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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 113

盗賊達は全員州城の地下牢へ放り込んだ。
日を選んで処刑するつもりだ。
ドルフは良民に対しては仁徳をもって接するが、罪人に対しては容赦が無かった。
罪人に同情したら領内の秩序は保てない。

「やりましたな、坊ちゃま」
「ああ」
「アジトに捕らわれていた娘達を解放しました…が…」
「どうした?」
「少ないですが金を渡して自分達の村へ帰るように言ったのですが、そもそも帰る村が盗賊にやられて無くなってしまったという娘や、村は残っていても帰りたくないという娘が多くて…」
村に戻っても“盗賊に浚われた女”という烙印を押されて嫁の貰い手も無いのだ。
ドルフは少し考えてから「よし!」と手を打って言った。
「ならば城でまとめて面倒見てやろう。兵舎の隣に娘達の家を建てて兵達の身の回りの世話などさせろ。我が軍の兵には独身者も多い事だし…」
だから何なんだと言われても困るが…。
アフサンは言った。
「さすが坊ちゃま!お慈悲ある良いご判断です」
「これ位は太守として当然の事だろう。アフサン、大げさすぎるぜ」
娘たちへの配慮を大げさに褒めるアフサンにとうのドルフは大げさだと苦笑するが、
ドルフには幼い頃から手を焼かされていた教育係のアフサンは太守になってからのドルフの成長振りは感動するしかなかった。
「あの手の付けられない坊ちゃまが、今では立派な太守に成られて爺は嬉しいので御座います!後は奥方様・・・」
「話が長くなるから止めてくれ。それよりも王都の動向が気になるな?」
嫁を娶れお世継ぎをもうけろとアフサンは言いそうな勢いなので抑えるドルフであった。
仕事に燃えている今のドルフには嫁取りは面倒くさい事でしかなく王都で起きた政変の話題に振ってごまかした。
「俺が王都の騎士学校に通ってた頃はクーデターが起きる気配はなかったぞ。それに王都には精強な軍隊がいるじゃねえか?」
「クーデターの首謀者は先日謀反の容疑で処刑されたヤヴズ・ワム前宰相の息子、ヤヴズ・バムとヤヴズ・ブムです。おそらくワム前宰相の仇を討とうとしての事でしょう」
「あのヤヴズ家の双子がやったか…!」
ワムが処刑された事はドルフも知っていた。
ロクな取り調べもされずに殺されたワムに対し、ヤヴズ家と利害関係の無い地方の貴族達は同情的な者が多かった。
「ただのアホなデブ共かと思っていたが、なかなかやるじゃないか。しかし衛士隊と近衛隊は何をしていたんだ?」
「それは解りません。もたらされた情報はクーデターが起きたという事だけで、王都が今どうなっているのかも…」
「そうか。まあ例え王が変わろうが王朝が変わろうが、我がイシュマエル家には大した問題ではないな」

イルシャなくともイシュマエルあれど
イシュマエルあらずしてイルシャなし

イルシャ王家とイシュマエル家との関係性を端的に表した謳い文句である。
それだけイシュマエル家の力は強大であり、そんな一族がなぜ力の劣るイルシャ王家に臣従しているのかと言えば、イルシャ王家が聖剣の勇者イルシャ・ルーナの末裔だからという、ただそれだけの理由であった。

城に戻ったドルフは召使い達に命じた。
「久しぶりの出撃で汗をかいた。風呂の用意をしてくれ」
「かしこまりました」
「では坊ちゃま、私はこれで」
「おう、お前もご苦労だったな」
アフサンは帰って行った。
するとドルフは召使いの一人を呼び戻して命令を付け加えた。
「あっちの用意しておいてくれよ」
「はい、かしこまりました」
召使いは意味深な表情で頷く。

少しして、風呂の用意が出来たと告げられたドルフは浴室へと向かった。
浴室は大理石造りで広く、天窓まである豪華な造りだった。
そこには先客がいた。
「「「ドルフ様ぁ〜♪」」」
「おぉ♪お前らぁ〜」
それは5〜6人ほどの裸の女達だった。
誰も皆美しい。
ドルフが城下で見つけて城に召し上げた娘達だ。
実は彼はかなりの性豪でもあった。
ただ、アフサンに見つかるとうるさいので、女遊びは彼の目の無い所のみに限っている。
何時もの様にドルフは女たちとお楽しみに入ろうとした所で、一人の侍女が何かを知らせに浴室へ入って来た。

「太守様、大変でございます」
「うん!アフサンでも戻ってきったのか?」
知らせを聞きアフサンが戻って来たかと思ったドルフは少し不機嫌になるが、ジェムの来訪と聞きドルフは思わず目を丸くする。
今回のクーデターに関する物と本能的に察したドルフは太守の顔に戻った。今のドルフは女よりも仕事に燃えているのであった。
「いえ、御友人であらせられるヤヴズ・ジェム様が至急、太守様に面会を求めてきてるのです」
「そうか、何かあるな。ジェムには待ってろと言え!」
「はい!」
そう言うと侍女は静かに去っていった。
そして、ドルフと女たちは浴室に出て服を着替え。
ドルフはジェムのいる客間へ向かった。

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