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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 50


ジェラルドとナイトメアの動きに合わせて揺れ続ける馬車。

御者を務めていた女は口元に笑みを張り付けて…揺れる馬車を見つめていた。
何処か小馬鹿にした様な冷笑と言ってもいい笑みであった。


その頃、深樹の海原の奥へと分け入っていたロイたちは…。

「これは…」

野営地のすぐ近くを探索していたゴッコが驚くべき物を発見した。

「リュックさん…デラさんとロイさんを呼んで来て貰っていいですか」

目の前の光景に息を飲む様に見つめながら…ゴッコが近くにいたリュックに向かって囁いた。

剣を担いだデラ。
そして一応、弓を手にしたロイが並んでやって来た。

「なんだこりゃ!?」

「凄いな…」

ゴッコの横に並び立ったロイとデラも驚きを禁じ得なかった。

ロイたちの目の前に広がる光景…。

それは一際太い一本の大木…そしてその周りで枯れて朽ち果てた無数の巨大植物であった。

動物の中には己らが朽ち果てる地を持ち…死期が迫ると自らその地に向かうと言われてモノが多々ある。

その事がこの巨大植物にも当てはまる様な目の前の光景であった。

「随分とひどいお花畑だな…」

剣を腰の横で構えながら…枯れた巨大植物の群れに近づいて行くデラ。

いつもの様に軽口を叩いてはいるが…その横顔には緊張の色がアリアリと浮かんでいる。

「ひとりで行くな!」

弓に矢をつがえながらロイがデラに並ぶ。

「ロイ…まっ…後ろから射られるよりマシか」

相変わらず口の減らないデラであったが…。
その口元には清々しい笑みが浮かんでいる。

ロイもその言葉に一瞬、顔をしかめるが…すぐに小さな苦笑を浮かべた。

「これって死んでんのか?枯れてんのか?」

大蛇の様に地に垂れた蔦をつま先でつつくデラ。
一切の動きを止めた巨大植物の状態の表現に頭を悩ませている様だ。

「枯れているんだろうが…すいません司祭、シャングリラを呼んで来て貰ってもいいですか?」

ロイも断定的な答えは出せずに後方に控えるゴッコに声をかけた。

「危なくないか?」

シャングリラの身の安全を慮るデラ。

「だが…しっかり調べる必要がある。
もしもの時はデラ…頼む彼女を守ってやってくれ」

デラの心にも…ロイの心にも小さな変化が芽生え始めていた。

それを感じ取ったデラ。
太陽の様な笑顔でロイに応えた。


少しして…。
ゴッコに連れられてシャングリラがやって来た。
もちろんハンマーを構えたラファエルも一緒だ。

「差し出がましい様ですが…ロベルトたちには何かあったら直ぐに逃げる様に言っておきました」

かなり急いだのだろう…ゴッコが息を切らせながらロイに告げた。

「助かります…司祭」

ロイは笑ってゴッコの細やかな心遣いに感謝した。

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