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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 39


臆面もなくデラが好きと言ってのける少女をゴッコはしげしげと見つめた。

いい子であるのは紛れもない事実だが…若干自分の理解を越えるところがあった。

「あのぅ…リュックさんもデ・ラ・クルスさんも女性ですよねぇ」

「そんな事は大した事じゃないけどさぁ」

やはり…理解するには難し過ぎる。

「ロイとデラとボクって…複雑な三角関係になっちゃうよね…」

ゴッコの理解を遥かに越えるこの少女。
何とも不可思議な三角関係を自分の中で作り上げていた。

「それは…困りましたね…」

確かに理解を超えた少女ではあるが…。
ゴッコは何とも微笑ましい気持ちでその少女を見つめていた。


その焚き火よりもう少し森の奥に入った所でも小さな炎が炊かれていた。

その炎の傍らには胡坐をかいて瞳を閉じたデラ。
もし…またあの花が襲撃してきたら今度はきっちりケリをつけるつもりであった。

ガサァァァ…立ち木が震えた。

「来たかぁ!」

猫の様な敏捷さで立ち上がるデラ。
既にその手には剣が握られている。


「俺だ…デラ」

音の主はロイだった。

「なんだ…」

デラが警戒の態勢を解いた。

「いや…その…昼間はすまなかった」

ロイがそう言いながら自分の頬を人差し指でトントンと叩いて見せた。

デラの右頬についた傷の事を言っている様であった。

ロイの放った矢がつけた傷…既に血は止まっているがデラの右頬にナイフで引いた様な痕を残していた。

「本当に…すまないと思ってんのか?」

デラがロイの前に歩み寄った。
その目は巨大植物に立ち向かう時の目と何ら変わりはない。

「ああ…すまなかった」

バツが悪そうにロイが顔を顰め、もう一度謝罪の言葉を口にした。

言い終わった瞬間。

デラの素早い動き…ロイの唇にデラの唇が重なってきた。

そして…激しい接吻。

その激しさにロイが驚いた様に目を見開く。


デラの唇が離れた。

「デラ…」

大きく息を吸い込み眉をひそめて苦笑いを浮かべるロイ。
困った様な微笑…この男に珍しい表情であった。

「修道院でアタシが出掛けに言った事を憶えてるか?」

「あ…ああ…」

「あれは本当だ…」

デラがロイを押し倒していった。

「お…おい…デラ…」

戸惑いながらもロイは“やめろ”の一言を口にする事が出来なかった。

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