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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 35

「いえ、そういう事じゃないのよ…」
サーラは哀しげな笑みを浮かべて言った。
「先日お父様…国王陛下から直々に申し渡されたの。鎮東将軍に就任した暁には王都に留まらず、現地に赴き軍務に勤しむように…ってね」
「えぇ!!?ど…どうして!?将軍なんて単なる名誉職じゃないか!国王陛下は一体どういうお考えでそんな事を…!?」
「良いのよ、セイルくん。おそらくこれは、お父様の意思ではないでしょうからね…」
「どういう事なの?」
セイルは訳が解らなかった。そんな彼の問いにサーラは少し困ったような表情で答える。
「どうやら私は自分自身で自覚している以上に政治的な影響力が強いみたいでね、私に王都にいられると都合の良くない人達が大勢いるみたい…。だから考えようによっては、これは私自身の身を守るためには逆に好都合な事なのよ。王都に残ったりしたら、それこそいつ命を狙われてもおかしくないものね…」
「……」
セイルは返す言葉が無かった。
「驚いた?でも王族なんてこんなものよ。当人が望もうとも望まざろうとも、政治や権力といったドロドロした物と無関係ではいられない…その代わりとして国民の労働の上に地位と生活が保証されている訳だから、まぁ文句は言えないわね…」
「だ…だけど、だからって酷いじゃないか!東方の国境地帯なんて…事実上、島流しみたいな物だよ!」
セイルはまるで我が事のように憤る。

イルシャ王国の東方は乾燥した不毛の地が延々と広がる砂漠地帯であり、従って東から攻めて来る敵というのは、まず居ないと言って良い。
居るとすれば砂漠に点在するオアシス都市か遊牧民ぐらいだろうが、これらはイルシャ王国に対しては概ね友好的であると同時に、そもそも対抗し得る軍事力を有していない。
つまりサーラは中央を逐われ、辺境の閑職に追いやられるという訳だ…。

セイルは言った。
「そんなの絶対おかしいよ!陛下に異議申し立てして、せめてもう少し王都に近い任地に変更してもらえないの!?」
そんな彼に対してサーラは微笑みながら応える。
「フフ…やっぱりセイルくんは優しいわね。君は昔から他人のために真剣に怒ったり、悲しんだり、そして喜んだり出来る人だったものね…だから私は君の事を好きになったのよ…初めて会った時から、ずっとね…」
「サーラさん…っ!」
その一瞬、セイルは我が身に起きた事が信じられなかった。サーラの顔が近付いたと思った次の瞬間、彼の唇の上にサーラの唇が重なっていた。

…それは一体どれぐらいの間だったろう?
ほんの一瞬だったようにも思えるし、ずいぶん長かったようにも思われた…。

…やがてサーラはセイルから身を引き、二人の唇は離れた。
「サ…ササ…サーラさん!!?これは一体…!?」
今更ながらセイルの顔は見る間に真っ赤に染まっていく。サーラはそんな彼の身体に抱き付いて、半ば叫ぶように言った。
「ごめんね、セイルくん…でも私もう自分を抑えられない…!」
「えぇ!?」
サーラは自らの服に手をかけ、胸元をはだけた。
「…っ!」
セイルは息を飲む。目の前に現れた二つの乳房はアルトリアのより大きいだろうか…。サーラはセイルの右手を取ると自らの胸の上に重ね、ささやくように言った。
「ほら…セイルくん、判る?私の胸、あなたの事を思ってこんなにドキドキしてるの…」
「サーラさん…」
セイルはサーラの胸に置かれた手に少し力を込めてみる。艶やかで張りのある肌触り…。まるで掌(てのひら)吸い付いて来るような不思議な感触だ。
「あ…あぁん…」
サーラから甘い声が漏れる。
(これは…現実だろうか…?)
セイルは自分の置かれている状況が信じられなかった。ずっと憧れていた学園のアイドルであり一国の王女でもあるサーラと乳繰り合っている自分…。もしかしたら夢なのではなかろうか…。
いや、そんな事はもうどうでも良い。この抑えようの無い胸の高鳴り…これだけは本物に間違い無い。
事実、セイルの心臓は物凄い勢いでバクバクと高鳴っていた。
そしてその脈動に併せ、彼の股間の一物もドクン…ドクン…と硬さを増していったのだった。
「今はあの子は一緒じゃないんでしょう…?」
そう言いながらサーラはセイルの腰に手を這わせる。

“あの子”とはアルトリアの事だ。
今セイルが腰から下げている剣は常に肌身離さず持っていたルーナの聖剣ではなく、先の授与式で貰った王家の紋章の入った剣であった。
アルトリアもセイルの家族と同様に授与式には観客として参列していたが、式を終え、同期生達との別れを惜しむ今となってまで随伴するほど野暮ではなかった。

サーラの手はセイルの下半身を這い回り股間に到達した。布越しに怒張したイチモツを撫でられ、セイルは思わずゾクゾクッと身震いしてしまう。
「…セイルくん…お願い…抱いて…」
サーラはセイルの耳元で囁くように言った。
「一度だけで良いの…一度だけで良いからアナタと繋がりたい…私だって、一生に一度くらいワガママ言っても許されるわよね…?」
サーラの瞳からスゥ…っと、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。

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