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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 25

…という訳でセイルはこの試験場にまで聖剣を腰に下げて持って来ていた。
ちなみに模擬戦は木剣で行われる物であり、真剣の使用は認められていない。
パサンは当然の疑問を口にした。
「セイル、お前何で剣なんて持って来たんだ?邪魔になるだけじゃないか」
「い…いやぁ、その…この剣は、お祖父様が昔使ってた剣で…だから、お守り代わり…的な…?」
「いや、何で疑問形で返してくんだよ」

そしてセイルはパサンとアリーと共にサーラの元へと向かった。
小高い丘の上に一本の赤い旗が立っていて、そこに15〜20人程の生徒達が集まっている。ここが彼らのチームの本陣で、この赤い旗を他のチームに奪われたら負けという至極単純なルールである。陣地は定められたフィールド内であれば、どこでも好きな場所に設けて良い事になっている。ちなみに彼らは赤チームで他には白、青、黄、緑の計5チームあり、互いの旗を奪い合って最後に残ったチームの優勝である。

「みんな集まりましたね。それではこれから作戦会議を始めましょう」
赤チームのリーダーであるサーラはチームの面々を一通り見回してから地図を広げた机の上に両手を付いて言った。
「あの、リーダー、その前に一つ提案…というか疑問があるんですが…」
さっそくアリーが発言の許可を求めて挙手した。
「はい、どうしました?」
「この丘の上に本陣を構えた理由は何なんでしょう?こんな高地に旗を掲げていては目立ちすぎます。もっと目立たない低地や、せめて森の中に陣地を移したらどうでしょうか?」
「確かにこの丘の上は敵に見つかり易いという欠点はあります。しかし逆に言えば周囲も良く見渡せる…つまり敵が攻めて来ても、それほど近付かれる前に発見出来るという利点があるのです」
「なるほど!つまり奇襲を防げるって訳っすね。さっすが姫様!」
パサンが手を打って感心した。セイルがそれに補足を加える。
「それに、いざ戦闘になった時の事を考えれば、高い地点に居る方が有利だしね」
「二人の言う通りです。アリー君、よろしいですか?」
「…理屈は解るんですが、古今東西、高地に陣地を構えた軍はロクな結末を迎えていないんですが…」
なおもゴチャゴチャ言うアリーをパサンが遮った。
「アリー!そんなもんカビ臭い古代の戦史の受け売りだろ!?俺達は今を生きてるんだぜ!?」
「いや意味が解らんわ!…というか過去の知識は決して馬鹿には…」
「それはもういいって!それより早く作戦会議しようぜ!こうやってだべってる間に他のチームが攻めて来たらどうすんだよ!?俺らも早く作戦立てて行動しないと他チームに遅れを取っちまうぜ!」
「う〜ん…」
パサンの言う事ももっともとアリーは黙った。サーラは言う。
「それでは私から当面の作戦を提案します。まず他チームの陣地が何処にあるのかを把握しなければなりません。そこで3〜5人から成る斥候部隊を2〜3組織して各方面に偵察に行ってもらおうと思います」
「そ…それはマズくないですか?」
またアリーが口を挟んだ。
「ただでさえ僕達は敵に見つかり易いというリスクを負っているのに、本陣を守る人数を減らしたりしたら…」
「だから何でお前は消極的なんだよ!ガーッと(偵察部隊を)出してバーッと(他チームの陣地を)見付けてザーッと攻めれば良いじゃねーか!」
「なんじゃそりゃ!?訳わからんわ!」
「まあまあ二人とも落ち着いて…アリー、君の意見は理屈としてはもっともかも知れないけど、現状を考えればサーラさんの作戦が妥当だと思うよ?」
掴み合うパサンとアリーの間にセイルが割って入った。
サーラは三人に言う。
「…もう良いかしら?」
少し冷静になったアリーは頭を下げた。
「す…すいません。出過ぎた真似をしてしまい…」
「良いんですよ。これからも考えがあれば遠慮せずどんどん発言してください。皆さんもね」
サーラは爽やかに微笑みながらアリーに言った。さすが王族だけあって心が広いというか人間が出来ているというか…。
一方、未だ興奮覚めやらぬパサンは鼻息を荒げながらサーラに進言した。
「姫様!俺、斥候に志願します!ついでに敵陣に乗り込んでひと暴れしてやりますよ〜♪」
「ではパサンくん、お願いします。ですが!!深入りだけはしないで下さい」
斥候を志願するパサンにサーラは許可をする。
しかし、直情的なパサンが暴走しないように一瞬厳しい口調で釘を刺す。
浮かれていたパサンはサーラの厳しい口調に我に返る。
「はっはい!肝に銘じます!行くぞ!お前ら!」
「おお!!」「おお!!」
現実に引き戻されパサンは仲間と共に斥候に行くと。
ほかの斥候も偵察に向かった。

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