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魔剣と聖剣と妖刀
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔剣と聖剣と妖刀 4

「だ〜か〜ら〜!!違うったら違うんだも〜ん!!!」
アメリアはそう叫ぶとお湯の中にブクブクと沈んだ。

「…ハックション!!」
その頃、男湯で同じく湯船に浸かっていたサージュは大きなクシャミをした。
「何だサージュ、風邪か?」
隣にいたグレイグが尋ねる。
「さあ?それとも誰かが俺の噂話でもしてるのかもなぁ…」
そう言ってサージュは笑った。


「ふぅ〜。サッパリしたぁ〜!!やっぱ風呂は最高だねぇ」
風呂で体の汚れを全て洗い流した彼は、軽装な服装で男子寮の廊下を歩いていた。グレイグもいたのだが彼は「もう出る」と言って彼より早く部屋に戻ってしまったので今は一人だ。
「ん?おぉ〜。見事な満月、明日も頑張るかー」
何の気なしに見た夜空に浮かぶ月を見て、彼はそう口にする。“騎士らしくない男”として周りから差別されている彼、体付きや体力、そして戦い方も同期の学生と比べると最底辺にいる彼、だがそんな彼にも目指すべきモノがあった。
「・・・なぁ。俺は“アンタ”に近づいているか?」
何時ものオチャラけた雰囲気を無くし、小さい声でそう呟く彼の表情は親友の2人でも見た事の無い真剣な「男」の表情のソレであった。


「よぉ、アメリア…」
「ザ…ザネル…!?」
寮の部屋に戻って一人で休んでいたアメリア、誰かが窓をコンコン叩く音がしたので開けてみると、そこにいたのはザネルだった。
「はぁ…何の用?」
「この間の話、考えてくれたか…?」
「も〜う、しつこいわね〜。この前ちゃんと断ったじゃない!」
実はザネル、数日前にアメリアに自分と付き合って欲しいと告白していたのだ。アメリアはその時点でザネルをフったが、諦めの悪い彼は『数日経った今ならアメリアの気持ちも変わったかも知れない』と考え、こうしてやって来たのであった。
「…やっぱりダメなのか!?どうしてだ!?俺は名門グランヴィア公爵家の御曹子なんだぞ!?俺と一緒になれば一生不自由はさせない!最高の人生が待ってる!」
「だから!私は公爵家とか社交界とか、そういう格式張ったのが嫌いなの!それにアンタ自身も嫌い!人を見下したような態度とか、自分が世界の中心みたいな振る舞いとか!」
「な…なぜだ!?なぜ俺を拒絶するんだアメリア!?俺の愛を受け入れない女がこの世に存在しているなんて有り得ない!!」
「わ…割と多く居ると思うわよ…?」
「…そうか…お前、俺の他に好きな男がいるんだろう?そうだ…そうに違いない!」
「え…!?」
好きな男がいる…この言葉にアメリアは詰まってしまった。
「やっぱりそうなんだな!?相手はグレイグだろう!!」
「ち…ちが…!グレイグじゃないわよ!!」
しかし、ザネルは既に聞く耳を持たない。
「くそぉ…グレイグめぇ…一度ならず二度までもこの俺に恥をかかせやがって…こうなったら…」
ザネルはブツブツと恨みの言葉を吐きながら帰って行った。
「何なのよ…ったく…」
とりあえずホッとしたアメリアだったが、何となくこの件はこのままでは済まないような気がしていた。

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