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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 193


王宮ではジェムがシャリーヤから報告を聞いていた。
「白衛隊一個小隊が全滅させられただって!?」
「はい、あの聖剣の精霊が本気を出し、ものの数分で…」
「クソッ!あの忌々しい精霊めぇ…よくも僕の手勢を…!!」
だがゲムとセイルが揉める事を知って泳がせた自分にも責は無いでもない…それがまた腹立たしいジェムであった。
そこへ官吏が現れて告げる。
「失礼いたします閣下、ゲム様が至急お会いしたいと…」
「閣下ぁ〜っ!!」
官吏の言葉も終わらぬ内にゲム(あの後なんとか屋敷に帰り着き、服を着てから登城して来たらしい)が飛び込んで来て怒鳴り散らしながら主張し始めた。
「もう我慢がなりません!!あのクルアーン・セイルめとその従者達に死の制裁をお与え願いたい!!それと子細は不明ですが王都衛士隊に所属する衛士を二人…」
……ビキッ
ジェムの額に青筋が走った。
この状況での登場はタイミングが悪すぎた…とシャリーヤは思う。
次の瞬間、ジェムは音吐朗々、声を張り上げて叫んだ。
「衛兵えぇぇーっ!!!!この男を捕らえよおぉぉーっ!!!!」
バァーンッ!!と勢い良く扉が開け放たれドカドカと入って来た兵士達によってゲムはあっと言う間に拘束される。
「か…閣下ぁ!!?なぜ私がこのような仕打ちを受けねばならぬのですかぁ!!?」
「黙れ!!僕の権威を利用して好き勝手した挙げ句、貴重な白衛隊を一個小隊も失うという失態…遠縁という事で目を掛けてやったが、その恩をことごとく徒で返しおって…もう我慢ならん!!こやつの目と耳に熱した銀を流し込め!!」
「ひ…ひいいぃぃぃぃっ!!!?か…閣下ぁ!!!それだけは何とぞ…何とぞお許しくださいぃぃ!!閣下ぁ〜!!」
ゲムは泣き叫びながら兵士達に引きずられて行った。

数分後、中庭の方から耳をつんざくような断末魔の悲鳴が響いた。
「ヒギャアアアァァァァァァー――――ッ!!!!?」
(馬鹿の分際で、ろくに働きもせずジェム様の下で今まで好き勝手をしてきた虫けらに相応しい末路だわ。クルアーン・セイル、アルトリア今回は敵であるあなた達に感謝するわ)
ゲムの悲惨な最期を全く同情せず心の中で彼を虫けらと嘲笑いシャリーヤは楽しんでいた。
あまり感情を表には出さないが、彼女の本性はジェム以外にはサディストかつ腹黒であった。
ジェムに貢献できない者は例え親族でも生きる価値がないゴミと彼女はみなしていた。
逆にジェムに貢献できた者は敵でも、それなりに認めていた。
しかし、ゲムを排除してくれたセイルとアルトリアには今回だけ感謝していた。
シャリーヤのどす黒く偏った思考に気づかないジェムはヤヴズ・ゲムの家名断絶と財産没収と彼の家族を流刑にするのを官吏に命じる。
「さてと、ゲムは処刑したが、奴の家は家名断絶と財産没収で家族は流刑にせよ」
「御意お任せください」
そう言うと官吏は処分を執行しに去って行きシャリーヤはジェムにセイルの処分をどうするか訊ねる。
今回の一件は全てゲムに非はあるが、それでもジェム直属の白衛隊一個小隊を壊滅させた罪は重かった。
「所でクルアーン・セイルの処分はどうしましょう?」
「そうだな〜彼は三ヶ月の減俸処分にしよう」
「少し軽すぎませんか、示しがつかない気がします」
相変わらずセイルには甘いジェムにシャリーヤは呆れるが、白衛隊に自分を怒らせたり煩わせば破滅である事を思い知るには最適の処置だとジェムは語る。
「いや逆だよ。ゲムみたいに媚びるだけで勤めを果たさず僕を傘に好き勝手したり、下らん諍いを起こして僕を煩わして怒らせば連中(白衛隊)もどうなるか理解したはずだよ」
「確かに白衛隊の行動は目に余りますからね。そう考えればゲムと白衛隊一個小隊の首は安い物ですね」
セイルの処分にシャリーヤが納得すると別の官吏が現れてある報告をする。
「閣下、新王都予定地への調査官が帰って参りました」
「解った。それでは話を聞こう。あの地は新生イルシャ王国の未来を決める重要地だからね」
「・・・・・・・(本当にあの土地を都にして大丈夫なのかよ)」
不敵に笑うジェムに対して、報告に来た官吏は内心複雑であった。
新王都予定地はイルシャ王国にとって非常に特別な所だったからであるが、諫言してもジェムの不興を買うだけで大人しく従うしかなかった。

ジェムが政権を着実に固めている頃、セイルは部屋に引きこもり今後の事を考えていた。
「ミレルを助けるとはいえ、ゲムはまた報復をして来そうだな。かといって殺せばジェムは僕を敵とみなしただろうな…それにアルトリアを持て余してる。これからどうしよう…」
ジェムによってゲムが処刑されたのを知らないゲムへの報告とアルトリアを持て余す現状にセイルは悩んでいた。

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