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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 68

空腹なのもあるが、Bランチ定食の美味さにセイルも無我夢中で食べ出す。

「ふう〜食後の冷たいジャスミンティーも良いですね」
「本当だね。口の中がすっきりしたよ」
その後、食べ終えたセイルとアルトリアはウェイトレスが持ってきた冷たいお茶を飲み一息付く。
二人の満足気な笑みにアブラハムは微笑ましくみていた。
「そうだろう。人間美味しい物を食べたら気が晴れるからね。その証拠にセイル明るくなったよ。最近は怖くて少し近寄りがたかったからね」
「犯人逮捕に血眼になってたからね」
何気ないアブラハムの指摘でセイルは犯人に固執しすぎて冷静さが足りてなかった事に気づく。
自分が余裕を失ってたことに気づいたセイルをアルトリアは食後の余韻に浸りながら関心する。
(流石セイル様、余裕を失えば失敗しますからね)
「ありがとうアブラハム。お陰で元気が出たよ!」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
礼を言われ照れてしまうアブラハム。

三人は楽しい食事を終え、店を出る事にした。
「ふぅ〜、実に良い物を食べさせていただきました」
「それじゃあ行こうか、昼休み終わっちゃうからね。すいませ〜ん、お勘定お願いしま〜す!」
セイルは手を上げて店員を呼んだ。
「は〜い」
パタパタと給仕の娘が駆け足でやって来る。
アブラハムは不敵な笑みを浮かべながら二人に言った。
「フッ…アルトリアさん、セイル、ここは僕が奢らせてもらおう」
「おぉ!本当ですかアブラハム殿!?何から何まで有り難い」
セイルは小声でアブラハムに囁く。
「アブラハム、カッコつけるなよ。まだ初任給も入ってないのに無理しない方が…」
「フッフッフッ…セイル、この店の素晴らしい所はな、美味い、早い、そして安い事だ。これだけの食事でなんと一食、銅貨20枚」
「それは安い!」
「そういう訳だからさ、アルトリアさんの前で良い格好させてくれよ…な♪」
アブラハムはセイルの肩にポンと手を置いた。
「解った。その代わり今度は僕に奢らせてよ」
「おう」
給仕が三人のテーブルにやって来て告げる。
「えと…B定食お一つで銅貨50枚ですので合計で銅貨150枚になります」
「ちょっと待てえええぇぇぇぇぇいっ!!!!B定食は銅貨20枚じゃなかったんかい!!?」
アブラハムは悲鳴に似た声で叫んだ。
「申し訳ございません。近ごろ食料品…特に主食である米や小麦が値上がりしておりまして…」
「そんなぁ!!聞いてないよぉ!!」
「ア…アブラハム!やっぱり僕、自分の分(アルトリア込み)払うよ…」
セイルは財布を取り出そうと懐に手を入れるが、アブラハムはその手をガシッと掴んだ。
「ま…待て!騎士に二言は無い!」
結局、アブラハムは(アルトリアの前という事もあって)全額支払った。

「トホホ…えらい出費だぁ…」
(だから無理するなって言ったのに…)
衛士府に戻る道すがら、泣きそうな小声で呟くアブラハムにセイルは半ば呆れ、半ば同情の視線で見ていた。
(やっぱり僕らの食事代を返すか…いや、受け取らないよな。何か別な形で返す方法は…)
セイルはそんな事を考えながら歩いていた。
一方、いまいち事情を知らないアルトリアはアブラハムの手を取り、少女のように目を輝かせながら感謝の気持ちを伝えた。
「アブラハム殿、今日は実に有意義な昼食を堪能させていただきました。次にご一緒する機会がございましたら是非また王都内の名店を教えてください」
その言葉でアブラハムは瞬時に復活した。
「ア…アルトリアさん!…解りましたぁ〜!!このシャフィーク・アブラハム!貴女のためならば喜んで全俸給でもお捧げいたしまぁ〜す!!!」
「落ち着けアブラハム!」
「おぉ!!それは本当ですか!?」
「お前も煽るなーっ!!」

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