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ナジン伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ナジン伝 8


さて、ナジンが妊婦たちに襲われているころ、町の中心の家には三人の女がいた。正確には、椅子に腰掛けている女と、その右隣りに立つ少女、その正面でひざまづく女だ。
「明後日、この家に見張りを除く全兵士を集めなさい」
椅子に腰掛けている女…メナム王国王妃サフィーアの言葉に、ひざまづく女…王宮衛兵隊長アーシェスは顔を上げる。
「では……」
「私達のこれからの方針を皆で話し合います。他にも、当番を除く侍女や、メノリ殿、そしてナジンに参加してもらいます」
「お待ちください、お母様」
サフィーアの隣に控える少女…メナム王国王女エリシア姫が発言する。
「メノリ殿はともかく、ナジンはまだ子どもです」
「子どもだからこそ、私たち大人の女とは違う視点でものを考えることが出来るのではなくて?」
「それは……そうですが」
「…それに、唯一の男である彼は、今の私達にとって重要な存在…私達の希望です」
「どういう意味ですか?お母様…」
「今に解るわ…全ては明日の話し合いの場で…」


そして翌日、皆がサフィーア王妃の元に集まった。
サフィーアは口を開いた。
「…皆、よくお聞きなさい。私達は祖国を失い、今やこのような辺境の地で、いつ来るやも知れぬ敵から身を隠して生きています…。ですがこのような身の上となっても、我が想いはただ一つ……それは、メナム王国の再興です」
「…王妃様!」
「もちろん私達も同じ気持ちでございます!」
涙を流しながら王妃の言葉に賛意を示す女兵士達や侍女達…。
サフィーア王妃は続ける。
「…ですが、残念ながら今の私達には、国を取り戻す力はありません。ゆえに、今は力を蓄える時です」
「力を蓄える…とは?」
「どういう事ですか!?」
「良いですか、あなた達…私達は女…新たな命をこの世に産み出す力を神から与えられた存在です。その私達に出来る事と言えば一つしかありません。この腹に子を宿し、そして産む…簡単な事です」
王妃は自らのお腹の辺りに手を添えて言った。
「国の力とは、即ち人…産まれた子供達を戦士に育て上げ、失われた祖国を取り戻すのです。例え何十年…いえ、私達の生きている内には叶わなくとも…いつか子孫達が私達の願いを叶えてくれると信じて…」
皆は力強く肯いた。
王妃はナジンに向き直って言った。
「ナジン、あなたは私達の中で唯一の男…私たち女に命の種を植え付ける力を与えられた存在です。私達の希望はあなただけ…頼りにしていますよ」
「え…えぇっと…俺、具体的にはどうしたら良いんでしょうか…?」
「簡単です。私達に子種を注ぎ、孕ませていただきたいのです」
そして王妃はメノリを見て言った。
「メノリ、あなたには辛い想いを強いる事になります。許してください。これもメナム再興という遠大な計画のためです」
「…正直『はい、そうですか』と軽々しく納得できる話ではありませんが…」
メノリは言った。
「…確かにこの状況下において、私一人だけがナジンを独占するという訳にはいかない道理も解らなくはありません。王妃様の仰せのままに…」
「メノリ…ありがとうございます」
王妃は涙を流してメノリに頭を下げた。
王妃なのだから、一言命令すれば良い物を…本当に心優しい女性だとメノリは思った。
「メノリ…」
ナジンはメノリに申し訳ないやら、一方ではアッサリ承諾したメノリに驚いているやら、複雑な気持ちだった。
「そんな顔するなよ、ナジン。なにも別れようって訳じゃない…それに、私はもうお前に貰うべき物は貰ったからね♪」
「え?それ一体どういう意味だよメノリ?……ま、まさか!?」
メノリはお腹に手を当てて微笑んで言った。
「ああ、どうやらデキたみたいだ…お前の子だよ、ナジン」
「本当か!?」
ナジンは驚く。
王妃は言った。
「何とおめでたい事でしょう。今夜はお祝いをしなければね。メノリの懐妊と…私達の新たな門出を祝して…」
「「「はい!」」」



その頃、旧メナム王国の王都カルカシアでは…
「ガァーッハッハッハッハァッ!!!!女共ぉ!!俺様に奉仕しろぉ!!」
宮殿の玉座には一人の全裸の男がドッカリと腰を下ろしていた。
周りには十数人の美女達が同じく全裸で侍っており、男の手に持った杯に酒を注いだり、勃起した男根に奉仕したりしている。
男の体は筋骨たくましく、その男根も見事な巨根であった。
彼の名はゴルバドス。
ゴルゴン帝国の第三皇子であり、メナム王国侵攻軍の総司令官でもあった。
「お楽しみのようだね」
玉座の間に、長い青髪の女が入ってきた。
ゴルゴン帝国の軍服、それも高級指揮官用のものを着る彼女の名はゴネリル。
ゴルゴン帝国の第三皇女であり、メナム王国侵攻軍の副司令官であった。
「おお、姉上。何か急報でも?」
そして、ゴルバドスの姉でもある。
「良い急報と悪い急報、どちらを聞く?」
「………悪い急報からだ」

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