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魔剣と聖剣と妖刀
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔剣と聖剣と妖刀 1


それは、今から遙か太古の時代、国々は大陸の覇権を巡って血で血を洗う戦いを幾何回も繰り返していた時代。後の後世にその名を轟かす『二つの剣』と『一振りの刀』が存在していた。
『魔剣』と『聖剣』、そして『妖刀』である。二つと一つは、その絶大なる力で大陸を統一、三つの大国に分けさせ大陸を平和へと導いた。
しかし、その平和は長くは続かず、妖刀がどこかに紛失したと同時に一つの国は滅び、残りの二国も争いにより国は滅び、魔剣と聖剣はバラバラになって大小様々な魔剣、聖剣が誕生した。

話はこれより9000年後のある国の学園から始まる。

広々としたグラウンドから生徒達の気合溢れる声とそれを上回る教師の怒声が響き渡る此処は、“アルザス大陸”の東に位置する“ニルバッハ王国”の“王立騎士養成学校”である。
此処では、王国に住み、騎士を目指さんとする若い少年少女が切磋琢磨し泥と汗を流しながら技と学問に励む場所だ。
そんな場所に一風変わった生徒が存在する。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「おいおい、サージュ。やめとけって、お前もう体力の限界だろう?」
グラウンドの一角、2人の男子生徒が木で出来た剣で模擬戦を行なっていた。今目の前の男子生徒に声を掛けたのはグレイグ・ジャックマン、この学校の1年生で早くに期待が掛けられている新入生だ。
一方、そんな彼の前で息を切らし剣と杖代わりにしている生徒はサージュ・レオンハルト、グレイグと同じ新入生であるだが、彼は周りから「騎士らしくない男」としてあまり良くない目で見られている。

性格面ではとても義理硬く礼儀正しい好青年であるのだが、原因は彼の戦闘スタイルと彼自身にある。
背は同期の生徒と比べ小さく、体は「細マッチョ」なのだが此処ではただのヒョロすけで、戦い方もヒットアンドアウェイと言う騎士とは程遠いもの。さらに体力も他の生徒に比べ少ないのという始末、故に他の生徒や教師は彼の扱いは蔑ろにしがちなのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・あぁ〜〜やっぱ無理か〜〜」
「おいおい・・・。俺と“互角に渡り合えた”奴が無理とか言ってんじゃねえよ」
グラウンドに大の字になって気楽そうに言うサージュにグレイグはジト目で睨みつける。
彼は負けて当然とした態度でいるが、実際グレイグは内心冷や汗でいっぱいであった。サージュに目を向ける人物はゼロである。現に遠目で見ていた生徒や教師でさえサージュに冷たい目を向けているが、グレイグは彼が持つ力に驚愕しているのであった。

(サージュ…こいつはとんでもない力を秘めてるぞ。今は本人もそれに気付いてないが、もし何かのキッカケで目覚めれば、俺なんか足元にも及ばない凄い騎士になれるはずだ…)
それは真に素質のある者なればこそ判る、ある種の勘のような物であった。凄腕の剣士は剣を合わせた瞬間に相手の腕前が判ると言う。この学園でサージュの秘めたる才能に気付いているのは、今のところグレイグただ一人だけであった。
「ほら、掴まれよ」
「うん、ありがとな」
グレイグが差し伸べた手をサージュが受け取り、立ち上がる。

カラ〜ン…カラ〜ン…

ちょうどその時、学園の中央にある時計塔が鐘の音によって授業の終わりを告げる。
「ようし、本日の実技の授業ははこれまで!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
教師が宣言し、生徒達は一斉に頭を下げる。学校の風景というのは、どこの世界でもあまり変わらないもののようだ。
「グレイグ〜、明日は俺と手合わせしてくれよ〜」
「そうそう、いっつもサージュの相手ばっかりしてないでさ〜」
授業が終わるなりグレイグの周りには生徒達が集まって来る。将来確実に王国騎士団の幹部になるだろうと言われているグレイグに媚びを売るためだ。
「グレイグは優しいからな〜。サージュの面倒見てやるのも良いけど、こんな落ちこぼれの相手ばっかしてたら、せっかくの腕が鈍っちゃうぜ?」

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