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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 57


結局どうしようも無いので、心を病んだ人々を収容する療養施設へ入れる手続きが取られた。
「ねえねえ、ボクどこへつれてかれるの?こわいとこイヤだよ〜」
「大丈夫、お友達がいっぱい居る所だよ」
「ほんと!?わあ〜♪たのしみだなあ〜。ここはこわい人たちがいっぱいいるからイヤだったんだ〜」
「「「……」」」
アブ・キルは宝石のように美しく澄んだ瞳で、施設の職員に連れられて行った。
あまりの変化に皆はその様子をただただポカーンと見ていた。
軍医の見立てでは、いつ元に戻るか解らない…ひょっとすると一生元に戻らないかも知れないという。
「僕は…一人の人の人生を破滅させてしまったんじゃないだろうか…?」
罪の意識に思い悩むセイル。
その肩にポンと手を置いてアブ・シルが言った。
「君のせいじゃないよ。ヤツは常に己の内から湧き起こる耐え難い恐怖と戦っていたんだ。それがやっと解放されたんだよ。あいつはようやく安息を手に入れたのさ。君はヤツを救ったんだよ」
「そうなんでしょうか…でも正直複雑ですよ」
そう言うセイルの優しさを認めつつアブ・シルは嗜める。
「クルアーンくん、君は優しいね。でも、そういう事は一人前の騎士になってから考えるんだ。今は一日も早く勤めに慣れる様にしないとね!」
「そっそうでしたね!アブ・シル先輩」
「まずは衛士隊員の一日行う勤務を説明するよ!」
「はっはい!お願いします!」
アブ・キルのせいで大分横道にそれたが、セイルはやっと騎士としての勤めを本格的に始まったのである。

それから、数日後。

あれから数日、セイルは警邏を行う順番、念入りに警邏を行わなければならない場所や事件が起きた時の対処法等を指導役のアブ・シルからみっちり指導されていたのである。
新しい指導役のアブ・シルは、アブ・キル異なり真面目で面倒見が良かったのでセイルは任務を拙いながらも全うできていた。
「ふう〜疲れたよ。アブ・シル先輩少し厳しい所もあるけど、教え方が適切だから何とかなりそうだな」
「セイル様、良い指導員の先輩で良かったですね。」
仕事を精一杯行うセイルをアルトリアは微笑ましくみていた。
「うん、アブ・シル先輩のお陰で遅れた分を取り戻す事が出来そうだよ」
「それは良かったです!一時はどうなるかと思いましたよ」
ほんの少し前までアブ・キルのしょうもない嫌がらせのせいで、やつれ切っていたセイルが今では充実してるので思わず笑みを浮かべるアルトリアであった。
アルトリアに労いの言葉をかけながら、セイルはパサンやアリーやサーラの事を気にかけていた。
「心配かけてごめんね。そういえば、パサンやアリーやサーラさんはどうしてるかな?」
「大丈夫ですよ。皆さん、しっかりやっていますよ。それに便りがないのは元気な証ですよ」
旧友たちの近況が気になるセイルにアルトリアは『便りがないのは元気な証拠』といって励ます。
「そうだね。パサンもアリーもサーラさんたちは強いからねちゃんとやってる筈だよ」
「セイル様!そうです!その意気です!」
親友たちの活躍を信じるセイルをアルトリアは優しく励ます。
そこへ、空きっ腹を大いに刺激する肉の焼けた匂いがするのに気づいたアルトリアは近くに串焼き屋をみつけセイルにねだってくる。
「おっこの香しい匂いは〜セイル様!小腹が空きましたぁ〜串焼きを買って食べ歩きながら帰りましょう〜」
「アルトリア君はもう少し…我慢を覚えたっ…何でもないよ」
串焼きをねだるアルトリアにセイルは我慢しようと言うが、アルトリアは恨めしそうな顔をするので仕方なく買う事にした。
そして、串焼き屋から焼牛肉串5本と焼豚肉串5本を買って貰ったアルトリアは手にするなり頬張り出す。
アルトリアは聖剣の聖霊だけのことはあって、誠実で文武両道の才女であったが、
途方もない大食いで食に関しては自制心が欠けていて、セイルはそんなアルトリアの意外な弱点を注意する。
「アルトリア、騎士は買い食いしたり自制心なく貪っては駄目なんだよ」
「モグモグ!ムシャ!セイルさま!私に・・・我慢しろって、無理です!」

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