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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 141

「グロオウォォォォ!!!」
ゴーレム兵が動き初めた瞬間、一体のゴーレム兵がアルトリアによって真っ二つにされる。
あっという間に仲間が一人倒されゴーレム兵たちは動揺する。
「グロォー」 「グロォー」 「グロォー」

「ふむ、余り鈍ってませんね。それでは、久々に本気を出しますかね」
不敵な笑みをアルトリアは浮かべると再度ゴーレム兵の群れへ斬り込んでいった。
アルトリアがゴーレム兵たちを相手に大立ち回りを派手にやってる頃。

シャリーヤに完膚無きまでに敗れもがき苦しんでいたが、ようやく痛みが緩和したお陰で起き上がりだした。
同時に敵を甘く見た自分の驕りと未熟さを思い知る。
少し前まで剣術が全く駄目だった自分がアルトリアのお陰で強くなり成果を出したが、本物の前では自分の実力は全く通じない事を知って後悔し、反省する。
「聖剣とアルトリアのお陰で最近少しばかり勝てたからって、調子に乗って…僕は何て馬鹿なんだ!!!」
いつの間にか思い上がっていた自分がいた…その結果がこれだ。
突き付けられた現実を受け止めるのは後回しにするとして、とりあえずは立ち上がろうと体に力を込める…。
まずは腕を動かして上体を起こす支えに…たったそれだけの動作なのに少し動いただけで全身が悲鳴を上げる。
どうやら体に受けたダメージは相当な物らしいな…とセイルは思った。
(…そうだ。僕は弱い。だから強くならなくちゃいけないんだ!これからだ!僕はもっともっと強くならなくちゃいけないんだ!でないと僕を聖剣の勇者に選んだアルトリアを失望させてしまう!僕に力を貸して欲しいと言ったサーラさんとの約束も果たせない!だから僕は今こんな所でへばっているようではいけないんだ!こんな痛みに耐えられないようではいけないんだ…って言っても痛てえもんは痛えぇぇーっ!!!!)
その時だった。
握り締めた聖剣がポアァ…と淡い光を放ち始めた。
痛みが引いていく…。
体の重さだけ残ったが、それもやがて消えていった。
聖剣が自分の意図を察して肉体の疲労を取り除いてくれたのか…。
だが以前の記憶から、この聖剣によって引き起こされる肉体強化現象が実は単なる無理であり別に超人になった訳ではない…すなわち肉体には確実に尋常ならざる負荷が掛かっている事をセイルは何となく解っていた。
それでもそのおかげでやっと立ち上がる事が出来た。
彼は先を目指した。


 タッタッタッタッタッ…
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
アルシャッドは脇目も振らずに通路を走っていた。
やがて行く先に、かすかな明かりに照らされた階段が見えて来た。
「…出口だ!待っていてください父上!アルシャッド、ただ今参ります!」


ちょうどその時、国王はついに臨終の時を迎えようとしていた。
国王の寝台の周囲には、医師、その助手達、神官長、その随伴の神官達、第13王妃ジャミーラ、彼女の産んだ子でまだ1歳の第29王子ファード、そしてジェムが居た。
国王アフメト4世には13人の妃と29人の王子・王女が居る。
だがこの場に居合わせているのは第13王妃と第29王子(この番号は男女関係無く通し番号である。ちなみにサーラは第21王女だ)の二人だけ。
王の死に際だと言うのに、なぜ他の王族達は来ていないのか…。
それは寝室の外を厳重に護り固めているジェムの配下の兵達(ドルフが領地ナハルシャットから連れて来た兵達なのだが、既に半ばジェムの私兵と化している)のせいである。
王の寝室周辺だけではない。
この兵達は王宮内各所に配備され、常に目を光らせている。
バムとブムによって壊滅的な打撃を受け、既に王宮警備の任を果たす事が困難となってしまった近衛隊に代わって…という名目だ。
怪しい(ジェムにとって都合の悪い)行動を取る者は王族であろうと容赦なく逮捕…場合によっては殺害しても構わないと命じられているので、王宮仕えの官吏達も恐ろしくて逆らえない。
今や王宮は完全にジェムによって掌握されていると言って良かった。
他の王族達は残らず後宮区から追い出され、許可無く立ち入る事を禁じられている。
国王はずっと“面会謝絶”の状態だ。

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