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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 244

「くっはあぁぁ〜〜っ!!!!キっクうぅぅ〜〜っ!!!!」
「俺も何かすっごいハイになって来たぁ!!!!何か今なら空も飛べそうな気分!!!!」
アブラハムとナーセルも薬物を投与されてすぐに効果が現れ始める。

三人は店から出た。
アブ・シルは歩きながら二人に言う。
「よ〜し、お前らぁ!!!!それじゃあ今日は二連勤いってみるかぁ!!!?」
「やります!!!!」
「二連どころか三連でも四連でもドンと来いって感じですよ!!!!」
「ハッハッハッハァッ!!!!その意気だぁ!!!!……あ?」
「先輩?」
「どーしたんすか…?」
アブ・シルは何故だか急に黙り込んでしまった。
そしてそのままバッタリと倒れた。
「「せんぱあぁぁーいっ!!!!?」」
二人は慌ててアブ・シルに駆け寄り抱き起こしたのだった…。

…結果的にアブ・シルは一命を取り留めた。
だが彼を診た町医者はこう言った。
「…もう長くないね。ご家族を呼んで最期の別れをさせてあげなさい」
「そんな馬鹿な!!?」
「先輩は一体何の病気だっていうんですか!!?あんなに元気だったのに!!!」
「過労と薬物中毒だよ。長期に渡って肉体を限界まで酷使して来たようだね。それに加えてカロポンの常用…もう彼の体はボロボロだ。今まで気力で生きてたんだろう」
「そんな…」
「助ける方法は無いんですか!!?」
「…そりゃあこの国で最高の医者に診せて最高の薬を与えれば不可能ではないがね…だが無理だろう。そんな事が出来るのは王族か貴族だけ…庶民に…しかも最底辺の労務者にそんな事が出来る訳が無い。潔く諦めなさい」
医者の言葉は残酷だが現実だった。
ナーセルは力無く言う。
「…俺、先輩の家族に連絡取って来るよ…」
だがアブラハムは…
「…ある!あるよ!!先輩を助ける方法!!たった一つだけ!!」
「何だってぇ!!?一体どうするんだ!?」
「セイルだよ!!あいつに助けを求めるんだ!!」
「ハァ!!?」
「セイルはジェムの側仕えで、しかもお気に入りだって言うじゃないか!!セイルからジェムに頼んで貰えば良いんだよ!!ジェムなら最高の医者も薬も簡単に用意出来る!!先輩を助けられるよ!!」
「確かに可能かもな・・・何しろセイル様は、ジェム大執政閣下様のお気に入りだから。先輩一人救う事は簡単だからな〜」
凄く皮肉が込められているが、ナーセルが珍しく自分の意見に賛成してくれてアブラハムは喜ぶ。
「ありがとう!ナーセル、君なら解ってくれると信じてたよ!」
「お人好しのお前と一緒にするんじゃねえ!俺はあいつの事なんか信用しちゃいねえよ!」
「えっ、ナーセル。君は僕の意見に賛成してくれたんじゃないの?」
「俺達を踏み台にして出世した償いをさせる良い機会じゃねえか!先輩を助けるだけでなく。俺達や先輩のの復職や面倒をあいつに見てもらうんだよ!」
これまでセイルの活躍や出世を妬み恨んでいたナーセルであったが、騎士の身分を剥奪され実家から追い出され貧窮生活を送る内にセイルを超えるのは不可能とナーセルは悟り逆にセイルを利用してたかるのを目論む。
そんなナーセルの卑しい考えをアブラハムは反対する。
「ナーセル、先輩の危機を利用してセイルに集るなんて騎士のする事じゃないよ」
「うるせぇぇー!!!士族の俺達が貧民に等しい暮らしでアブ・シル先輩は薬物中毒と過労で死にかけてるのに!!!セイルの野郎は毎日贅沢三昧、不公平だろう!!!集って何が悪い!正統な権利を行使してるだけじゃねえかッ!!!」
やむを得ないこととはいえ、彼らは思い違いをしていた。
セイルは決して恵まれた状況にあるとは言えなかったのだ。

アブ・シルが倒れる数日前も。

夜の宮殿の奥、大執政の寝室に2人の男。

上質な香が焚かれ、かぐわしい香りが漂うその寝室に。
「クルアーン・セイル、お召しにより参上しました。」
入ってきたセイルの声は普段と比べても固い。
「何を緊張しているんだい?さあ、おいで。」
柔らかい表情でセイルを招くジェムの声には、彼には珍しい混じりけのない好意がふくまれていた。
「はい。」
セイルは極力固くならないように気を付けてジェムのそばに行った。
「さあ、いつものように一緒に楽しもう。」
やってきたセイルに手で自分のそばに座るように促す。
セイルが隣に座ると、ジェムは彼の瞳を見つめると、
「ああ、素敵だよ。」

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