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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 54


体液とでも言うのか…茶褐色の液体を撒き散らしながら激しくのたうつオニオオボタン。

その無数に伸びていた蔦は…。
その数を数本残す程度となっていた。

その数本を縫って…果敢に間合いを詰めるタランチュラ。

「これで仕舞いだな!化け物!」

タランチュラが手にした得物の。
その鎌の先をオオオニボタンの花芯へと突き立てた。
そして一気に斬り下ろす。

まるで断絶間の動物の様に残った蔦を震わすオニオオボタン。
その蔦がバサッと地面に垂れ落ちた。

死んだ…と言う表現でいいのであろうか。
オニオオボタンがその全ての動きを止めた。

「何だろうねぇ?随分と刺激的なお花だったが…」

ジェラルドがニヤニヤとしながら近づいてきた。

肩で息をするタランチュラがその方を顧みる。
ニヤリとした笑いを口許に浮かべながら…。

「でもさぁ〜、他の全部いっぺんに襲ってきたらタラちゃんでもヤバいかもよぉ」

同じ様に近づいてきたナイトメアが、挑発する様な視線をタランチュラに向ける。

「何だと!ナイトメア…やってやるよ!」

牙を剥くタランチュラ。

「まぁまぁ…落ち着けって」

ヘラヘラと笑いながらジェラルドが地面に落ちている物に手を伸ばした。

茶色い拳大の塊を拾い上げる。

「なあに…それ?ハントさまぁ」

まだ睨みつけるタランチュラ。
その視線を受け流しながらナイトメアがジェラルドに尋ねる。

「この化け物の種じゃないか…」

ジェラルドはその塊をシゲシゲと眺めている。
そして…。

「こいつは金になりそうだ」

ニヤリと笑みを浮かべた。



ロイたち一行は…。

今まさに深樹の海原を抜けようとしていた。
そこには広大な草原が広がっている。

陽はまだ高い。

「どう致しましょう」

深樹の海原を抜け出たロイ。
その横にゴッコがそっと並んだ。

「取り敢えず今日は進めるだけ進みましょう」

ロイが深樹の海原を顧みながら呟いた。

その瞳には大自然への畏敬の念がハッキリと浮かんでいる。

「よし…みんな馬車に乗ってくれ!」

同様に感慨深げに深樹の海原を見つめている一同にロイが声をかけた。


「まってよぉ…ロイ、シスターにも連絡していた方がいいよぉ」

鷹のマイヨ。
そのマイヨが入った籠を抱えてリュックが近づいてきた。

「そうだな…」

ロイは穏やかな笑みでリュックの言葉に答えた。


ゴッコの文をつけたマイヨが放たれ。

ロイたちは『新世界』の更なる深部を目指して歩みだした。

そして陽が暮れるまで平坦な大地を進み続けた。


野営地にて…。

「アレは何だったんだろねぇ?」

「私には判んないよぉ」

リュックとミラはドコか呑気な感じで深樹の海原での事を話し合っていた。

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