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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 344

それは以前に街でセイルとモメた元農民の騎士達だった。
「…お…おお…オメェー!!ま…ままま…まぁたオラ達を馬鹿にすっとかぁ!!?おぉー!!?」
「…いや、だから馬鹿にしてませんって…何度言ったら解ってもらえるのかなぁ…めんどくさい…」
「う…うるせえぇぇー!!!!ここで会ったが百年目だべぇ!!!」
「改めてオラ達と勝負せぇ!!!」
一人が剣を抜くと、それに続いて他の者達も次々と抜刀した。
「キャアァァ!!!」
「斬り合いだぁ!!!」
「いいぞぉ!!やれやれぇ!!」
人々は怯えるが、中には煽る不届者もいる。
セイルは叫んだ。
「…剣を収めろ!!今日はめでたい冬至の祭の日…それを血で汚すような真似をするな!」
「うるせぇ!!!カッコ付けやがって!!ムカつくヤツだべぇ!!」
「今日は負げる気がしねぇでよぉ!!!」
それもそのはず…今日の彼らの人数…おおよそ二十人前後。
しかも良い感じに酒も入って気が大きくなっている。
セイルは思った。
(参ったなぁ…斬り抜けられない事は無いが、こんな日に人を斬りたくない…どうすれば…?)
セイルを取り囲み、じわりじわりと包囲の輪を縮めていく騎士達…。
そこへ…
「…ふんっ!!!」
「…ぐぎゃあっ!!?」
布で顔を隠した一人の娘が現れ、騎士の一人に跳び蹴りを喰らわせた。
「君!助太刀するわ!」
「な、何だべぇ!?コイツ…!?」
(…な、何かデジャヴだな…)
セイルはその娘がサーラである事はすぐ判った。
だが彼女も顔を隠しているし、あえてここは知らないフリで通す事にした。
「…助太刀、感謝する!不良騎士共とはいえ出来るだけ殺さずに切り抜けたい!協力してくれるかい!?」
「…了解!いくわよ!」
「チクショウ〜!!!ふざけやがってぇ!!!」
「何でオメェはいっつも女に助けられるだ!!!羨ましい〜!!!」
「オメェらぁ!!!やっちめぇー!!!」
「「「おぉーっ!!!!」」」
…そして乱闘が始まった。
セイルは剣を抜いて大立ち回り(ただし峰打ちである)。
サーラも町人の一人が「姉ちゃん、使いな!」と投げてよこした木の棒を振り回し、次々と打ち倒していく。
一方、対する元農民騎士達は酔って太刀筋も滅茶苦茶な上に連携も全く取れておらず正に烏合の衆。
こうなると数の多さが逆にアダとなる。
中には剣を振り回して味方をケガさせてしまう者まで…。
これではセイルとサーラが気を使って傷付けないようにしてやっている意味が無い。
数人ほど倒して逃げ道を切り開いた二人は逃げる事にした。
「…あっ!ま、待てぇ〜!」
「逃げるんかぁ〜!?」
セイルとサーラは振り返りもせず走り去ったのだった…。

「はぁ…はぁ…ここまで来れば、もう追って来ないだろ…」
「はぁ…はぁ…ええ…でも王宮からはだいぶ離れちゃったわねぇ…」
「…ありがとうサーラさん、助かった…」
セイルはサーラに礼を言った。
それでサーラもようやく正体がバレていた事に気付き、バツ悪そうに肩をすくめて上目使いにセイルを見た。
「な〜んだ…いつから気付いてた?」
「実は最初っから…」
二人は辺りを見回してみた。
「ここ、王都のどの辺かしらね?」
「騎士学校の近くじゃないかなぁ…」
「……」
「……」
不意に黙る二人。
騎士学校…セイルとサーラが初めて結ばれた思い出の場所だ。
サーラは思い付いて言った。
「…ね、ちょっと行ってみない?」
「学校へ?」
「そ♪」
「でも今は閉鎖されてて誰もいないよ?」
「誰もいないから行くんじゃない!」
「はあ…(そういう事か…)」
セイルもサーラの意図を察した。
夜、誰もいない二人の思い出の場所で…………そういう事だ。
そして二人は懐かしいかつての学舎(まなびや)へと足を向けた…。

その途中の出来事だった…
「…どけどけぇ!!」
「道を開けろぉ!!」
「うわっ!兵隊だ!」
「…何だ何だ!?」
10人前後の兵士達が大急ぎで通りを走り抜けて行ったのだ。
全員ただ事ではない表情…。
「…何だろう?何かあったのかなぁ…?」
職掌柄セイルは何となく気になる。
逆にサーラは興味無さげだ。
「どうせケンカか何かでしょう?お祭りの夜には良くある事じゃない…」
そこへ通行人同士の会話が偶然にも耳に入る。
「何かあったのかね?」
「いやあ、どうも“殺し”らしいよ」
「殺し…めでたい祭りの日に…嫌だねえ〜」
それはセイルの“騎士魂”に火を付けてしまった。
「…サーラさん、僕ちょっと現場を見て来るよ!」
「…あ、私は遠慮させてもらうわ…」
「そう?じゃあ悪いけど少しの間ここで待っててよ!」
「う…うん…」
「すぐ戻るから…!」
そう言うとセイルは走り去った。
後に残されたサーラは深い溜め息をつく。
「はあぁ〜…そこで殺人現場を見に行くか普通…」
まあセイルらしいと言えばセイルらしいか…と自分に言い聞かせ、諦めて彼の帰りを待つ事にしたサーラであった…。

一方セイルは事件の現場にやって来た。
そこには既に黒山の人だかりが出来ている。
「被害者は…?」
「若い娘みたいだぜ…可哀想に…」
セイルは人混みを掻き分けて行った。
「ちょっと失礼…すいません」
「おい!押すなよ…」
歳の頃16〜17の娘が斬られて死んでいた。
だが普通の死に方ではない。
娘は裸に剥かれており、歳の割には豊かなその胸の谷間から下腹部までをパックリと切り開かれ臓物が……(以下の描写は都合により割愛)。
「惨(むご)い…っ!!!」
セイルの胸の内に怒りと憤りの感情が激しく渦巻いて燃え上がった。

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