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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 150

「嬉しくないの…?」
「まあな…セイルは幼い頃から俺に懐いてなかった。あいつは俺よりオヤジに似た所があるからな…きっと内心では俺を軽蔑してるのさ。妻の事は愛していなかった訳じゃないが、あいつは体が弱い事を理由になかなかヤらせてくれなかった。いやほんと、今まであいつとヤったのなんて新婚初夜も含めて数える程しか無いんだ。愛情も冷めるってもんだ…」
「ウフ♪私はあなたがヤりたくなったらいつでもOKよ…」
そう言いながらウズマと呼ばれた美女はオルハンにすり寄り豊かな乳房を押し付けた。
「おっと、勘違いするな。俺がお前に求めてるのは何も肉体だけじゃないんだ。お前を愛してるよ…」
「私もよ…あなた…」
そして二人は唇を重ねる。
今更だがこの二人の間柄について一言で説明させてもらえるとすれば、俗に言う所の“愛人”というやつである。
唇が離れ、オルハンは溜め息混じりにボヤいた。
「…またあいつらの元に帰らなきゃならないと思うとウンザリだ。お前とずっと一緒にいたかったよ」
「なら良いんじゃない?帰らなくても…」
「そういう訳には…消息が判ったからには…」
「…あなた、本当はずっと望んでたんでしょ?奥さんと息子いなくなって世の中メチャクチャになる日を…」
「…驚いたな。お前、まさか人の心が読めるのか?」
「そんなの、あなたを見てれば解るわよ」
「…そうだ。あいつらにとって俺は毎月金を持って来るだけの存在でしかないんだ。居ても居なくても…いや、居ない方が良いんだ。あいつらは俺の事を嫌ってる。これでも俺はあいつらに楽をさせてやろうと…自分が少年時代に味わった惨めな思いはさせまいと思って誰よりも必死に働いてきた。人はゴマスリと根回しだけで出世したなんて言うが、それだけじゃあ出世は出来ないぜ。それが夫として父としての義務だと俺は思ってるからな。それなのにあいつらは俺の苦労なんて考えもせず、その恩恵だけを享受してヌクヌクと暮らしてやがったのさ!誰のお陰で毎日の飯が食え、温かいベッドで眠れるのかなんて考えもせずにな!」
オルハンの主張は、なるほどその通りであった。
しかし、自分もその“妻子”に対して普段から不快感や威圧感を与えるような言動を取っている事は完全に棚に上げている。
おまけに“家族は自分の事を嫌っている”とか“軽蔑している”と勝手に決め付けた上で、自らもまた歩み寄りを放棄している事には触れず、あたかも自分が可哀想な被害者であると言いたげな一方的な主張であった。
それに対してウズマはオルハンをその胸に包み込むように優しく抱き締めて言う。
「可哀想に…あなた、そんな家族の元になんて帰る必要無いわよ。ずっと私と一緒に暮らしましょう…」
もちろん彼女だってオルハンの言う事を完全に信じている訳ではない。
というかかなり疑っている。
だがこのオルハンという男に正論を突き付けた所で怒るだけだし、そうしてまで彼女がヤスミーンやセイルを弁護してやる義理も無いし、何よりオルハンが求めているのは自分に同調してくれる人間であるという事を彼女は良く理解していた。
「ウズマぁ…お前だけだぁ…俺の事を解ってくれるのは…」
一方、オルハンはまるで母親に甘える幼子のようにウズマの胸に顔を埋める。
もう骨抜きであった。
「よしよし、あなたには私がいるから大丈夫よ〜泣かない、泣かない」
自分の胸に顔を埋めるオルハンの後頭部をウズマは優しく撫でて慰めるが、ウズマの顔はにんまりと打算めいたしたり顔になっていた。
(ふふふ、本当にあなたは可愛い男よね〜私の事を何不自由なく面倒みてくれたら。私はあなたの為に何でもしてあげるわよ)
因みにウズマの豊満な胸に埋もれているオルハンは全く気付いてなかった。
寧ろ今はウズマの豊満な胸に溺れ至福の時を過ごすのが彼には非常に大切であった。
そして、気が済んだオルハンはウズマから離れて、もう少し彼女の家で過ごす事を決める。
「マッもう三、四日は滞在しても大丈夫だな」
「それが賢明よ〜王都はまだまだ政情不安だから帰るの遅れても咎めないわよ」
「それもそうだ。糞親父も駄目女房もセイルも、お前の存在やここは知らないからな。そうだ骨休みしても何が悪い。俺は家族を犠牲にして王家に滅私奉公した糞親父とは違うんだ!」
オルハンはウマルを糞親父と罵倒する。

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