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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 289

セイルが己の不甲斐無さと愚かさを責めている頃、ライラはというと。

「セイルくん、流石は聖剣の勇者だよ。しかし、もう時間はない明日で決着を付けさせてもらう。セイルくん、君を殺して聖剣ルーナは私が頂くよ。この腐った王国いや世界に復讐する為にも聖剣は必要だからね!ふっはっはっはっはっは!!!!!」
別の宿に泊まっているライラは本格的に動こうとしていた。
しかも、彼女は聖剣を手に入れ何か恐ろしいことを企んでいた。

翌日…
「…おや?セイル君、剣を代えたのかい?見事な装飾剣だね。どことなくディテールがあの聖剣と似ているようだが…」
「いえ、先生。これは形を変えた聖剣なんです」
「形を変えた?…まさか!今の君の戦い方に合わせて聖剣が姿を変えたとでも…!?」
「その通りです」
そう言ってセイルはアルトリアの方を見た。
「主のためならば…」
アルトリアは当然とばかり。
ライラは興奮した。
「す…凄い!素晴らしい!主に合わせて姿すら変えるとは…!さすが聖剣と呼ばれる由縁か!それを知って私はますますその剣を手に入れたくなったよ!」
アルトリアは虚しげな視線で彼女を見て思う。
(愚かな女だ…聖剣は個人の野望のために利用して良い物ではないし、そもそもそんな事は無理なのに…)
セイルは言った。
「先生…あなたに聖剣を渡す訳にはいきません!…さぁ、特訓を始めましょう!」
「その事だが…今日は特訓は無しだ」
「は…?」
訳が解らないセイル。
ライラは言った。
「…セイル君、君の力は既に私と互角か、私以上だよ。だから予定を一日繰り上げようじゃないか。…今日が決着を付ける日だ!」
「は…はあぁっ!!?」
セイルは叫んだ。
「じょ…冗談じゃありませんよ!そもそも最初に決闘の条件を提示したのは先生じゃないですか!それを今になって突然繰り上げって…っ!?」
「フッ…実戦では常に予想外の事態に対応しなければならないのだよ、セイル君。…それに君の実力が私とタメだというのは聖剣欲しさの嘘などではなく真実だ。実は昨日の時点で既にそう感じていた。…まあ今いきなり戦おうとは言わない。今日の正午、場所はここで、聖剣と互いの命を懸けた勝負をしようじゃないか。あと数時間あるから、それまで素振りでもして体を慣らしておくなり、瞑想して精神を集中させるなり、好きに過ごすと良い。私は…時間まで宿で寝るとするよ…」
そう言うとライラは宿へと戻って行った。
「そ…そんな……」
残されたセイルは言葉が無かった…。

そして正午…。
約束の場所に先に姿を現したのはライラだった。
「…おや?セイル君はまだ来ていないようだな。あの時間には律儀だった彼にしては珍しい事だ。まあ、無理も無いか。何せ命を懸けた決闘だ。どれ、少し待つとしよう…」

数時間後…
 アホー… アホー… ←カラス
「…来ない…」
日は既に西に傾き、空を朱に染めている…。
「…あぁ、こんな所にいた…」
「…む?」
そこに現れたのは宿の店主だった。
「…店主、宿に少年と娘の二人連れがいたろう。彼らはどこにいる?」
「あの二人ならとっくに宿を引き払って旅立たれましたよ?」
「え…っ!?」
「その際、妙な伝言を預かりまして…この空き地に女剣士がいるはずだから、その人が夕方近くまでいたらこれを渡して欲しいと…」
そう言って店主は折り畳まれた一枚の紙を差し出した。
ライラは急いでそれを受け取って広げた…。
“先生、ありがとうございました。ご恩は忘れません。セイル”
「……な…何という事……あのセイル君が……あの真面目で、人との約束は絶対に破らない、あのセイル君が……よりにもよって決闘をすっぽかすとは……」
「あのぉ、大丈夫です…?」
頭を抱えるライラに店主は心配げに声を懸けた。
「フ…フフ……面白い…君も成長したのだな、セイル君…良いだろう!私も再び君を追おう!そして次に会った時は即・殺し合いだぁ!!」
「ひっひいいいいぃぃ!!!!お客さぁぁぁん!!!私は何もしてませんよ!!!」
いきなり叫びだしたライラに店主は怯え震える。

「おっと、すまない店主!これは独り言だ気にしないでくれ。これは迷惑料だ!」
「あっありがとうございます…」
「それでは失礼する(恐らくセイルくんとアルトリアの行き先は旧王都イルシャ・マディーナだ!)」
店主に金貨一枚を渡すとライラは馬に乗り大急ぎでセイルを追いかけた。

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