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ナジン伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ナジン伝 15

彼らは第二兵団に従軍していた傭兵団「ブラッドフォード傭兵団」の面々だ。
シャンプレーン運河のあるシャンプレーン地方の制圧を終えた第二兵団は、エンベル連邦とは事を構えないという中央の方針と、増援兵の到着により交代で将兵に休暇を与えていた。
シャンプレーン運河の南には、ポリフィーマ山系があり、エンベル連邦に対する天然の要害ともなっている。
その麓にある温泉保養地の、グリシアス村。彼らは軍が借り上げた温泉宿に投宿し、湯治と骨休めに勤しんでいた。
のんびりしていた男達は、体のあちこちに戦場往来で負った傷の痕がある。
温泉を楽しんでいた男達の中にいた、左頬に刺突されたような傷跡のある渋い中年の漢が生真面目な声で言った。
「だが、油断はするなよ。旧メナム王国各地に抵抗勢力が潜んでいる。魔物が大人しくなる今の時期こそ、奴らが動き出す時期だ」
「わかってまさあ!」
「もちろんですぜ隊長!」
彼こそ、命知らずの男達を纏め上げている腕のいい傭兵隊長のブルーノ・ブラッドフォードだ。
彼自身、シャンプレーン運河攻防戦で陣頭指揮を執っていて右腕を負傷した。
湯治などの治療で、最近になりようやくまた剣を振るえるようになった所だ。
右腕の傷跡を見ると、あの時の激戦が、戦死した部下たちの顔が頭をよぎる。
運河防衛司令官のクロンシュタット伯爵の指揮や戦術は巧妙で、カルカシアを陥れて意気が上がっていなければ第二兵団も攻めきれずまだ攻防が続いていたかもしれなかったのだ。
「まさに『勇将の下に弱卒無し』だったな」
「そうですな。あれだけ粘り抜き、しかもシャンプレーン運河を守り切れないとわかると、最後は残兵を纏めて見事に海路逃走しましたからな」
海軍力ではメナム王国の後塵を拝していたゴルゴン帝国は、生き残った陸兵を収容して逃げたメナム海軍の艦隊を見失っていた。





サフィーアとナジンが結ばた翌朝…

「お母さまがこんなに幸せそうな顔をしているのって、この戦争が起きる前以来ですね」
「王妃陛下がまたこのように笑える日が来るとは…嬉しゅうございます」

まずエリシア姫が喜ばし気に言い、衛兵隊長のアーシェスも同感とばかりに頷いた。


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