
「僕はお前に斬られた人を三人も見たんだ…その全員が“斬り傷”ではなく“刺し傷”だった。そして今のアルトリアとの戦い…これだけ馬鹿の一つ覚えみたいに見せ付けられれば、お前が突き技を得意としている事ぐらい予測出来るさ!」
自分の得意技をあっさりと見切られた理由を知り犯人は悔しがる。
「こ…こんな甘ちゃんの小僧に俺の技が、見切られるなんて…あり得ねえ!!
「その慢心がお前の敗因だ。さあ、観念して投降しろ!」
自分の負けを認められない犯人のみっともない態度にセイルは怒りを抑えつつ観念しろと毅然と迫る。
しかし、セイルが強気の態度になると一転して犯人は弱気になり自分の身の上を語り泣き出す。
「わ…わるかった!!今回は見逃してくれ。お…俺には腹をすかせた家族がいるんだ」
「嘘だろう。そう言って逃げるんだろう!」
隣にいたアブラハムは嘘だろう叫ぶが、泣き出す犯人にセイルは嘘か本当か解らなくなり
犯人の喉元に突きつけた剣を降ろしてしまう。
「ぼっ僕は、どうすれば良いんだ?」
「本当に甘ちゃんの衛士様だな!」
「えっ、うわぁ!!」
犯人の喉元に突きつけた剣をセイルは降ろした瞬間、犯人は思いっきりセイルにタックルする。
吹っ飛ばされた拍子にルーナの聖剣はセイルの手から離れてしまう。
逆にセイルに剣を突きつけ犯人は勝ち誇った笑みを浮かべる。
「はっはっは形勢逆転だな。甘ちゃん小僧!」
「クッこれまでか!」
犯人がセイルを刺し殺そうとした時、犯人は両腕を一瞬にして切り落とされてしまい思いっきり血を流して、のた打ち回る。
「甘ちゃん小僧くたばりな!!いぎゃあああああああっ!!!?」」
「セイル様、こういう悪党に情けは禁物ですよ」
アルトリアが魔法を放って犯人の両腕を切り裂いたのであった。
間一髪の所で助かったセイルであったが、アルトリアが魔法を使えた事にびっくりする。
近くにいたアブラハムは尊敬の眼差しでアルトリアをみていた。
「アルトリア、君って魔法使えたの?」
「剣と魔法も使えるなんて、アルトリアさん凄いです!」
「説明は後でしましょう。しかし、その前に!」
「いぎゃあああ!!スースースー」
「この下種で醜い罪人の捕縛をお願いします。」
アルトリアは両腕を切り落とされのた打ち回る犯人に眠り魔法を掛け眠らせて、セイルとアブラハムに捕縛を指示する。

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