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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 264

セイルはドアの取っ手に手を伸ばし…引っ込めた。
「あぁ〜!!ど〜しよ〜!?何かただ外に出るだけなのに無性に緊張する〜!変な汗出て来た…」
何だかんだでひと月以上引きこもっていたセイル…いつの間にか外に出るのが怖くなってしまっていた。
「…よし!出るぞ!…出る!…僕は出るんだ!…………やっぱ明日にしよっかなぁ…」
クルアーン・セイル、これでも聖剣の勇者です。
でもこんな調子で大丈夫なのか!?

ドアを開く事さえ決断出来ず煮え切れないセイルの優柔不断かつ情けない姿にセイルがナレーターたちが呆れるのも無理は無い。

「セイル!!何時まで寝てるの起きなさ〜い!!」
何時までもセイルが行動できないでいると。
ナシートの怒鳴り声を響くとドアは勢いよく開いた。
バッタァァーン!
「ギニャァァァ〜〜〜ン!」
勢いよく開いたドアはセイルの顔面を思いっきり殴り引き飛んで、セイルは変な叫び声を上げ鼻血を出して倒れる。
そして、ナシートは遠慮なく部屋に入る。
「セイル起きて!いじけてる場合じゃないのよ!」
「セイル様!」
ナシートの後に続いてアルトリアが部屋に入って来る。
「わっ!?な…何なんだよお前ら!?いきなり!変態!」
「それどころではないのですよ、セイル様」
「一体どうしたって言うんだい?」
「先ほどナシートがフェアリー仲間から入手した情報によると、ジェムが反乱軍を打ち破ってジャディード・マディーナに戻って来るそうです」
「…えぇっ!?じゃあ反乱軍のトップのアルシャッド王太子殿下は…!?」
セイルは驚いて尋ねた。
ナシートが答える。
「王太子は死んだそうよ。ジェムが和平を結ぶと言って騙して呼び出して暗殺したんだって。王妃も王太子の後を追って死んだそうよ」
「……っ!!!!」
セイルは絶句した。
「…どうしたの?セイル」
「い…いや、何でも無いよ…」
「セイル様、アルシャッド殿下は残念でしたね…」
「そ…そうだね…(何て事だ…それじゃあ、あの夢は……殿下っ!)」
そしてセイルは思い出した。
サーラを頼む…と、夢の中のアルシャッドはそう言っていた。
それなのに自分はアルシャッドの最期と彼の思いに気づかず。
アルトリアとナシートから教えてもらいやっと知った事をセイルは恥じて後悔する。

「しかし、これでジェムの覇権はほぼ確固たる物になりましたね」
アルシャッド王太子率いる反乱軍の壊滅した事はイルシャ王国国内でジェムに敵対する勢力は消え去り。
イルシャ王国をジェムが手中に収めたも同然とアルトリアは冷静に分析する。
ナシートも同意する。
「国内最大の反ジェム派が滅んだからね。ジェムの天下は当分続くって友達も言ってたよ」
「ああ、これで諸侯たちはしばらくは大人しくなるな。ジェム政権は10年は安泰だ。しかし、サーラ姫が一番危険だ。頼るはずの王太子軍が滅んだから孤立無援だからな…」
「そ…そんな事は無いだろう!?」
セイルは言った。
だが声は震えている。
「ジェムに反旗を翻したのはサーラさんだけじゃない!各地の太守達だって相当な数がいたはずだ!残った皆で力を合わせれば、まだジェムと充分に戦える戦力になる!」
「…それは無理ですよ、セイル様」
「私もそう思うわ」
「どうしてだよ!?」
声を荒げるセイルにアルトリアとナシートは答えた。
「王太子殿下という旗印を失った時点で、既に反乱側にそこまでの事をする士気は無いはずです」
「だいたい反ジェムに名乗りを上げた太守達はまだ国内各地に散らばってるわ。連携が取れずに各個撃破されて終わりでしょうね」
「それじゃあサーラさんはどうなる!?」
「今度は逆賊として追われる事になるでしょうね。上手く国外へでも逃げ延びられれば良いのですが…」
「そんな……っ!!」
セイルは目の前が真っ暗になりかけた。
あのサーラが絶体絶命の危機に立たされている。
(きっと殿下はこの事を言ってたんだ!何とかしなきゃ!でも僕に一体何が出来るって言うんだ!?)

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