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魔剣と聖剣と妖刀
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔剣と聖剣と妖刀 6

「こ、これは・・・?っ!ま、まさか・・・魔剣!!?」
彼の目の前に突如現れた魔剣。それは先ほどエリーナとオットーの目の前から消えた魔剣であった。
「これなら・・・ふ、ふふふふ・・・あはははははははは!!!」
目の前に突然現れた魔剣という名の力にザネルは壊れたように笑いを上げる。
「これだ!コレならあいつらをっ!!くく・・・今に見ていろ!」
彼はすでに騎士としての誇りを捨てていた。今、彼の心を占めているのは果てしないまでの復讐心とフッた少女を犯してやろうと言うドス黒い感情だけであった。
そんな彼を赤い月は怪しく照らし出す。

明けて翌朝、爽やかな日の光を浴びて王立騎士養成学校の学生も次々に目を覚ます。
ーーガヤガヤ・・・ワイワイ
学校の食堂、レンガ造りの室内には朝食を取ろうとする学生でにぎわっていた。

「ふあ〜あ…おっはよ〜、グレイグ〜」
「サージュ!朝っぱらから眠たそうな顔してないでもっとシャキッとしろよ」
「何言ってんだ…朝だから眠いんじゃねえか…」
「はぁ…ホントお前って奴は…」
サージュをたしなめるグレイグ。いつもの朝の光景だ。そこへ…
「キャア…ッ!!」
「ヒィ…ッ!?」
突然、食堂の入り口付近にいた学生達から悲鳴が上がった。何者かが食堂に入って来たためだ。ススス…と人垣が割れ、その中心を件の人物はゆっくりと一歩一歩進んでいく。
「ククク…グレイグゥ…サージュゥ…」
それは近くに立っているだけでビリビリするような強力な殺気というか陰のパワーを体中から放っているザネルだった。彼の顔は1日ではなり得ない程にやつれ果てていた。その右手には一本の剣が握られている。魔剣だ。ザネルはサージュとグレイグを見つけると、獲物を前にした悪魔のような瞳でニタァ〜と笑った。
「見つけたぞぉ…」

「見つけたぞぉ・・・」
キザったらしかった顔は暗く濁り、その目は狂気とも言える様な光をギラギラと輝かせている。
そしてそんな彼はグレイグとサージュが座っているテーブル目掛け手に持っている魔剣を“上から下へ振り下ろした”のだ。
ただそんな単純な動作であったが。
「「・・・っ!!」」
二人は“全力の回避行動”をとった。そしてその数瞬後、彼らがいたテーブルだけが激しい音を立てて壊れたのである。
「く、クク・・・クハハハハハハ!!!!見たかお前たちっ!これが俺様の力だ!筆頭貴族の実力なんだよっ!!!」
朝のにぎやかさから一変、突然の事にパニック状態になった食堂。悲鳴が鳴り止まない中、グレイグとサージュは冷静を保っていた。
「おいおい、ザネル。一体どういう風の吹き回しだ?こんな朝っぱらからさ」
やや挑発ぎみにサージュはザネルに尋ねる。しかし、彼の表情と目は鷹のように鋭くなっている。
「こんな所にあったか…」
そこに二人の人物が食堂に入って来た。オーギュスト学園長とエリーナだ。
「あの少年に取り憑いているようですね」
「うむ、魔剣は人間の強い負の感情と共鳴して、その者の心を支配してしまうからのう。あれは確かザネル・フォン・グランヴィア…グランヴィア公爵の倅じゃな」
ヤレヤレと言った風に言う学園長にエリーナは同情の視線を投げかけた。きっとこの後の後処理を想像したのだろう、彼の顔は心なしかゲッソリして見える。
魔剣に取り憑かれた人間を元に戻すのには主に二つ、魔剣そのものを完全に破壊するか、取り憑かれた人間を倒すかだ。
「しかし困ったのぉ〜」
「はい。彼、見るからに魔剣に取り憑かれた様に見えましたが・・・。さすが、と言うべきでしょう。取り憑かれたと言うのに魔剣の力を完全とは言えませんが使いこなしている」
今だ悲鳴が止まない状況で冷静な瞳で彼らを見るエリーナと学園長。引退したとしてもその目は衰えないのか、彼女が言った事に相槌を打っている。
「それで、学園長?いいのですか?止めなくても」
「うぅ〜ん・・・いいじゃろ。そろそろ生徒達にも本物の“戦い”というモノを覚える時期だしの。この件は生徒たちに一任するとしよう。それに面白そうじゃね?」
そう聞いてくるエリーナに学園長はお気楽に答える。その顔はとても生き生きしていた。

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