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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 104

そう言って掌を開いて見せた。
「うっほ…!!?」
女は驚きに目を真ん丸に見開いた。
「「…っ!!?」」
セイルとミレルも我が目を疑う。
なんと手の中の石がいつの間にか宝石や金塊に変わっていた。
(あいつ、魔法で石を財宝に変えやがったな…)
セイルは思う。
アルトリアはさも残念そうに言った。
「これだけのお礼を用意していたのですが…そうですか〜、余裕が無いなら仕方ないですよね〜、残念だ〜、あ〜、残念だ〜、他の家を当たるか〜」
「ま…ままま…ままま待ってください!!!!」
「…あぁ!?何ですかぁ?私達いま今夜の宿を探さなきゃならないんで忙しいんですけどぉ〜」
「いま主人と相談して参ります!!!!」
女は光の速さで家の中へと取って返した。
中から何やら中年男の怒鳴り声が聞こえて来る。
「ハァ!?お前は何を考えてるんだ!?金無しヤロウなんて早く追い返しちまえ!!……へ?なに?……ええぇぇぇ〜っ!!!?」
続いてドタバタと足音が聞こえてきて、先程の女が夫と思しきいかにも卑しそうな面付きの中年男を伴って出て来た。
夫婦は三人の前に平伏して言う。
「「ぜひ我が家へおいでください!!!最高級のお持て成しをさせていただきます!!!」」
(やりました。宿、確保です!)
アルトリアはセイルとミレルの方を振り返ってウィンクした。
二人は呆然…。

「な…なんか騙してるみたいで気が引けるんだけど…」
「いいえセイル様。騙しているみたいなのではなくズバリ騙しているのですよ」
「なおダメじゃん!」
「構いませんって坊ちゃま。あんな性根の腐った人達…良い気味ですよ♪」
二階の客間に部屋を与えられた三人は運ばれて来た食事を食べながら話し合っていた。
部屋も寝台も食事も、さすがに王都のそれらには劣るものの、農村で調達できる最高級といって良い物が用意されている。
「いや、確かに彼らは人間として色々と終わってるような人達だけど…だからって騙して良いって事にはならないんだよ?僕らがやってる事は犯罪だからね?」
「セイル様もなかなか言いますねぇ…しかしあなただってその犯罪行為によって得られた目の前の料理を口にしているではありませんか」
「そうですよ。坊ちゃまだってエラそうな事を言う資格はありませんよ」
「そ…それは……………………僕もお腹空いてたんだよ…」
「フッ…セイル様、また一つ汚れられましたね」
「ご飯、美味しいですか?」
「美味いよ!ちくしょ〜!」
食卓は楽しい(?)笑いに包まれた。

夕食後、風呂に入ったセイルたちは家主の中年夫婦が提供した部屋で寛いでいると。
セイルは小声でアルトリアに訊ねてくる。
「ねえ、アルトリア。君が、あの夫婦に渡した石は何時まで財宝でいられるの?」
「それ私も気になってました?」
ケチで意地悪な中年夫婦に渡した財宝に化けた石が、何時まで財宝の状態を保つのが気になるセイルとミレルは小声でアルトリアに尋ねると。
アルトリアも中年夫婦に聞かれないように小声で答える。
「そうですね〜せいぜい一週間位ですね」

「い…一週間?意外と短いんだね…」
「充分でしょう。それぐらいあれば王都も落ち着くはずです。お祭り騒ぎもいつまでも続けてはいられませんよ…さて、そろそろ寝ましょうか」
「そうだね…でもベッドが一つしか無いな」
部屋の中には大きなベッドが一つだけ…確かに三人並んで寝ても余裕があるぐらいの大きさではあるのだが…。
セイルは言った。
「あの…僕は長椅子で寝るから二人でベッドを使いなよ」
アルトリアと二人きりなら一緒に寝たろうが、今はミレルもいるのだ。
そういう事にはならないだろう。
ところがアルトリアとミレルは猛反対した。
「とんでもない!以前にも申し上げたはずです。主であるあなたを差し置いて剣である私がベッドで寝る事など出来ません」
「私もです!坊ちゃまを椅子に寝かせて自分だけベッドでなんて寝られません」
「で…でもぉ…」
なおも渋るセイルにミレルが言う。
「坊ちゃま、幼い頃よく一緒に寝ていたじゃないですか。あの頃みたいに…ね♪」

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