PiPi's World 投稿小説

魔剣と聖剣と妖刀
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 8
 10
の最後へ

魔剣と聖剣と妖刀 10

ガチガチに固まるサージュにエリーナは柔和な笑みを浮かべ言う。
「何、ちと先ほどの件でお前さんに聞きたくてな」
「先ほどって・・・朝のですか?」
「さよう。サージュと言ったか・・・・あの“剣”、誰に習った?」
「・・・」
オーギュストの問いに無言になるサージュ。
「サージュ?それに朝の騒ぎで見せた彼の剣に何かあるんですか学園長」
「あぁ、あるともさ。 あの時彼が見せたあの剣や動き。未熟じゃったがアレは正しく“刀”の戦い方はずじゃ。
違うか?」
「“刀”?」
オーギュストの言った言葉にアメリアは口に出しながら首を傾げる。
そんな彼女にエリーナは答えてくれた。
「えぇ。あなたも一度は聞いたことあるでしょう?この大陸には9000年前、二つの剣と一振りの刀が存在していた話。
あれは実話でね。一振りの刀“妖刀”が何処かに消えてしまった時。妖刀を納めていた大国「ヤマト」は完全に歴史から姿を消した」
「どうやって無くなったのか、それは今だ解明されておらんが。妖刀が無くなったと同時に大国「ヤマト」のほとんどの文化、技術、記録はこの世からなくなったんじゃ」
「“ほとんど”?“全て”ではなく?」
オーギュストの言った事にアメリアは質問する。サージュは今だ無言で彼らの会話に耳を傾けているだけだ。
「えぇ。かの大国の記録は残った二つの国、聖剣を納める「エデン」と魔剣を納める「スタンザ」にほんの僅かに残されているだけだった。
そのほんの僅かな記録の中に「刀」と言うモノが載っていて。ヤマトの人間はこの刀の使い方や生産方法を知っていたと言う事が分かったのよ」
オーギュストとエリーナ、二人の説明にアメリアはとんでもない話を聞かされ顔をポカンとさせていた。
「じゃ、じゃあ・・・学園長とエリーナさんが此処に来た理由って・・・」
「うむ。もはや文献だけの存在になった「刀」とその戦い方をする彼に聞こうと思って来た、と言うことになるな」
「そうですね。ゆえに、答えてくれますか?何故あなたが“あんな”戦い方をしたのかを・・・」
エリーナの鋭い視線と共に見つめられるサージュ。
「…あの剣術は、俺がまだ幼い頃、ある男に教わったものです。もっとも教わったと言っても本当に基礎的な事だけで、あとは独学ですが…」
サージュは自分の手の平を見つめながらポツリポツリと語り始めた…。



「・・・・と、いう訳です」
「「「・・・」」」
あれからどれだけの時間が経過したのかは定かではない。だが、保健室の窓から聞こえてきたはずの生徒の声がしなくなったという事は、結構なほどの長話だったのだろう。
しかし、彼ら三人はそんな事など気にせず、ただ彼の話に耳を傾かせていた。
「なるほど、要約すると・・・。
一つ、そなたが住んでいた町にある日「男」がふたりと現れ、一月程過ごすことになった。
二つ、何日かして「男」は町にも慣れてかなりの交友を深めた。
三つ、そんなある日、早くに目覚めたそなたはその興奮で町に出て、町の広場で「特訓」らしきモノをしている男を発見。
四つ、そのあまりにも見たことの無い動きと武器の形状に心奪われたお主は、その男に弟子入りをした。
五つ、弟子入りして数週間後、その男はいきなり姿を消した。
・・・・コレでいいんじゃな?」
「はい」
指折りをしながら、要所要所を確認するオーギュストにサージュは肯定する。

「・・・・・それで教えてもらったのが、基礎だけ・・・だと言うのか?」
「・・・」
ありえない、と言う言葉が現れるほどの顔をしながら聞いてくるエリーナにサージュは無言で肯定を示す。
「えぇっと・・・つまり?」
「つまり、こやつは基礎しか知らん上にその基礎も怪しいと言っているんじゃ。 聞けば、「刀」はワシらが知る剣よりも細長く、それに反して切れ味が凄まじいらしいの?」
状況が読めないアメリアが困惑した顔でオーギュストとエリーナを交互に見る。
そんな彼女に、オーギュストは彼を指差しながら呆れた口調で教えてくれた。
「はい。 小さい頃良く見てたんですけど、「これって、包丁を細く長くして上に少し曲げただけなんじゃ?」って何時も思っていました。けど、切れ味は凄まじかったですね。
ある日、いきなり「この岩を良く見とけ」って言われて見てたら、次の瞬間その岩が綺麗に真っ二つになってましたし」
「なっ?!!」
彼が言った事に驚きの声を上げるエリーナ、しかしソレは仕方なかった。
通常、岩を“綺麗に真っ二つ”にする事が出来る者など、そうはいない。それは、サージュが言った通りのモノなら尚更だろう。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す