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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 121

バムとブム兄弟を倒そうとするアルトリアにアリーは無謀だと止めようとする。
しかし、完全に諦めてしまったアリーをアルトリアは厳しく睨み付けられ容赦ない叱責を浴びせる。
「では、このまま連中の好き放題にさせたいのですか!それに銃は火薬がなければただのガラクタ、必ず突破口があります。罪を償いたいなら我々に協力をしなさい!」
「・・・・・・解りました。でも、ここは王城の近くですから他の場所に移り話しましょう」
アルトリアに厳しく一方的に責められ決心したアリーは協力するのを決める。

「他の場所に移るって言っても一体どこへ行けば良いんだい?実は僕らクーデター直後に王都を離れて今さっき様子見に戻って来たばかりなんだよ。念の為こうして貧民に変装までしてね。アリー、今の王都で安全な場所って知ってる?」
「そりゃあ一番安全な場所は王宮だよ」
「冗談言うなよ。その王宮を攻める相談をしようってんだからさ」
「坊ちゃま!声が大きいですよ!」
「…まぁ、クーデター発生直後に比べれば王都全体がだいぶ落ち着いて来てる。市民達も冷静さを取り戻して来たようだ」
「じゃあ僕ん家の焼け跡でも行く?」
「セイル!君の家焼けたのか!?王都各所で火災が発生していたのは知っていたが…」
「うん、跡形も無くね…ここに来る前に見た」
「……済まん」
「謝るなよアリー!君のせいじゃない。やったのは暴徒だ。それに家族と使用人達、それと家財の大部分も事前に避難していて無事だったんだ」
「それは良かった…本当に…」
「しかし逃げそびれて暴徒の餌食になった家もあったという事を忘れてはなりませんよ?」 
「あぁぁ!僕は何という大罪を犯してしまったんだあぁぁ!」
「アルトリア!いい加減アリー責めるのやめろよ!」
「セイル様、いちいち反応するアリー殿が悪いんですよ!」
「何だと!これ以上、アリーを悪者するのは僕が許さないよ!大体君は少し冷たすぎっ!!」
またアリーを厳しく問い詰めるアルトリアにセイルは怒鳴る。
温厚なセイルには珍しいが、アルトリアの厳しすぎる態度やアリーの辛い心情を否定するやり方にセイルは遂に我慢が出来なくなったようである。

そんな一触即発の険悪な雰囲気になったアルトリアとセイルにミレルは二人の間に進んで仲裁に入り仲間割れをしたら敵にみつかると諌める。
「坊っちゃま、アルトリアさん、今は喧嘩をしてる場合ではありません!敵にみつかるとヤバいですよ!」
「ごめん、ミレル」
「ミレル殿、申し訳ありません」
止められた二人は冷静になるミレルに謝る。

その後、アルトリア、セイル、アリーは対策を練るためにミレルの案内で旧クルアーン邸跡地へ向かった。


かつて自宅があった場所へ向かう途中でセイルはアルトリアの厳しすぎる性格を諌ようと密かに考えていた。
(アルトリアは他人の失敗に厳しい上に冷たすぎるよ。その上、何でも勝手に決めてしまう。ここは一度きちんと言わないと駄目だな。いくら正論でも人を傷つけたら駄目だよ)
一方、アルトリアはセイルの甘さや愚直さに頭を痛めていた。
(セイル様は甘すぎる。私はアリー殿を奮い立たせる為に厳しく諌めたのに理解なされてない嘆かわしい。もう少し現状を把握して欲しい物だ)

そんな事を考えながら歩いていたためか、二人は尾行されている事に気付かなかった。

ボロボロの服を着て、丸めたムシロを持った浮浪者のような男が、王宮前広場からずっと四人の後をつけて来ていたのだ。

かつて高級住宅街と呼ばれていた焼け野原に差し掛かった頃、ミレルが小声で三人に囁いた。
(…皆さん気付いていますか?私達つけられてます…)
(え!?ウソ?)
(セイル様、振り返ってはいけませんよ。我々が尾行に気付いた事を教えるような物です)
(さっきより足音が近付いてる…どんどん距離を縮めてきてるみたいだ)

その男は更に一行に近寄って来て、そして話し掛けて来た。
「あの…もし…」
「な…何でしょう…?」
セイルが振り返って答える。
そこには見るからに付け髭を付けた男が立っていた。
ところが次の瞬間…
「やっぱりそうだ!!セイル君!君も生きてたんだな!」
「はぁ!?だ…誰ですか?」
「アハハハ!僕だよ、僕!」
男は笑いながら付け髭を外した。
現れたのはセイルも良く知っている顔であった。
「あぁ!!?ア…アブ・シル先輩!無事だったんですか!?」

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