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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 140

あからさまなシャリーヤの挑発に乗り頭に血が登ったセイルは凄まじい剣撃の連打を喰らわせる。
「ひっ人が一番気にしてるのに!馬鹿にすんな!」
ジャッキーン!ジャッキーン!ジャッキーン!ジャッキーン!
「隙だらけですね〜攻撃パターンがまるわかりですよ。はぁっ!!」
しかし、シャリーヤはセイルの剣撃の連打を紙一重で避けるか、曲刀で防ぐ。
そして、セイルに近付き壁に思いっきり蹴り飛ばす。

ドバアァァァン!

「うわぁぁぁっ!!!」


壁に思いっきり叩き付けられたセイルはそのまま床に崩れ落ちた。
「…戦いは剣だけとは限りません。時には蹴りだって拳だって飛んでくるんですよ」
「うぅ……(くっそぉ…全身を強く打ったみたいだ…立ち上がりたいけど動こうとするだけで激痛が走る…)」
「どうしました?もう立ち上がる気力もありませんか?」
「……」
セイルは答えない。
いや、答えられない。
声を出す事も出来ないのだ。
(僕は今まで自分は強いと思っていた…何だかんだで勝って来たし…でも彼女との実力差は歴然だ…勝負にならない)
あるいは王宮の城門をぶち破った時のような力がまた働いてくれれば…とも期待して聖剣を見るが、どうも何かが起こる様子は無い。
「…本来ならば侵入者は即抹殺ですが、あなたには我が主ジェム様が“期待”しておいでのようですから、命だけは奪わないでおいてあげます」
そう言うとシャリーヤはつかつかとセイルに歩み寄った。
介抱してくれるのだろうかと一瞬期待したが、次の瞬間、シャリーヤはセイルの腹に思いっきり蹴りを入れたのであった。
「グハアァァッ!!?ウ…ウゲエェェッ!!」
セイルの全身に激痛が走り、彼は嘔吐した。
シャリーヤは踵を返すと、腹を押さえてもがき苦しむセイルを後にして去って行った。


一方、アルシャッドとアルトリアは…
「ハァ!ハァ!…き…君ぃ!ちょ…ちょっと早いよぉ!待ってくれぇ!」
「ハァ…体力の無いお方だ…」
二人は少し広い部屋のような所に出ていた。
正面と左右の壁面にそれぞれ通路が伸びている。
「ハァ…ハァ…お…おい、道が三手に分かれているが大丈夫なのかい…?」
「ご安心ください。寝室へと至る道順はしっかり記憶しております」
「し…しかし王宮の地下にこんな空間が広がっていたなんて…ずっとここで暮らしていたのに知りもしなかったよ…」
「地下通路を必要としなくなり忘れ去られる程に平和な時代が長く続いたという事ですね…さあ、こちらです。参りましょう」
「う…うむ、なぁ、もし父上にお会いする事が出来たら、君とあの少年には礼をせねばならんなぁ…なあ、何か望む物はあるかい?」
「……その話は後にしましょうか…」
アルトリアは通路の奥の暗がりをジッと睨み付けて言った。
何かがこちらへ近付いて来る…。
やがて、それは二人の前に姿を現した。
それは全身を覆う甲冑を身にまとった兵士だった。
だがその甲冑に“中身”が無いのは誰の目にも明らかだった。
目の部分だけが怪しい光を放っている。
しかもそれが20〜30体は出て来た。
「ヒイィィ〜〜ッ!!!?ば…化け物ぉ!!!」
アルシャッドは悲鳴を上げてアルトリアの後ろに隠れた。
「化け物ではありませんよ。ここの本来の警備担当者達です。魔法の一種でね…西大陸にも似たような物があり“ゴーレム”と呼ばれています。魔法の力で半永久的に侵入者を駆逐し続ける優秀なる番兵達ですよ。もしやと思いましたが、やはりまだ機能していましたか…」
そう言うとアルトリアは魔法で剣を出現させてゴーレム兵達に向かって構えた。
「王太子殿、あの正面の通路を進んで行けば王の寝室です。一本道ですので迷う事も無いでしょう。ここから先はお一人でお行きください。私も剣の腕にはそこそこ自信はあるつもりですが、彼ら相手にあなたを守りながら戦うとなると少し厳しいのでね…」
「わ…分かった…だが完全に取り囲まれているぞ…」
「私が道を切り開くから、走りなさい!!」
バチィィィーーーーーーーーーーン!!

アルトリアに怒鳴られ背中を叩かれながらも、アルシャッドは泣きべそをかきながらも正面の通路へ入って行った。
「ひっひいぃぃぃん!!!痛いよおぉぉ!!母上えぇぇ!!」
本人は気付かなかったが、何故かゴーレムはアルシャッドを襲わなかった。
実はアルトリアがアルシャッドの背中を思いっきり叩いた時、アルトリアはゴーレム兵たちの動きを止める攻撃補助魔法を使用した。
因みに効き目はアルシャッドが正面の通路に入るまでの僅かな間であった。
実はアルトリアは回復魔法は得意であったが、攻撃系の魔法や攻撃補助系の魔法は苦手なのである。

「さてと、ゴーレムたちの動きを封じる魔法が切れる頃ですね。いきますよぉ!!」
ゴーレムたちが動き出そうとした瞬間、アルトリアは先手必勝とばかりにゴーレムたちに素早く攻撃を仕掛ける。


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