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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 317

「……はあ?」
一方、サーラは膣内でビクビクと脈打つ男根の感触を味わいながらも、射精の間際にセイルの放った言葉に首を傾げる…。

やだ…この子ったらいきなり何言い出すのかしら?自分が王族だって言うの?そんな事言う子じゃなかったと思ってたけど…あぁ、でも何かここまで来るまでに色々苦労したみたいだから…うん、そうだよね…彼はちょっと疲れちゃったんだわ…いろんな事に…

「…セイル君、ごめんね…君の苦しみに気付いてあげられなくて…辛かったね…でももう大丈夫だよ…もう頑張らなくて良いんだよ…」
「…いや何で僕が何か可哀想な感じになっちゃってんの!?違うよサーラさん!本当なんだ!信じられないかも知れないけど…てゆーかそんな憐れむような視線で見ないでよおぉっ!!」
そこへ…

 ザバアァァ〜ッ!!!!

「うわぁっ!!」
「きゃっ!?」
「…うるさあぁ〜いっ!!!さっきから何なんですかアナタ達!!?私が“水たち”との会話を楽しんでいる所に邪な音を入れて邪魔をしてぇ!!!」
いつの間にか二人の側に迫っていたアルトリアが怒り心頭で急速浮上して来たのであった。
「ご…ごめん、アルトリア!…てゆうか君“水”と話せるの…?」
「もちろん!…水のみならず世界を構成する森羅万象は全て人間同様“意識”を持っていますからね。私は水の聖剣の聖霊ですから、特に水との親和性が高いのですよ」
サーラが言った。
「それなら騎士学校で習ったわ。精霊(ジン)ね。いわゆる“精霊魔法”も要はその自然界の“意識”に働きかけるのよね」
すっかり忘れ去られている設定だが、彼女は魔法が使える。
「ちなみに私は火炎系の魔法が得意よ♪」
「聞いてません。…というかセイル様、まさかの近親相姦とは…いやはや、我が主ながら堕ちる所まで堕ちられましたね…」
「ふ…不可抗力だったんだよぉ!」
「殺人、近親相姦…あとは“人肉食”が人として犯してはならぬ三大禁忌と伺っております。セイル様はいつ頃コンプリートなさるお積もりですか?」
「そんな予定は永久に無えよ!」

二人のやり取りを聞いていたサーラは、ようやくセイルが自分の肉親らしいという事を信じた。
「…どゆこと?詳しく説明して貰えないかしら?」
「解ったサーラさん…でもその前に一旦離れよう。話はそれからだ」

…その後、三人は浴槽の縁に並んで腰を下ろし、セイルはサーラに自分の身の上を打ち明けた…。

「なるほど…つまり君はそのシャハーンという女性と父上との間に生まれた、私の腹違いの兄弟って訳ね…」
話を聞き終えたサーラは溜め息混じりにそう言った。
「そうなんだ。いきなりこんな事を言い出してゴメン…僕は今さら王族としての扱いを要求したりする気は無いよ。ただ、サーラさんには知っておいて貰わなきゃいけないと思って…。もしこれでもまだ信じてくれないなら僕の母…シャハーンさんが残した鏡も見せる…」
「いいえ、セイル君。私は君を信じるわ」
「ありがとう!サーラさん」
「だって君、死んだ父上やアルシャッド兄様にそっくりなんだもの。主にそのヘタレっぷりが…」
「なぬぅ…っ!!?」
嫌な共通点で肉親だと信じられた事に少なからずショックを受けるセイル。
アルトリアも言う。
「私も以前アルシャッド殿とお会いした時など、そのヘタレ具合があまりにセイル様と似ておられたので内心“こやつら本当は生き別れの兄弟か何かじゃあるまいな…”などと思ったものです…」
「現王家の男は皆どっか頼り無いのよ…ま、血縁の成せる業ね」
「良いですよ良いですよ〜…どうせ僕はヘタレ一族の一員ですよ〜…」
アルトリアとサーラに貶められたセイルはイジけて膝を抱え、指先で床に“の”の字を書き始めた…。
「…それにしてもセイル君も私と同じように母親を殺された身の上とはね…シェヘラザードとヤヴズ・ワム…本当に人を人とも思わない冷酷非道な人非人共だったわ…」
謀殺された自身の母の事を思い出したのか、そう言ってグッと震える拳を握り締めるサーラにアルトリアが言った。
「…しかしその二人がそうまでして守ろうとしたアルシャッド殿の王位もアッサリと他者に奪われ、彼女ら自身もそれぞれに悲惨な末路を辿りました…人とは全く愚かで虚しい生き物ですね」
セイルはふと思い、サーラに尋ねてみる。
「…ところでサーラさん、アルシャッド殿下の事、今も恨んでる…?」
「恨む?…そうねぇ…シェヘラザードとヤヴズ・ワムは、出来る事なら地獄から呼び戻してでも私のこの手で殺してやりたいけれど…アルシャッド兄様の事はもう何とも思ってないわ…もう死んじゃったものね…」
「そうか…良かった…」
「どうして…?」
安堵の表情を浮かべるセイルにサーラは不思議そうな顔をする。
「いや、実はね…」
セイルはサーラに、アルシャッドを王の臨終に立ち会わせようと奮闘した時、彼がサーラの身を案じていた事を話した。
サーラが騎士学校では元気に日々を送っていると伝えると、アルシャッドはとても嬉しそうに「良かった、良かった…」と何度も言っていた事も…。
「……」
その話をサーラは黙って聞いていた。
セイルは“あの事”も話そうと思った。
アルシャッドが最期に自分に頼んだ事だ…。
「…それだけじゃないんだ、サーラさん。僕をサーラさんの元に導いてくれたのも、元を辿ればアルシャッド殿下なんだよ…」
「そ…それは、どういう事なの…?」
「信じられないかも知れないけど…」
セイルは話した。
アブ・シルを救えず己の無力さに打ちひしがれていた時、アルシャッドが夢枕に立ってサーラの危機を伝え、そして「サーラを助けてやって欲しい」と自分に頼んだ事…。
「…僕の夢と言われればそれでお終いだ。でも夢や幻にしては話の整合性が合いすぎる…きっと殿下は最期の最期までサーラさんの事を想っていたんだ…僕はそう思ってるよ…」
「…あの兄様が……」

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