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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 71

そんな事をアブラハムは一切気づかなかった。
しかし、憧れのアルトリアから『信頼しています』といわれ逆上せ上がりアルトリアの囮作戦を容認する。
「わかりました!アルトリアさん、あなたの身はこの僕が守りますので御安心ください!」
「ありがとうございます。セイルさまも宜しいですね」
「解った僕達を信じてね」
アブラハムのはしゃぎぶりに反対できないとセイルは悟る。
聖剣の聖霊であるアルトリアが街娼殺しに遅れを取るとは思わないが、パートナーである彼女を危険な目にあわせるのはどうしても納得がいなかった。
しかし、アルトリアの策に反論できずセイルは納得するしかなかった。
同時にセイルは結局彼女を道具と見なしている罪悪感を感じていた。

「それでは、街娼の集まる場所へ案内してください」
「はい!こちらです!」
そう言って、街娼が集まる広場へアルトリアをアブラハムとセイルは案内する。

被害者の娼婦に変装したアルトリアの姿を見た娼婦達は目を丸くして驚いた。
「ザフラじゃないの!」
「あんた、もう出て来て良いの!?」
たちまち辺りの娼婦達が皆アルトリアの元へと集まってきた。
彼女は笑って答える。
「いやなに、あんなのはカスリ傷です」
「…いや、全治3ヶ月の重傷って聞いたけど…」
「てゆうか口調変わってない?」
「まぁ、細かい事は気にしないで…それより私、犯人の顔を見てしまったんです」
「それ本当!?」
「そう言えば、あんた被害者の中で唯一の生存者だもんね!」
「犯人はどんな男なの!?」
「体格は痩せ型、容姿は…」
アルトリアは娼婦達に犯人の大まかな特徴を話して聞かせた。
なるべく大声で、なるべく大勢に注目されるように…。

その様子をセイルとアブラハムは遠巻きに見ていた。
「こうすれば娼婦達に注意を促せるし、一石二鳥だ」
「なるほど、良い手だ。上手く犯人が掛かってくれれば良いけど…」
「アルトリアを信じようアブラハム。今動いたらアルトリアの厚意を無にするだけだよ」
アルトリアを信じようとアブラハムを諭すセイルであったが、アルトリアラブのアブラハムは居ても立ってもいられなかった。
「そりゃ、解ってるよ。でも、相手は娼婦を平気で殺す悪党だよ。心配で、心配で」
「アブラハム・・・(なんか、僕が冷たい奴じゃないか…)」
アルトリアを心配してくれる同僚アブラハムにセイルは思わず考え込み。
自分が冷たい男なんじゃないかと考える。
聖剣の聖霊であるアルトリアの強さを知っているが、
彼女を武器のように扱ってる感じがしていた。
そして、セイルはアルトリアと自分のパートナー関係をじっくり話し合おうと考える。
(一度、アルトリアとはじっくり話し合う)
そんな事をセイルが思っているとも知らないアルトリアは娼婦達と別れ、広場を後にした。
それに続いてセイルとアブラハムも動く。
「おいセイル、なにボンヤリしてんるんだよ?早く行くぞ」
「…え?あぁ、ごめんごめん…(いけないいけない、今は余計な事を考えてる場合じゃないんだ。アルトリアを守る事だけに集中しなきゃ!)」

アルトリアは自身が今変装している娼婦が襲われた地点へと向かう。
「……(いるな…)」
暗い夜道を歩きながらアルトリアは、自分から少し距離を置いて付いて来る数人の気配を感じていた。
1、2…3人。
真後ろから二人…これはセイルとアブラハムで、まあ良い。
問題は残り一人…彼女の歩いている通りの一つ向こうの通りを平行して歩いている男がいる。
辻に差し掛かる度にジッとこちらを見ている。
普通の人の視力では判らない距離だが、アルトリアは魔力を用いて男の様子を認識していた。
(…来た!)
ある辻に来た所で、ついに男がこちらへ向かって走って来た。
頭には布を巻いており、目しか出していない。
そして走りながら腰から下げた剣に手を掛けている。
男はアルトリアを殺す気だった。
(セイル様とアブラハム殿に知らせるか…!?)
アルトリアはチラッとセイル達の方を振り返った。
(…いや、相手は殺人鬼…セイル様達にはまだ早い。ここはやはり私が食い止める…!)
アルトリアがそう結論付けた直後…
「死ねえぇぇー―――っ!!!!」
男が剣を抜き放ち、叫びながらアルトリアに向かって突進して来た。
「…ふんっ!」
 キィィンッ
アルトリアは魔法で出現させた剣で男の剣を払い退ける。
「な…なにぃっ!?」
男は慌てた。
ただの街娼だと思っていた…一瞬でカタを着けてやるつもりだったのに、なんと剣を弾かれたのだから。

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