PiPi's World 投稿小説

剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 24
 26
の最後へ

剣の主 26

(サーラ姫…あえて目立ち易い丘の上に陣を敷くとは、なかなか大胆な真似をなさるお方ですね)
姿を消したアルトリアはサーラの考えた作戦の大胆さに驚く。
(アリー殿の言う通り、この陣は利点も大きいがリスクも大きい…セイル様が心配だが、ここはサーラ姫のお手並みを拝見し、様子見をしましょうか…)
セイルの身を案じながらも、アルトリアは敬愛する旧主イルシャ・ルーナの末裔であるサーラの技量がどの程度が調べることにした。

アルトリアは腹に一物を持ち、何を企んでるのか解らないサーラの事は余り好きでなかった。
しかし、旧主イルシャ・ルーナの末裔である彼女の技量と気質にもアルトリアは興味があったのである。
(イルシャ様の子孫といえば、ジェム殿も気になりますね。しかし、彼は野心が強いだけでなく何かやばい物を感じますね。はあ、ルーナ様やスレイマン殿下が生きてた頃の王家が懐かしい…)
また、サーラと同族であるジェムの奇妙な雰囲気を警戒しながら、かつて己が仕えた王家の時代を懐かしんでいた。
因みにスレイマンはイルシャ=ルーナの唯一の実子にしてイルシャ王国に二代国王である。

結局サーラ率いる赤チームは全体の約半数近くを斥候として出した。何せ他チームがどこに居るのかすら分からない状況…最初は索敵に人数を割かれるのは仕方の無い事だ。
高台に居るので遠くまで見渡せるのが利点である。見渡せば遥か遠くの丘に白い旗が見えた。残りの青、緑、黄色は森や茂みの中にでも隠れているのだろう、全く見えない。
「ははは…僕達の他にも同じような考え方のチームが居るんですねぇ〜」
セイルは笑って言った。彼は居残り組だ。サーラが答える。
「そうね、あるいは…」
「あるいは…?」
「…囮という可能性もあるわ」
「ど、どういう事ですか?」
「白チームが他のチームとの間に“同盟”を結んでいたら…つまり、片方がわざと目立つ場所に陣取って敵を誘い出し、手薄になった本陣を同盟チームが一気に叩く…」
「まさか〜、そんなの考えすぎですよ」
「いや、戦略としては極めて有効だ。実行するチームがあっても何の不思議も無いだろう…」
アリーもこれに関してはサーラの考えに賛同する。
「う〜ん、そこまで手の込んだ事をしてるとは思えないけどなぁ…」
そんな二人に対してセイルはあくまで楽観的だった。サーラは微笑んで言う。
「まあ、あくまで“仮説”に過ぎないんだけれどね…でも一応警戒しておいて損は無いじゃない?」
「確かにそうかも知れませんが…」
「セイルは単純すぎるよ。もう少しは“人を疑う”って事を知った方が良いぞ」
「まあまあアリー君、そこがセイル君の良い所じゃない…ふふ」
「確かにそうですね…ふふふ」
「な、何だよ二人とも〜?」

そんな談笑を一人の叫び声が打ち消した。
「た、大変だあぁぁ!!南側に他チームと思われる集団発見!!」
「何ですって!?」
「ど、どうしよう!?よりによってメンバーの半数が斥候に出ている所に…!」
「もうお終いだぁ!!」
慌てるチームメンバーにサーラは大きな…しかし落ち着いた声で言った。
「落ち着いて!相手の色は?」
「み、緑です!緑チーム!」
「人数は?」
「いっぱい来ます!」
「そんな報告がありますか!まだ距離があるから大丈夫、落ち着いて数えてください」
「は、はい!えぇと…2、4、6、8…」
目の良い監視役の生徒はサーラの言葉に少し心を落ち着けて接近して来る敵を数えた。
「緑チーム、約10人強!駆け足でこっちに近付いて来ます!」
「10人…約半数ね」
サーラはつぶやいた。セイルは言う。
「そ、それこそ同盟を呼び掛ける使者とかじゃあ…」
アリーが苦い顔をして言った。
「なら何で走って来るんだ?人数からいっても攻勢と見て間違い無いだろう…」
どうやら緑チームは見えないチームの索敵よりも見えるチームから順に潰していく戦略を取ったらしい。ちなみに1チームの人数はどこも20人きっかりだ。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す