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ナジン伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ナジン伝 1

聖歴135年6月、ゴルゴン帝国、メナム王国へ侵攻。
同年10月、メナム王国の王都カルカシア陥落、メナム王国滅亡。
〜『オルトロル大陸記・第三巻』より〜

一国の滅亡という大事件も、歴史書に記されれば僅か二行のみである。しかし、その二行の裏には無数の人々の想いや物語が存在していた……。


一人の少年がいた。名をナジンという。彼は体のあちこちに酷い傷を負っていた。そのまま深い森の中を宛てもなくフラフラとさまよい歩いている。
「ハァ…ハァ…ゴルゴンの奴らめ…よくも父ちゃんと母ちゃんと姉ちゃんを…」
やがて、ナジンの行く先に綺麗な泉が見えて来た。
「み…水だ!」
ナジンは泉に駆け寄り、口を泉に突っ込んで水を飲んだ。そして近くの木に疲れ切った体を寄りかけ、そのまま眠ってしまった…。

それから少し時間が経った。突然、側の茂みがガサガサと音を立てて現れた者があった。それは若い女だった。
「子供…!?あ…あんた酷いケガしてるじゃないの!大丈夫かい!?」
「……」
しかしナジンは応えない。女はナジンの口元に耳を近付けてみた。
「まだ息はあるみたいだね…早く手当てしないと…!」
そしてナジンの体を抱き上げ、森の奥へと消えて行った。

「う…う〜ん…」
目覚めたナジンの目に入って来たのは山小屋のような粗末な造りの天井だった。それに薬草を煮込む臭いがした。
「おや、気が付いたかい?」
ふと女の声が耳に飛び込んで来た。声のした方に首を傾けると、そこには一人の女がいた。女は長い黒髪を後ろで束ねて、狩人のような服装をしている。
「あ…あんたは…?」
「私はメノリ。この小屋に一人で住んでるんだ。泉で瀕死のあんたを見付けてね…連れて来て介抱してるって訳さ。あんた三日も寝込んでたんだよ?」
「そうか…ありがとう。俺はナジンだ」
「その傷、ゴルゴン帝国の奴らにやられたのかい?」
「うん…何日か前、突然ゴルゴンの奴らが村に攻めて来た。父ちゃんは殺されて、母ちゃんと姉ちゃんは兵隊達に…」
「そうか…」
「奴らは俺も殺そうとしたけど、隙を突いて逃げ出して来たんだ。村の男で生き残った者は俺だけだよ…」
メノリは黙って聞いていたが、やがて口を開いた。
「私もナジンと同じだよ。半年前、村が帝国の奴らに襲われてね…たまたま森に木の実を取りに行っていた私だけが難を免れたのさ。戻ってみたら村は破壊されていて、女はどこかに連れて行かれたらしく影も形も無くなっていて、男と老人の死体だけが辺りに転がっていた。私の旦那と一人息子もね…」
「メノリ、息子がいたの…!?」
「何だい。驚く事は無いだろう?生きてりゃちょうどあんたぐらいの歳さ…」
ナジンはメノリをまだ若い娘だと思っていたが、まさか自分と同じ年頃の息子までいたとは…。メノリは言った。
「あんた見てるとまるで死んだ息子が帰って来たみたいだよ…傷が治るまで暫くここで面倒見てやるよ」
「ありがとうメノリ。何て礼を言ったら良いか…」
「な〜に、気にする事ぁないよ。その代わり明日から飯炊き手伝ってもらうから」
「おいおい…俺はケガ人だぜ?」
「な〜に、もう家事ぐらいなら出来るさ。いつまでも寝たきりじゃあ体が鈍っちまうよ?それにココはもうこんなに元気いっぱいじゃないか!」
そう言うとメノリは布団の上からナジンの勃起したチ○ポを指でつついた。
「わ!な…何すんだよ!?」
勃起に気付いて慌てて両手でチ○ポを押さえるナジン。
「アハハ!隠さなくても良いよ。チ○ポが立つのは健康の証!」
メノリは顔を赤くしてチ○ポを隠すナジンを見て笑った。

それから一週間が経った。メノリの介抱の甲斐あって、ナジンの傷はだいぶ良くなってきた。そんなある日。
「ナジン、私は狩りに行って来るよ。夕方までには戻るからね」
「行ってらっしゃいメノリ!でっかいイノシシ取って来てくれよ」
「ハハハ…せいぜいウサギぐらいだよ。じゃあ留守番たのんだよ!」
メノリは弓矢を持って出掛けて行った。
「さて、俺は薪割りでもするか…」
ナジンもそれぐらいの事は出来るまでに動けるようになっいたのだ。まだ狩りに付いて行けるぐらいには回復していないが…。
「あ!メノリのやつ、弁当忘れて行っちまった…。仕方ねえ、届けてやるか。まだ遠くには行ってねえだろう…」
ナジンは机の上に置き去りにされた昼飯に気付いてメノリの跡を追った。

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