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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 43



そしてロイはロベルトとアポリーと三人で測量作業にあたっていた。

ただ地形の変動が少ない深樹の海原の中…。

殆んどは馬車を通す道を造る作業になっていた。

その道もかなり進んだ。

そして他の処よりもやや拓けた場所に出た。

「よし!この辺をもう少し整地したら…司祭たちを呼び行こう!」

ロイは二人の若者に指示を飛ばした。


邪魔な木を切り倒し…二頭の馬を使ってその切り株を撤去してゆくロイたち。

ロイの額に汗が滲む。

やっぱり測量したり開拓作業にあたっている方が自分には性に合う。

ロイはそんな事を考えていた。

もっともデラにその事を話したら鼻で笑われそうだが…。

そして作業は着々と進んでいった。

「よし…司祭たちを迎えに行こう!」

最後の切り株を撤去し終えたロイが汗まみれの顔を上げた。

司祭たちと合流したロイは野営地を深樹の海原の奥へと進める準備にあたっていた。

「ねぇ…ロイ」

テントをたたむロイにリュックが近づいてきた。

「どおした?」

昨日の危機を乗り越えた事によってか…ロイの中でのリュックに対する垣根が僅かに取り払われかけていた。

「デラたちに言ってないけど…大丈夫?」

「あ?あぁ…ラファエルがいる」

「ラフィが?」

「あいつはあぁ見えて鼻が利くんだ」

「へぇ〜」

リュックは初耳といった感じで目を丸くしているが…。
それでいいだろう。

わざわざラファエルの生い立ちまでは語る必要はなかった。

「それに…デラがいる。
こんな事であの女をまけるなら…とっくにまいてる」

「…とか言ってぇ!好きなんでしょ?」

「な…!」

リュックの予想外の突っ込みにロイは返す言葉を失った。

「何をバカな!大人をからかうな!」

「デラの話をする時のロイの目…優しいんだもん」

リュックはニコニコとそう言うとミラの方に駆けていってしまった。

やっぱり…あの少女は苦手だった。


一方、デラたちは…。

「タァー!テヤァー!」

ラファエルは手にしたハンマーで目につく蔦をかったぱしから叩いて回っている。
この辺の感覚はリュックと非常に似ているのかもしれない。

そして…その後ろをやや緊張した面持ちのシャングリラと剣を肩に担ぎお気楽ムードのデラが並んで歩いていた。

「わりなシャングリラ…お邪魔虫が一緒で」

実際、デラは心底気楽だった。

戦いを心から楽しむデラにとっては、いつ戦いになるか判らないこの瞬間。
この瞬間こそが最も生きてて良かったと感じられる時間でもあった。

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