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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 23


「…もぐもぐ…しかしアリー殿は難関と言われた…んぐんぐ…王立学士院に現役で合格されるとは…ズズズ…いや、さすが私が主と見込んだお方のお友達で…むぐむぐ…」
セイルの隣に腰掛けたアルトリアが食べ物で頬をいっぱいに膨らませながら言う。
「アルトリア!食べるか喋るかどっちかにしろよ!…てゆーか君一人で何人前食べてるの!?」
「はあ、今日は少し食欲が無くて…まだ三人前ほどしか…あ、そこの給仕さん、B定食一人前追加で…」
「かしこまりました〜」
「まだ食うのかよ!?」
アルトリアの食欲は非常に旺盛だ。彼女は食べる。とにかく食べる。それだけ食べるのにプロポーションは少しも崩れないから不思議だ。一体彼女が摂取した栄養は何処へ消えているのかと、常日頃から疑問に思っているセイルであった。
「ははは…あ…ありがとう、アルトリアさん…でも食べ過ぎはあまり身体に良くは…」
そんなアルトリアをそれとなく諌めるアリー。
「食いしん坊のアルトリアさんも素敵だ…!」
一方パサンは全く気にしていなかった。

「ここ座ってよろしいかしら?」
「あ!サーラさん!!」
四人が食堂で話していると、お盆に昼飯を乗せたサーラがやって来た。
「は!はい!もちろんであります!!」
「光栄であります!!」
学園のアイドルの突然の登場にアリーとパサンは飛び上がるように席を引く。
「フフフ・・・ありがとう」
サーラはそう言って礼を言う。健康的で有りながら、同時に何所か蠱惑的な彼女のその微笑みに、三人の男子はボーと見惚れる。
だが、主のその様子に逆にアルトリアは不満気な表情を浮かべる。
(どうもこの女は気に入らん・・・何か腹に一物を持っているというか、うさん臭くてかなわん・・・)
このアルトリアのサーラへの印象は、多分にセイルに近付く女に対する嫉妬心からの偏見が有る。
もちろん当の本人はまるで自覚はないだろうが。
「それでサーラさん。何か御用ですか?」
最初に呪縛から解かれたのは、幾らか美少女に対する抗体が有るセイルだった。
「あら?もちろんセイルくんと一緒に居たかったからよ」
「え!?」
サーラのその言葉にセイルは耳まで真っ赤に成り、逆にアリーとパサンは嫉妬に満ちた視線をセイルに投げかける。
(ち!畜生!何でセイルバッカリ!!)
(リア中爆発しろ!!)
真っ赤に成ったセイルの初心な様子にサーラは悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「フフフ・・・冗談よ!実はついさっき班長会議で、卒業試験の時セイルくんが私のチームに入るのが正式に決まってね!ルール違反だけど一足先に教えに来たの!よろしくねセイルくん!!」
サーラのその言葉にセイルは喜色を浮かべる。
「え!ぼ、僕がサーラさんのチームに?」
「嫌なの?」
「い!いいえ!光栄です!!」
「そう良かった!!よろしくねセイルくん!!」
「は、ハイ!!」
サーラの言葉に嬉しそうに肯くセイル。そんな二人を横目にアルトリアはパサンとアリーに尋ねた。
「あの…卒業試験に“チーム”とは一体いかなる事で…?」
「あぁ、アルトリアさんはご存知ありませんでしたか?我が騎士学校の伝統でして…卒業試験と称して実戦を想定した集団による模擬戦闘を行うのです!」
なぜか誇らしげに胸を張って説明するパサンにアリーが突っ込む。
「…ま、実際はただの旗取り合戦ですがね…」
「その“旗取り合戦”が燃えるんじゃねえかよぉぉっ!考えてもみろ!学生生活で女子達にカッコいいとこアピール出来る最後のチャンスなんだぜ!?」
「けっきょくお前はそれかよ!」
「まあまあ、目的があるのは良いことですが、その試験は非常に難しそうですね(セイル様は受かるのでしょうか)」
アリーとパサンを宥めながら、卒業試験を難しいではないかとアルトリアはセイルが受かるか心配になる。
集団戦は仲間との連携が重要なために流石のアルトリアでも短期間でセイルにチームワークを教えるのは難しかったのである。

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