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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 336

サーラは言った。
「私を聖剣の勇者にして欲しいの!!」
「えええぇぇぇぇぇぇっ!!!!?」
それを聞いて、またもや飛び上がらんばかりに驚くセイル。
「そ…そんな事が可能なの…!?(ていうかそれが出来るんならサッサと他人に譲っちゃいたい!)」
「不可能です!!!」
アルトリアは断言した。
だがサーラも諦めない。
「お願い!!一時的でいいのよ!!用が済んだらセイル君に返すから!!」
「勇者の地位がそんな簡単に貸し借り出来てたまりますか!!」
一方セイルはうなだれる。
「やっぱり駄目かぁ〜…」
「何でガッカリするのですか…とにかく無理です!そもそも聖剣の勇者は私が選んでいる訳ではありません!聖剣自身なのですよ!」
「…えっ!?アナタが聖剣なんじゃないの!?」
「…そこを説明しようとすると長くなるんですよ…とにかく“私の意思”とは別に“聖剣の意思”というものがあるのですよ」
…そう言えば以前、アルトリアが聖剣について話してくれようとした時、色々あって先送りにしていた事をセイルは思い出した。
サーラは言う。
「…解ったわ…聖剣に認められない私が聖剣の勇者になるのは不可能なのね…」
「ようやく諦めてくださいましたか…」
アルトリアがホッと一息つくのも束の間、サーラは今度はセイルに向き直って言った。
「じゃあ…セイル君!」
「は…はい…!?」
「君に協力して欲しいの!あのね…!」
サーラは妥協案(?)として一つの提案をした…。


それから数日…イルシャ=マディーナ市内にて“ある噂”が囁かれ始め、それは急速な勢いで都中を駆け巡った…。


…その日、王宮の前庭が一般開放され、身分を問わず多くの人々が王宮を訪れていた。
「今日はサーラ姫様から“重大発表”があるらしいぞ?」
「一体何かしら?」
「ひょっとして“あの事”じゃないか?」
「いやぁ、あれは信憑性の薄い噂だろ…」
「でも、もし本当だとしたら大変な事よ?」
「いずれにせよあの姫様の事じゃ…きっと良い事に違いあるまい」
集まった民衆が口々に話していると、バルコニーのように高く張り出した所にサーラが複数の供を伴って現れた。
「「「ワアアアァァァァァァー―――ッ!!!!」」」
民衆から歓声が上がる。
サーラが右手を上げて民衆に向かってゆっくりと振ると、更に大きな歓声が上がった。
やがてサーラは口を開いた。
「……皆さん、今日はお集まりいただき嬉しく思います」
静かに、落ち着いた口調でサーラが話し始めると、歓声は自然と収まっていった(ちなみに声は魔術によって拡声されている)。
「今日は皆さんに一つの重大な事実を告げねばなりません。それは我がイルシャ王国にとって…いいえ、このエスパニア世界にとって極めて重要な事実です」
再び歓声が上がり始める。
「ありがとうございます。皆さん、どうもありがとう…。…さて、皆さんの中には既に耳にされた方もいらっしゃるでしょうが…私、イルシャ王国第27王女イルシャ・サーラは……」
「「「……」」」
聴衆は一転してシーンと静まり返り、サーラの次の言葉を待つ…。
しかしてサーラは高らかに宣言した。
「…ルーナの聖剣を抜きました!私は、聖剣の聖霊によってその使い手に選ばれた、国祖イルシャ・ルーナ女王陛下以来の、二代目の聖剣の勇者です!!」

「「「「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァー―――――――――――ッ!!!!!!!!!!」」」」
次の瞬間、辺りは割れんばかりの大歓声に包まれた。
空気がどよめき、揺れた。
いつまでも鳴り止まない歓声を制してサーラは続ける。
「…では皆さんに聖剣の聖霊を紹介いたしましょう!国祖イルシャ・ルーナ女王を聖剣の勇者に選び、女王の生涯に渡って彼女に仕え、共にイルシャ王国を建国し、彼女の死後は共に永の眠りに就いた…伝説の聖剣の聖霊、アルトリアです!!」
サーラの斜め後ろから白い紗の布で顔を覆った一人の美女が歩み出て来た。
白い衣装に身を包んだ神秘的な印象のその女は…アルトリアではなかった。
サーラの侍女のイーシャだ。
「ど…どど…どうも、ア…アア…アルトリア…です」
「「「「ウワアアアアアアアアアァァァァァァァァァァー―――――――ッ!!!!!!!!」」」」
再び大きな歓声が上がった。

…その時である。
「…待てえぇい!!」
あらぬ方向から声がした。
サーラや供の者達の後ろからだ。
皆が振り向くと、そこには第2王子のシャフリヤール、第7王女アーシア、それに供の者達が複数名いた。
シャフリヤールが歩み出てサーラに詰め寄る。
「サーラよ!!これは一体何の茶葉ぞ!?そなたが聖剣の勇者とな!?嘘も大概にせい!!そのような嘘偽りを申して民を欺いてまで玉座を欲するのかぁ!!?」
続いてアーシアも言う。
「サーラよ、そなたが真の聖剣の勇者であるというのであれば、何か確たる証を見せてもらいたい…今、ここでだ」
「……」
サーラは黙った。
シャフリヤールはニヤリと笑うと、民衆に向かって叫んだ。
「…見よ!見よ!!何も出来ぬであろうが!!民衆共よ!!騙されるでないぞ!!こやつは聖剣の勇者などではない!!王位欲しさに、畏れ多くも勿体無くも、開祖イルシャ・ルーナ女王陛下と同等の地位たる聖剣の勇者を騙る大嘘吐きのペテン師じゃあ!!!」
「……」
サーラは相変わらず何も言わない。
その態度に、民衆の間に疑惑が生じ始め、次第にざわめきが起こる。

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