PiPi's World 投稿小説

剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 121
 123
の最後へ

剣の主 123

「バム!ブム!」
「「お祖父様ぁ〜!」」
王宮の大広間で祖父と孫は再開を果たした。
ヤヴズ・セムは目に涙を浮かべ、バムとブムの肩を抱いて言う。
「お前達!良くワムの仇を取ってくれたのう!さすがはワシの孫じゃ!ワシはお前達を誇りに思う!ワシは嬉しいぞ!」
「ブヒヒ♪ま、僕らの手にかかればザッとこんなもんなんだなぁ〜」
「ヤヴズ家を敵に回すと恐ろしいという事を世間に知らしめる事も出来たんだな〜」
「素晴らしい!…が、お前達、これから一体どうするつもりじゃ?」
「「……?」」
バムとブムは顔を見合わせる。
「どうするって…これからも王宮で楽しく暮らしていくつもりなんだな」
「僕もなんだな〜」
「なにぃ!?それはいかん!」
セムは怒り出した。
「まったく!お前達は何を考えておるんじゃ!?政治という物を知らん者はこれだから困る!良いか!?今はまだ政権の基盤が定まっておらん!この政情不安な時期に新政権が何のビジョンも示さなければ…(以下略)」
「「……」」
バムはパンパンと手を叩いて言った。
「あぁ〜、お前達。お祖父様はお疲れのようなんだな。屋敷まで丁重にお送りして差し上げるんだな」
するとたちまち黒覆面の銃兵達が現れてセムを取り囲んだ。
「な…何じゃ!?お前達は…!」
「さぁ、セム様。お帰りはこちらでございます」
「は…放せぇ!ワシを誰だと思っておる!?お前達の主人の祖父じゃぞ!?まだバムとブムに言う事がぁ…!」
「「バイバイなんだな、お祖父様ぁ〜」」
セムは半ば引き立てられるように広間を後にした。

入れ替わりに別な男が現れる。
バムとブムに銃を売った(実はジェムの指示で)ゼノン帝国の武器商人カストールであった。
「お久しぶりです、バム様、ブム様」
「おう、お前か。そろそろ来る頃だと思ってたんだな」
「革命成就おめでとうございます。本日は“約束の物”をいただきたく参りました」
恭しくバムとブムを祝う笑顔のカストールであったが、目は鷹のように鋭く二人を睨みながら“約束の物”を貰いに来たと本題に入った。
この男、ジェムの命令とは異なり何かを企んでるようである。

しかし、無警戒で能天気なバムとブムは銃等を提供してくれたカストールに兄弟そろって礼の言葉を述べ。
おまけにカストールに与える報酬に安すぎるとまで言い出す始末であった。
「お前が銃と弾薬を提供してくれたお陰で、僕たちは勝てたんだな〜」
「本当に感謝感激なんだな〜でも、報酬はあの程度で良いのか?安すぎるんだな〜」
「いえいえ、充分すぎる程でございます」
「そうか?…まぁ、良い。それにしてもあんな物を欲しがるなんて…お前…いや、お前達は一体何を考えているのかな?」
「……」
それに対してカストールは何も言わず、ただ何か含んだ微笑を浮かべているだけであった。
ブムは部下の一人に命じて“それ”を持って来させた。
「おい!アレを持って来るんだな」
「かしこまりました」

やがて部下は少し大きめの宝石箱のようなフタ付きの箱を持って現れた。
カストールは受け取り、フタを開けた。
中に入っていたのは一束の書類だった。
カストールは手に取ってパラパラと目を通し、双子に尋ねる。
「…間違い無く本物なのでしょうね?」
双子は胸を張って答えた。
「当然なんだな!王宮の書庫にあった記録を元に書記に命じてそれだけの枚数にまとめさせたんだからな」
「間違い無く本物なんだな」
「解りました。確かに受け取りました……これさえ手に入れれば…」
「ん?何か言ったかな?」
「いえ、何でもございません。では私はこれにて…」
カストールは帰って行った。



それからまた数日が経った。
この日、衛士府跡には新政権打倒を目論むレジスタンスの幹部が集まり、王宮奪還のための作戦会議が行われていた。
「パサン君(アリー)の話によると敵の数はおおよそ500…我々の総数とほぼ同じだ」
ウルジュワンは渋い顔をしている。
幹部達も口々に言った。
「敵はあの銃とかいう新兵器で武装している。実質的には互角ではなく我々の方が圧倒的に不利だ」
「全くだ。何せ触れずして相手を倒すのだからな。我々の刃が届く距離まで近付く前に殺されてしまう」
「こんな事なら弓の鍛錬をしておくべきだったな」
「もっと仲間を増やしてみてはどうだろう?生き残った騎士達はまだまだ居るはずだ。彼らに呼び掛けてみては?」
「数で乗り切るのか?力押しで勝てる相手とも思えんが…」
「パサン君の話によると銃には弱点がある。一度撃つと次の射撃まで時間がかかるそうだ」
ウルジュワンは机に両手を付いて立ち上がり、皆の顔を見渡して言った。
「みんなちょっと聞いて欲しい。私に一つの作戦があるのだが…」

ウルジュワンは自分の考えを皆に伝えた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す