PiPi's World 投稿小説

剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 131
 133
の最後へ

剣の主 133

ジェムが自分を狙っているというアルトリアの指摘に騎士学校時代のジェムの優れた実力を十分に知っているアリーは苦い顔になり大いに納得する。
「バムとブムに銃の使用を教えたのは僕をジェムが生かす筈がないですね・・・」
「いえいえ、殺しはしないでしょう」
「えっ、僕は反逆者ですよ。生かす理由がないですよ」
アルトリアの意外な答えに驚くアリーであったが、アルトリアはジェムがアリーを生かす理由を簡潔に述べる。
「ジェムがあなたを生かす価値はあります。バム、ブム兄弟があなたにやらせた銃の指揮をさせるとかありえます。今回のクーデターがそ良い証拠です」
「銃は動乱を呼ぶ悪魔の兵器…使うべきじゃないです。それを僕は今回のクーデターで思い知りましたよ。今回の動乱が起きない為にも僕は何とか逃げ切ってみせます」
「その意気です!アリー殿!」
今、自分のすべき事が出来たアリーをその意気だと褒めるアルトリアであった。
最近自分に対して非常に厳しかったアルトリアの言葉にアリーは何故かホッとする。
「ありがとうございます・・・」
「所でアリー殿、ヤヴズ家の双子が所有してた銃ですが、連中は何処で仕入れたのですか、実は凄く気になってたのですよ」
アルトリアは話を変えるとヤヴズ家の双子がどうやって、銃を大量に購入したのかアリーに訊ねる。
イルシャ王国では銃が御禁制の品であるのをミレルはアリーに説明し、どうやってヤヴズ家の双子が購入したか訊ねる。
「私も興味あります。王宮に火の手が上がりましたし、銃は御禁制の品ですよ」
「ゼノン武器商人から買ったとバム、ブム兄弟から買ったと聞きましたが、それ以上は解りません。何しろ、バムとブムはその武器商人に僕を会わせなかったからですから」

「…なるほど、ゼノンから来た商人ですか……となると、あの邪神を信奉する教団が絡んでいる可能性も否定は出来ないな…」
何やら訳知り顔で独りごちるアルトリア。
「何か心当たりがあるのですかアルトリアさん?」
その様子に何か事情を知っているのではないかと察したアリーが問いかけるがアルトリアは否定した。
「あぁ、失礼。何でもありません(まだ“あの教団”が関わっていると断定するには情報が少なすぎる。出来れば杞憂であって欲しいが…)」
アルトリアが懸念する“教団”とは一体何なのだろうか…。


…それに関しては後に詳述の機会を設けるとして、翌日、セイルとアルトリアは王宮に来ていた…。
昨日、王宮からの使者がセイルの元を訪れ、あのジェムが今回の一番の功労者であるセイルを表彰したいから王宮に参内するように…と言って来たのである。
「……」
王宮へと向かう道すがら、セイルは始終無言であった。
「セイル様、まだ落ち込んでおられるのですか?」
「……」
アルトリアの問い掛けにも彼は答えない。
…いや、落ち込んでいるというより、呆けていると言った方が正しいかも知れない。
まるで心ここに在らずといった感じで…。
「……」
「ハァ…もう少ししっかりしてもらわなければ困りますよ。あなたは聖剣の勇者なのですから…。あなた自身が好むと好まざるとに関わらずね」
「……」
「聞いていますか?」
「……」
「では私は姿を消していますから、ジェムにはセイル様お一人でお会いください」
「…いや…僕の隣に居てくれ…あの男と1対1で対話する気は無いから…」
「なんだ、聞いてるじゃないですか」

そんな事を話している間に二人は王宮に着いた。
「お待ちしておりました。こちらでございます」
衛兵に案内され、大広間に通される。
「やぁ〜!セイル君、良く来てくれた。騎士学校卒業以来だね。実に久しぶりだ。おや、アルトリア殿もご一緒か。あなたにもお会い出来て嬉しいよ」
ヤヴズ・ジェムは国王の座るべき玉座に当然のように腰掛けていた。
アルトリアは顔をしかめて言う。
「そこはアナタがお座りになる場所ではないと存じますが…」
「おやおや…これは手厳しいね。しかし僕は今や国王陛下に代わってこの国の全てを取り仕切る地位に就いたのだよ。玉座ぐらい座ったって良いじゃないか」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す