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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 70

思いがけない所でアルトリアに再会し、アブラハムは大喜びであった。
アルトリアはアブラハムに軽く挨拶すると自分も犯人逮捕に協力する事をセイルに伝える。
「御機嫌よう、アブラハム殿。セイル様、私に犯人を捕まえる良い術があります」
犯人逮捕に良い術があると言うアルトリアの話を訊くセイルとアブラハム。
「良い術なんだい?」
「どんなのですか、アルトリアさん」
「私が街娼に成りすまし、囮役になって犯人を捕まえるのです」
アルトリアは囮役になって犯人を捕まえる事を話すが、セイルとアブラハムは反対する。
「駄目だ、危険すぎる!」
「そうですよ。下手したら殺されますよ!」
囮役を志願するアルトリアをセイルとアブラハムは止めようとするが、アルトリアは全く動じず犯人を早く捕まえないと大変であることを二人に説明する。
「セイル様、アブラハム殿、お気持ちは嬉しいですが、これ以上野放しにすると犯人は増長し、もっと大胆な行動に出るはずです。例えば民家に侵入し一家を殺して金を奪うとか、ありえます!」
アルトリアのシビアで迫力ある説明の前にセイルとアブラハムは圧倒され納得するしかなかった。
「たっ確かにありえる」「そうなったら、衛士隊の評判も堕ちるよね・・・」
「衛士隊の評判は正直どうでもいいのですが、私としてもこれ以上犠牲者が増えるのは忍びないのです」
「…解った。明日から早速頼むよ、アルトリア」
「も…もちろん僕もアルトリアさんをお守りしますよ!」
「お二人とも、ありがとうございます」

そして翌日、夜…
「お待たせ、アブラハム。珍しいねぇ、君の方が先に来るなんて」
「こんばんは、アブラハム殿」
「……っ!!」
…セイルはアルトリアを伴い、いつも待ち合わせている衛士府の前でアブラハムと落ち合った。
アルトリアの姿を見た途端に言葉を失って真っ赤になるアブラハム。
アルトリアは肌も露わな…というか殆ど半裸の娼婦の装いだった。
「あ…あの!ほ…ほほ…本日はお日柄も良く!ぜっ絶好の夜回り日和で!ま…まっ誠に嬉しく…!!」
「落ち着けアブラハム!意味が解らない…てゆうか何で前屈みになってんだよ!?」
「す…済まんセイル、アルトリアさんの娼婦姿、あまりにも刺激が強すぎて…」
「しっかりしてくれ。そんなんで犯人に会ったらどうするんだ」
「少し待ってくれ!いま素数を数えて気持ちを落ち着けるから…」

「…ありがとう、もう良いよ。いやあ、それにしてもアルトリアさん魅力的すぎますよ。これなら犯人も喜んで寄って来るに違いありません」
「それはどうも。個人的にはこんな中途半端な布を身にまとうぐらいならいっそ裸の方がすっきりして良いと思うのですが…」
「素晴らしい!是非そうしましょう!」
「二人とも〜、バカばっか言ってないで行くよ〜」

三人は以前、セイルが犯人の男と出会った区画へと向かった。
「しかし、いくらアルトリアさんが超絶魅惑的でも、そうそう犯人と遭遇する可能性は無いと思うんだけど…」
当然の疑問を口にするアブラハムにセイルは言った。
「大丈夫、犯人の方から否が応でも近付いて来るように罠を仕掛けるからね」
「罠…?」
首を傾げるアブラハム。
「つまり、こういう事ですよ…」
そう言うとアルトリアは小声で短い呪文を唱えながら右手でスッと自分の顔を撫でた。
すると彼女の顔はたちまち別人の物へと変わった。
「あっ!」
それは先日、犯人に襲われたが辛うじて命を取り留めた娼婦の顔だった。
セイルは言う。
「襲われた娼婦の中で唯一の生存者…つまり犯人の顔を知っている人だ。それがまた現れたとなればきっと犯人も気が気じゃないハズだよ。そして恐らく殺そうと考えて向こうから近付いて来るに違い無い…」
「ちょっと待って!もし犯人がそんな事気にしなかったら…?」
その問いにはアルトリアが答えた。
「いえ、犯人は犯行の発覚を恐れ、その都度娼婦を殺すほど臆病で用心深い人物です…恐らく来るでしょう」
「で…でも危ないですよ!犯人はあなたを殺そうとして来る訳でしょう?もしかしたら物陰に身を潜めていて突然斬りかかって来たりとか…」
「確かにそうですね。信頼していますよ、お二人とも」
アルトリアはニコッと笑った。
もっとも彼女なら例え奇襲を受けても一人で何とか出来るのだが…。

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