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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 63

そう言うセイルをアルトリアはやや冷ややかな目で見ていた。
犯人の狙いは街娼だから、街娼が多く集まる場所に出るのはわかる。
しかし、夜の町をでセイル一人で警備し切れると思ってなかったのである
「左様ですか…(それなりに考えているようですが…捕まるのは難しいですがね。夜の王都は厄介ですよ)」
「アルトリア、少し怒ってない?」
何所となくぶっきら棒なアルトリアの態度にセイルは怒ってるかと思うが、アルトリアは怒ってないと笑顔でセイルに答える。
本当は止めたかったのだが、頑固なセイルには今は何を言っても無駄だと思ったのでアルトリアはあえて好きにさせたのである。
また、直ぐに音を上げるとアルトリアは思っていた。
「いえ、怒ってませんよ。ただ、早く行きましょう父君様と母君様に気付かれてしまいますよ」
「うっうん、そうだったね。じゃあ、僕はいくよ」
そう言ってセイルは部屋を出ると夜の王都イルシャマディーナへ向かっていった。
そして、夜の王都で連続街娼殺しの犯人を見つけるのと街娼達を守るのが如何に難しいのか、
セイルは思い知ることになる。

「あらぁ〜可愛い坊やね〜」
「お姉さんと一緒にイイ事しましょうよ〜」
王都の歓楽街地域に入ると早速客引きする街娼達と出会い。
彼女らの対応に苦慮するセイルであった。
「すっすいません。今日は人を探してるんで・・・」
「人って?」
「近ごろ王都を騒がせている連続街娼殺しの犯人です」
「あら怖い。そんなヤツ探してどうするの?」
「僕が捕まえてみせます!」
「「「……」」」
真顔で言うセイルに娼婦達はきょとんとしてしまう。
だがすぐに黄色い笑い声が起こった。
「キャハハハ!坊やが?」
「アハハハ!頼もしいわぁ〜」
「いや!僕は真剣ですよ!」
「フフフ…ありがとね、可愛い騎士様♪」
娼婦の一人がセイルの鼻をツンとつついた。
どうも本気には取られていないようだ。
「ま…まぁ、良いです。もし不審な人物なんか見かけたら、すぐ僕に知らせてください。この辺りを巡回してますんで…」
「「「は〜い♪」」」
娼婦達もからかい半分だ。
どうせ義憤に駆られた物好きな上流階級のお坊ちゃまの気紛れ。長続きはしないだろうと…。

だが、彼女達の予想に反してセイルは毎晩巡回に現れ、一週間も経つ頃には、すっかり顔馴染みになってしまった。
「あらあら、今日も来たのね?」
「はい、犯人を捕まえるまでは来ますよ」
「無理しないでね」
「そうよ。夜の街は危険なのよ」
そのお陰で街娼にもセイルに好意的な者も少し出てきた。

「所で街婦殺しに心当たりはないですか?」
「う〜ん、わからないわ?」
「お客さんたくさんいるからね」
「そうそう。ここに来るお客達って、怪しいのが多いものね〜」
犯人の手がかりを街娼たちから聞き込むセイルであった。
「そ、そうですか・・・」
しかし、あまり大きな情報は得られずセイルは少し落ち込んでしまう。

夜の街を廻って街娼を見かける度にそうやって声をかけていく。
時には夜警中の衛士に出くわす事もある。
「何だお前は?こんな時間にこんな所で帯剣して何をしている?」
「まさか近ごろ噂の娼婦殺しではあるまいな!?」
「失礼な!同業者ですよ。その娼婦殺しを捕まえるため、また娼婦達を守るためにこうして独自に夜の街を巡回してるんです」
「へぇ、こりゃまた物好きな奴もいたもんだなあ」
「さては総監に直訴した第三中隊のクルアーン・セイルってのはお前だな?」
「そんな事しても何の得にもなりゃしないってのに、勤務時間外にご苦労な事だな」
衛士の連中だってこの程度の意識。
上が上なら下も下という訳か…セイルは腹が立って思わず声を荒げた。
「損得の問題じゃないでしょう!?僕は王都を守る衛士として…!」
「あぁ、悪かった悪かった。そう怒んなよ。俺らも怪しい奴がいないか良〜く注意して廻るからさ」
「なあ、巡回の頻度、一晩一回から二回に増やすか?」
「中隊長に検討してみよう。それぐらいならたぶん通るだろ」
「ほ…本当ですか?」

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