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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 190

セイルは悔しさで内心歯噛みしながら横のアルトリアを見た。
「……」
見た感じ彼女は平静で何も感じていないように見える。
(ア…アルトリア…普段はしょーもない事で怒ったりムキになったりするけど、こうなると意外と我慢強いんだな…)
一方、ひとしきりセイルとアルトリアを跪かせてご満悦のゲムは部下の白衛兵達に言った。
「ふぅ〜…さて、そろそろ気も済んだ事だし、対面させてやるとするかぁ…おい!女を連れて来い!」
「ははあ!」
数名が部屋を後にし、すぐにミレルを伴って戻って来た。
ミレルも裸で、両手を後ろ手に縛られていた。
「セイル様!アルトリアさん!」
「ミレル!!」
「ミレル殿!ご無事でしたか!?」
「はい、服を全て脱がされただけで何もされていません…でもお二人とも私のために…こんな……ごめんなさい!本当にごめんなさい!!」
ミレルは二人が受けた屈辱的な仕打ちを目の当たりにして涙を流して詫びた。
「良いんだ!君さえ無事なら…さあ、家に帰ろう」
「はい…本当に…ありがとうございます…」
「ミレル殿、まずは服を着ましょう。こんなカス共にミレル殿の裸体を晒すべきではありません。それと、セイル様もちゃんと着て下さい」
アルトリアはミレルが着ていた侍女服を彼女に渡す序にセイルにも服を渡す。
「ありがとうございます…」「僕は序でなのかよ………」
「このアマぁぁ!誰がカスだってえぇぇ!」
自分たちを明らかに罵倒するアルトリアの生意気な態度に一人の白衛兵が怒鳴るが、ゲムは部下を怒鳴りつける。
「この馬鹿者!どうせ負け犬の負け惜しみ。聞き流せ!」
「す…すいやせん…ゲム様…」
「うむ!解れば良いのだ!」
着替えながらアルトリアはゲムの寛容な態度と嫌らしい表情に疑念を抱く。
「……………(あの男、まだ何か企んでるな。しかし、こうなった原因は全てセイル様だ。ミレル殿を危険な目にあわせたのは自分の甘さだと解らせる必要があるな。その為にも一度ガツンという必要があるな。来るべき戦いが来た時、セイル様の甘さは命取りになる)」
今回ミレルに起きた事件は全てセイルの甘さが引き起こしたとアルトリアは考える。
あの時、ゲムを成敗すればミレルは誘拐されなかったのにセイルは『斬っても良い人間なんて、この世に一人も居ないよ』と言いゲムを成敗しなかった。
確かに正論ではあるが、そんな甘さと生ぬるさではこれから聖剣の勇者としてやっていけない上に大事な者たちを危険に晒すだけしかないセイルの愚行にアルトリアは無性に腹立たしかった。
その為、今回の事は家に帰り言わずにはいられなかった。

「さあ、着替え終えたから帰ろう」
「はいセイル様」「………」
着替え終えたセイルたちは部屋から出ようとするが、ゲームは突然待てと言い出す。
「おい、待てクルアーン!」
「「・・・・・・・」」「チッ!やっぱり」
出入り口のドアが白衛兵に塞がれて更にセイルたちは白衛兵たちに囲まれる。
予想外の出来事にセイルとミレルは驚くが、アルトリアはやっぱりと予測していて舌打ちを鳴らす。
しかし、流れが読めてないセイルはびっくりして声を荒げる。
「ゲム様、これはどういう事ですか!」
「ククク…お前達、誰が帰って良いと言った?」
「そ…そんな…!?ちゃんと謝罪したじゃないですか!?まだご不満なんですか!?」
「だまれえぇぇいっ!!!!」
ゲムは叫んだ。
「…いいか良く聞け…俺はな、一度でも俺を侮辱した人間は絶対に許さない…二度と立ち直れないぐらい徹底的に叩き潰してやる事にしているのさ…クク…ククク…アーッハッハッハァ…ッ!!!!」
狂ったように高笑いするゲムを見てセイルはハタと悟った…。
(何て事だ!この男は道理や常識の通用する相手じゃなかった!そうと気付かず僕は…!)
またもや自分の“甘さ”にほとほと嫌気が差すセイルであったが、今は自己嫌悪に陥っている時ではなかった。
セイルはアルトリアに向かって叫ぶ。
「…アルトリア!どうやら僕が間違っていたようだ!この男はアブ・キル先輩や連続街娼殺人犯、それにあのジェムと“同類”だ!壊れた人間…誠意や良識の通用しない人間だ!」
「やれやれ…ようやく気付いたようですね。それで?どうします?」
「強行突破する!!剣を!!」
「御意!!」

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