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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 118

一人残り鏡を見つめジェムは自分の時代の到来が来ると叫び突然笑い出す。
「ふふふ、もうすぐだ!!このヤヴズ・ジェムがイルシャ王国の頂点に立ち。世界を動かす時が来るぞ!ふっはははははは!!!!」
すっかり、自己陶酔に浸っているジェムは可笑しくてしょうがなかったが、
しかし、何でも物事がスムーズに行く事に物足りなさを感じるジェムは空しくなり。
ふっと聖剣ルーナの聖霊アルトリアの顔を思い出す。
「何でも思う通り行く何てつまらないな。まあ、いるとすればあの聖剣ルーナの聖霊かね。彼女には近いうち主を僕でなく凡庸なセイルにした事を後悔させてやるか、ふっははははは!!!!」


その頃、このクーデターが全てジェムの企てであり、反撃へ向けての準備が着々と進められている事など知る由も無い王都では…

「完成だ…!」
アリーは一束の書類を前に感無量といった表情をしていた。
それは彼の理想…貴族も士族も平民も奴隷も無く、誰もが人間らしく生きていける国…それを実現させるための改革案をまとめた物であった。
「…これらの政策が実施される事で初めてこの革命で流された血に意味が与えられる…!」
アリーは三日間徹夜して仕上げたその書類をしっかりと抱えてバムとブムの元へ向かった。

バムとブムは王宮の大広間にいた。
そこでは舞えよ歌えの大宴会が催されていた。
「ぶぁっはっはっはっはぁ〜っ!!!女共よ!もっと色っぽく腰を振って踊るんだなぁ〜!」
「ぶひぃ〜っひっひっひぃっ!!!王者の暮らしは最っ高なんだなぁ!!」
双子は権力者の悦楽を最大限に満喫していた。
薄衣を身にまとった半裸の美女達が舞い踊り、目の前には豪華な料理が山と積み上げられている。
片手には一杯で家が買える程の超高級酒の入った銀杯、もう片方の手には半裸の美女。
彼ら自身も上半身裸あるいは服の前面を全開にしただらしのない姿で、でっぷりと肥えた醜い身体を晒している。
顔は酒に酔って真っ赤だ。
その足元には、ぶちまけられた酒や食い散らかされた残飯が散乱していた。
さらに…
「いよっ!良い飲みっぷり!」「さすがバム様!ブム様!惚れ惚れいたしますなぁ〜!」
双子の周りには、この国の新しいボスに取り入ろうという貴族や役人が取り巻いて媚びを売っていた。
そのクズ共の中にセイルの父、クルアーン・オルハンもいた。
「バム様!ブム様!これは少ないですが私からお二方へのお祝いでございますぅ〜。どうぞお納めくださぁ〜い」
オルハンはニッコニコの作り笑顔を浮かべ、揉み手しながら猫なで声を上げ、自分の息子と大して歳の変わらぬ双子にペコペコと何度も頭を下げながら、山と積まれた金塊を献上した。
「うむ、お前、名は何と言うのかな?」
「はっ!クルアーン・オルハンと申します!」
「お前の忠誠、よ〜く覚えておくんだな!」
「ははあ!有り難き幸せぇ〜!」
床に膝を付き、双子に対して臣下の礼を取るオルハン。
まったく頽廃・堕落の極みのような光景であった。

バアァァンッ!!!!

そこへ、勢い良く扉が開け放たれてアリーが姿を現した。
皆の視線が一斉に彼に注がれる。
アリーは肩で風を切るが如くズンズンとバムとブムの方へ真っ直ぐに歩いていった。
「ちょ…ちょっと!何なんですかあんた!?」
自己アピールタイムを邪魔されて怒るオルハンを無視し、アリーはバムとブムに書類を突き付けた。
「これをお読みください!!」
「何なんだなぁ…?」
バムが面倒臭そうに書類を受け取る。
彼はパラパラとページをめくっていく。
おそらくロクに目も通していないのだろうが、そんな事もあろうかとタイトルを見ただけでだいたいの内容は解るようにしてある。
一通り読み終えたバムは「ハァ…」と溜め息を吐いて書類を隣のブムに手渡した。
「どれどれ…ちょっと拝見なんだな……ふむふむ…身分制度の撤廃…それに伴う貴族の免税特権、不逮捕特権、その他様々な社会的特権の廃止…領地の解放…立憲君主制…議会制民主主義……アリー、これは一体何なのかな?」
「はい!新しいイルシャ王国の青写真です。お二人の許可さえいただければ、すぐにでも実行し…」
「アホかああぁぁぁ!!!!おのれはああぁぁぁ!!!!」
と言うが早いかブムは書類を引き裂いた。
「あああぁぁぁぁっ!!!?な…何という事をおぉぉ!!?」
アリーの悲鳴にも似た叫びが大広間に響き渡る。
ブムは破いた書類をかがり火に放り込んで言った。
「アリー!!一体誰がこんな案を出せと言ったのかな!?自分の立場をわきまえるんだな!!」
ブムも言う。
「その通りなんだな!!お前には銃兵隊の指揮を任せてあるんだな!!余計な事など考えず、この王宮を守っていれば良いんだな!!」
「余計な事だって…!?」
アリーはバムとブムを睨み付けながら言った。
「…この際だ。前々から思っていましたが、お二人にハッキリと申し上げておきたい事がある!」
「あぁん?」
「何なんだなぁ?エラっそうにぃ…」
「…あなた方はお父上を殺したこの国を憎み、仇を討つために武器を取って立ち上がり、そしてそれは見事に成功した!だがあなた方はこの国を倒す事ばかり考えていて、その後どうするかというビジョンまでは持っていなかった!だから目的を達成した途端に連日連夜飲めや歌えの大騒ぎだ!」

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