PiPi's World 投稿小説

魔剣と聖剣と妖刀
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 6
 8
の最後へ

魔剣と聖剣と妖刀 8


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
獣を思わせる雄たけびを上げながら右手に持っている魔剣“グランニル”をサージュに向かって大上段から思いっきり振り下ろすザネル。
「っらぁ!!」
そんな彼に対し気合一閃、鋭い声で剣を横に振るうサージュ。
ーーーガキィン!!ギン!ギギン!!キン!キン!
金属特有の甲高い音を響き両者が停止したのは一瞬。すぐに激しい剣戟を繰り広げる両者、それはまさに命を懸けた死合いそのものである。
『・・・』
「ほっほっほっ。なかなかやるようじゃなあの少年」
「な、あんな戦い方が騎士だとでも言うのか・・・?」
彼らのやり取りを見て騒然となる野次馬たち。そしてサージュの戦いを見て喜びを見せるオーギュスト、その傍らエリーナはありえない、と言う顔でそう呟いた。


目の前で繰り広げられる剣戟。
テーブルは壊れ、窓はその破片で割られ、床や壁は剣の切り傷によってその鮮やかさを曇らしている。
そんな中、さながら嵐のようなその中心、怒涛の如き攻めでサージュを亡き者にしようとするザネル。
その激しい攻撃を片手で持った剣で全てを“防ぎきる”落ちこぼれと呼ばれるサージュ。
相対する両者の実力など天と地ほどの差があることなど、周知の事実であるが、
「おりゃああぁああぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
「フッ!ハッ!どうしたザネル?やけに俺に突っかかるじゃないか?」
「俺もいることを忘れるな。ふん、大方お前に気があるんじゃないのか?」
今この時に起こっている事実に誰一人として目を疑うものであった。
「騎士らしくない男」として、体力も実力も同じクラスの男子に劣ると言われていた彼が攻めに出てはいないとはいえ。
あのグレイグに次ぐ実力を持つザネル・フォン・グランヴィアと互角に渡り合えている事実にただただ、黙ることしか出来なかった。

「うおぉぉぉっ!!!!」
ザネルは渾身の一撃をサージュに向かって振り下ろした。
その攻撃を剣で受け止めようとするサージュだったが、何を思ったか、咄嗟に構えを変えてザネルの剣を打ち払った。

バキイィィィンッ

その一撃でサージュの剣は真っ二つに折れてしまったのである。

「…もし、あれをまともに受け止めていたら…」
「うむ、死んでおったろうな。あのサージュという少年、あの咄嗟の判断力…ありゃあタダ者ではないぞ。こりゃあ久しぶりに“本物”に出会ったのう…ほっほっほ」
サージュの秘めたる実力に彼を見直すエリーナと意外な傑物の発見に思わず頬を緩ませるオーギュスト。

「くそぉ…やってくれるじゃねぇかよ…」
一方、剣を折られてしまったサージュは、もう殆ど刃の部分が残っていない剣をザネルに向かって構えた。
「ククク…悪運の強い奴め…だが今度こそ終わりだぁ…」
ザネルは不気味な笑みを浮かべながら魔剣を構えてサージュに詰め寄る。
だが、その時である。
「……っ!!」
密かにザネルの背後に忍び寄っていたグレイグが無言のまま斬りかかったのである。もちろん峰打ちだ。
サージュがわざと折れた剣を構えてザネルの注意を惹いている内にグレイグが背後から襲う。
もちろん打ち合わせなどしていない。
二人のコンビネーションが成せる“合わせ技”だった。

ところが!
「…フンッ!」
バキャッ
「ぐああぁぁぁぁっ!!!?」
ザネルはまるで背後に迫ったグレイグに最初から気付いていたかのように剣を振り上げてグレイグの攻撃を迎え打った。
まさか迎撃されるとは思っていなかったグレイグ。
咄嗟に剣で受け止めるも、弾き飛ばされて壁に激突してしまった。
「グレイグーーーっ!!?」
今までどことなくマイペースだったサージュも思わず真顔で叫ぶ。
グレイグは全身を壁に打ち付け、気を失ってその場に崩れ落ちた。
「チクショウ…よくもグレイグを…!!」
「ククク…本当は今の一撃で殺す事も出来たが、楽しみは後に取っておくとして…まずはお前からだ。サージュ」
サージュに向かって魔剣を振り上げるザネル。
「グレイグもそうするつもりだが、お前も楽には死なせてやらないぞ…まずは右手から行ってみようか…?」
「ク…ッ!!」
もはやどうする事も出来ないサージュはギュッと目を閉じた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す